「京都に学生が社会人と交流できる拠点を」―『Co-working & Community サキドリ』オープン前インタビュー

「京都に学生が社会人と交流できる拠点を」―『Co-working & Community サキドリ』オープン前インタビュー

京都市は北区、上賀茂葵田町。京都産業大学の目の前に、学生と社会人とが交流できる新たなスペースが誕生する。2021年9月28日オープンの『Co-working&community サキドリ』だ。

「Co-working&Communityサキドリ」のカフェスペース

『Co-working&community サキドリ』は、「出会い」や「交流」をコンセプトとするコミュニティスペースであり、コワーキングスペース。「学生たちをはじめ、大学講師や社会人、地域の人たちなど色々な人たちが集まり、交流が生まれる場所にしたい」という想いから、非常にリーズナブルな価格設定となっている。

そんなサキドリを運営するのは、キャリアコンサルタントであり行政書士でもある植村さんと、以前植村さんと同じ職場で学生支援のお仕事をされていた田中さんのお二人だ。今回はお二人に、サキドリの魅力や特徴、プロジェクトのきっかけや経緯、そしてサキドリをどんな場所にしていきたいかなど、お二人の “想い” をインタビューした。

(取材・文 : 充紀

植村 健志さんと田中 利栄子さんの写真

(左)植村 健志さん /(右)田中 利栄子さん

◎ プロフィール

■ 植村 健志(うえむら けんし)
植村行政書士事務所、Career Support Office B-dream代表。今回のプロジェクトの発起人。20代では外資系企業の営業マン、塾講師、放送作家など、さまざまな職業を経験。30歳を過ぎてから行政書士・キャリアコンサルタントとして独立。「学生時代の多様な経験」の重要性を学生たちに伝え続けている。ももいろクローバーZのLIVEに情熱を傾ける日々。

■ 田中 利栄子(たなか りえこ)
たまたま受講した職業訓練でWEBデザインのスキルを習得したことをきっかけに、京都府の公式ホームページ管理など、行政の業務に従事。2017年からは学生支援業務にも携わり、その中で植村さんと出会う。縫い物・編み物・ゲーム好きで、最近はDIYがお気に入り。今回のプロジェクトでは植村さんとともに企画・運営を行うとともに、ホームページ作成なども担当。また、趣味を活かして内装のDIYなども行った。

 

『Co-working&community サキドリ』とは?

サキドリは、学生・社会人・先生・地域の人など、誰でも作業や仕事、勉強、趣味などに利用できる自由な空間だ。一人で集中して作業や勉強に取り組めるコワーキングスペースのほか、利用者どうしで気軽に交流できるコミュニティスペースも備えている。

植村さん「一人で仕事や勉強などをしたい人のためのコワーキングスペースが一つ独立してあって、くつろぎたい、おしゃべりしたいって人のための場所も別に用意しています。まさに今インタビューしているこのカフェスペースがそれですね」

 

一人での作業・勉強に最適な「コワーキングルーム」

一人での作業・勉強に最適な「コワーキングルーム」

くつろいだりグループで会話したりするのに適した「カフェスペース」

くつろいだりグループで会話したりするのに適した「カフェスペース」

植村さん「また、ワークショップやグループワークなども含めて、交流をしたい人のための多目的なスペースが真ん中の部屋です。その他、応接間などとしてクローズドにも使える個室も備えています。」

 

多目的に使える「あやふや交流スペース」

多目的に使える「あやふや交流スペース」

クローズドな個室としても使える「応接・面談ルーム」

クローズドな個室としても使える「応接・面談ルーム」

それぞれの部屋は、「ここをこういう風に活用してくれたらいいな」という想いを考えてレイアウトしたと植村さんは話す。でもその一方で、「それに縛られないで、色々な活用方法を見つけてもらえたら」とも語っている。

植村さん「それぞれの部屋には、こちらで考えた利用方法やストーリーがあるのですが、コワーキングスペース以外の部屋はその他にも色々な活用ができるかと思います。

学生さんや利用者の方から『この場所をこんな風に使いたい』とか『この部屋でこんなイベントをしたらいいのでは?』などといった、思い付いたことを提案をしてもらえたら嬉しいですね。ぼくたちはそれを実現できるようにお手伝いしていく。という感じで運営していきたいです。」

「サキドリ」という名前の由来と、その中に込められた想い

「サキドリ」のロゴ

この場所の名前が決まるまではかなり難航したようで、この「サキドリ」という名前に決まったのはオープン直前だったという。この名前は、植村さんが100個もの案を考えた中のひとつをもとにして、田中さんが考えたものだ。この「サキドリ」には、2つの意味が込められていると話す。

田中さん「このサキドリという名前は、漢字に直すと“お花が咲く”の『咲』と、“鳥が飛ぶ”の『鳥』で『咲鳥』なんです。英語にしたらblooming bird、花咲く鳥みたいな感じで、『いつか花咲く、鳥になって羽ばたく』という意味を込めています。

それともう一つ。サキドリには『色々な情報をここで“先取り”する場所にしていきたい』という意味もあります。『色々な情報をここで先取りしていった後にお花が咲いて、鳥のように飛び立っていく』という2つの意味を込めて、サキドリってつけたんです」

「もともと、拠点をつくって出会える場所を作りたいなと思っていた」― サキドリ誕生のきっかけとオープンまでの経緯

植村健志さん

このサキドリを作ろうと思ったきっかけは、植村さんがキャリアコンサルタントとして仕事をする中で漠然と感じていた、「学生さんたちが大人と交流できて、色々な知見を得られる拠点を作りたい」という想いだった話す。

そんな植村さんに、今回この場所を作るきっかけを与えたのが、一緒に運営することになった田中さんだ。

田中さん「ここはもともと不動産屋さんでして、ここの社長さんと仲良しで、しょっちゅう遊びにきていたんです。その頃わたしは植村さんと同じ学生就職センターで仕事をしてたこともあり、お店を閉めようとしていた社長さんから『京都産業大学の学生さんたちのためになる何かをやりたいって人、探してくれへん?』って言われてたんです。」

植村さん「その話をもらってすぐに、ってわけではないんですけど、今年の2月ごろからちょうど僕の仕事が落ち着いてきたのもありまして、『じゃあ、思い切ってやるか!』と具体的に動き出しました。」

 

インタビューの風景

いざ動き出してみると、「こういうことをやりたい」という植村さんの想いから「それなら、こんな人がいるよ!」という、紹介が紹介を呼び、どんどんプロジェクトが進んでいったという。

植村さん「産業大学繋がりだったり、仕事の繋がりだったりから人脈が広がっていって、いろんな人と出会う中でプロジェクトが具体的なものになっていきました。まさに、このサキドリのコンセプトである“出会い”や“ご縁”ですよね。鈴木さんと出会って改装工事を『空き家バンク京都』さんにお願いすることになったのも、まさにご縁ですしね。鈴木さんが京産大出身というのも、なにかご縁を感じますよね(笑)」

改装工事はもともと、ここで不動産をされていた物件オーナーさんのご紹介でお願いするつもりでいたという。でも、進めていく中で「ちょっとでも学生さんに近い人に頼む方がいいかもな」と思ったのがきっかけとなり、話を聞いてみることにしたそうだ。

田中さん「お話聞いたらすごく安心して、『もう鈴木さんに頼むしかない!』ってそのとき思ったんです(笑)ボロボロだった事務所がキレイになるところを想像させてくれるところが、とても頼もしくて。」

 

改装工事中の写真

改装工事中の写真

改装工事の見学にきて下さった京都産業大学の学生や大学教授のみなさん

「学生のうちに色んな大人と話して、色んな経験をしてほしい」― 代表・植村さんの想い

植村さん

色々な人たちとの出会いの中で誕生したこの『Co-working&community サキドリ』。この場所をどんなものにしていきたいのか、その想いを発起人の植村さんは、次のように語っている。

植村さん「お話した通り、もともと学生と色々な社会の大人が繋がれる環境を作りたかったんです。僕自身、大学生のときは世間が狭かったなぁということに、後から気づきまして。

『あー、あのときにもっといろんな大人と喋れてたらよかったなぁ。色々な経験をできてたらよかったなぁ……。クラブやサークルだけじゃなくて、もっといろんなコミュニティに顔だして、いろんな人たちと話ができていたら、もしかしたらもっと面白い大人の人生が歩めたんちゃうかな』って。

そんなことを今になって感じるんですよね。だから、僕はキャリアコンサルタントとして活動する中で、学生たちに対して『もっともっといろんな社会を見てほしい、世間をみて欲しい』というのをずっと伝えてきました。

それを、ただ授業や講義の中で伝えるだけじゃなくて、拠点をつくって、もっとリアルに実現できる場があればいいなって、ずっと思っていました。それを実現できたのが、このサキドリなんです」

「リアルなワールドカフェを実現したい」― 植村さんがこの場所でやってみたいこと

田中さんと植村さん

植村さんと田中さんに、このサキドリを今後どのように発展させていきたいのか、あるいはどんなことをやってみたいのかと尋ねてみると、植村さんは「ボクは、ここでリアルなワールドカフェをやりたいんです」と語った。

ワールドカフェとは、4〜5人ずつのグループに分かれて、1つのテーマについて「会議室ではなくカフェで話すように」それぞれ議論を行うものである。研修の手法やワークショップとして用いられることも多い。

会社の会議のように堅苦しいものではなく、結論を求めるためのものでもなく、参加者どうしで意見を言い合い、新たな知見を得たり認識を深めたり、それを通して参加者の交流間を深めることなどを目的とする。

植村さん「元々ワールドカフェは海外で生まれたもので、カフェに色々な人たちが集まって、社会問題などについて議論を行っていたのがが始まりです。カフェですので年が若い人もいれば年配の方もいる。色々なキャラクター、さまざまなパーソナリティを持った人たちが集まって、何かについて論じている。

そんなところから始まったのがワールドカフェなんですけど、このサキドリでリアルにワールドカフェを実現できたらなと思っています。学生、先生、社会人、地域の人たち。いろんなバックグラウンドを持った人たちが、ひとつのテーマで話ができたらすごく面白いですよね。究極的には、それが自然発生する場を目指したいです。

学生たちがいろんな大人たちと喋って、自分の知識・見聞・スキルをつけてくれたら、それが僕の本望なんです。ここで出会う経験が自分の将来、未来を先取りするための糧になる。それがこのサキドリの目的ですね。

未来を情報を先取りして、飛び立つための出会いを得る場所 サキドリ、2021年9月28日オープン!

オープン日の告知ポスター

そんな『Co-working&Community サキドリ』は、2021年9月28日にオープンだ。通常のコワーキングスペースと同じように、月額払いで使い放題のコワーキングスペース型の営業スタイルだ(なお、ドロップインもあるので一回のみの利用も可能だ)。

サキドリの月額料金は、学生なら100円、大学関係者は500円、一般の社会人会員でも6,600円〜と、非常にリーズナブル。初回のみ登録料が別にかかるが、とはいえそれもかなり安く価格設定されている。

(▶︎ Co-working&Communityサキドリ 料金表

この良心的な値段設定からも、学生をはじめとする多くの人たちに来てもらって、色々な出会いが生まれて欲しいという植村さん、田中さんの想いが読み取れる。

日本は海外と比較して、知らない人どうしで交流したり、ましてや議論したりということが起こりにくい文化があると思う。でも、もともと都のあった京都という土地には、海外の文化を取り入れて時代をリードしていた“新しいもの好き”な歴史と気風がある。

このサキドリが日本の中で世界の文化を先取りして、京都に新しい風を起こしてくれるといいな、なんてことを、植村さん、田中さんのインタビューの中で思わされた。サキドリのオープンと今後の発展が楽しみだ。

(取材・文 : 充紀

【基本情報】

■ Co-working&community サキドリ
– 住所 : 京都市北区上賀茂葵田町1-8
– 営業時間 : 09:00〜22:00(緊急事態宣言中等は要確認)
– 定休日 : 年末年始・不定休(月3日程度)
– 公式サイト : https://b-dream.sakura.ne.jp/home/
– Twitter : https://twitter.com/b_dream_career
– Facebook : https://www.facebook.com/coworkingSAKIDORI/

この記事書いた人

充紀

職業フリーライター
『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆