空き家の利活用をする際に、所有者の負担となるのが修繕費用。空き家の利活用を促進するために、国や地方自治体は補助金を交付しています。今回は、空き家の利活用に役立つ補助金を国と地方自治体に分け、それぞれの概要や条件、補助額、補助金を効果的に活用するポイントをご紹介します。補助金を有効活用すれば、空き家の修繕に係る費用を軽減できるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

国による補助金まとめ

国土交通省は「住宅セーフティネット制度」を実施しており、空き家の改修や家賃補助などの支援を地方自治体と協力しながら行っています。登録している「セーフティネット住宅」や入居する住宅確保要配慮者(特定の低所得者・被災者・高齢者・障害者・子育て世代・国が定めた者)に対して支援する制度です。空き家に活用できる制度は、「家賃低廉化支援」と「改修費支援」の2つがあります。

家賃低廉化支援はセーフティネット住宅に住宅確保要配慮者が入居する際の家賃補助を、改修費支援は、セーフティネット住宅の改修に係る費用を補助してくれます。活用することで空き家の利活用に必要な補助対象工事の費用軽減ができたり、家賃負担の軽減による入居者の確保がしやすなったりするでしょう。ぜひ活用してみてください。

補助金名対象者対象住宅補助額
家賃低廉化支援月収15.8万円以下の世帯【セーフティネット住宅であること】
・一定以上の床面積があること
・耐震性があること
・一定の設備がある など
最大4万円
改修費支援住宅確保要配慮者・セーフティネット住宅であること
・補助対象工事であること など
50万~1,000万円

地方自治体の補助金まとめ

空き家の利活用に必要な補助金は、主に地方自治体が交付しています。今回は地方自治体が交付している補助金を、いくつかご紹介するので、ぜひ活用してみてください。

補助金名対象者対象条件補助額
中川村空き家等活用促進事業補助金(長野県)・空き家の所有者・空き家を取得または賃貸契約を締結して定住する者・村の空き家等情報登録制度に登録されている物件
・公共下水道等と接続していること など
改修:上限50万~200万円
譲渡・賃貸:上限30万円 など
大崎市空家活用定住支援事業(宮城県)・空き家の所有者
・事業者
・居住者
・事業対象住宅であること
・移住世帯との賃貸契約を仲介
・締結・入居完了していること など
登録助成金:1万円/件契約助成金:3万円/件改修助成金:最大50万~100万円 など
空家活用リフォーム推進事業(千葉県)条件を満たす者・空き家を市長が認める児童館や福祉施設等へ改修する工事の契約をしていること・現行の耐震基準を満たしていること など改修:上限100万円
空き家利活用推進事業補助(福島県)・空き家の所有者・空き家の活用者・南相馬市の空き家バンクに登録されていること
・一般的な改修であること など
基礎額:上限100万円※30万円以上の工事であること※その他、加算金や家財処分費などもあり
空き家バンク登録支援補助事業(島根県)市内の一戸建て空き家所有者・いずも空き家バンクに2年間(賃貸・売買成立を除く)継続して掲載すること
・住宅用であること など
残置物処分、クリーニング費用など:各上限5万円
鳥取市まちなか空き家改修支援事業(鳥取県)・空き家の所有者、購入者
・県内に在住する個人
・県内に本店を置く事業者 など
・築30年以上経過した1年以上利用がない空き家
・築30年以下で2年以上利用がない空き家 など
改修、用途転用費用など:上限50万円
北杜市空き家バンク清掃費等補助金(山梨県)・空き家の所有者等
・過去に同一の補助金の交付を受けていない者 など
空き家バンクに登録された住宅改修、家財処分費:各上限20万円/棟
小松島市空き家再生等促進事業補助金(徳島県)・空き家の所有者
・空き家を賃貸または購入しようとする者
空き家を民泊や店舗などに用途変更して事業を行い、地方活性化に貢献すること改修:最大320万円※小松島市木造住宅耐震化促進事業と併用できる可能性あり
山口市交流促進空家活用事業補助金(山口県)・3年以上継続して事業を実施する石がある事業者
・社会貢献の目的を持って事業を行える事業者
・市内の空き家や空き店舗であること
・市内外からの移住定住、交流人口などの増加につながる事業であること など
改修、交流:上限100万円
空き家を活用した地域交流拠点等づくりに係る補助金(和歌山県)・空き家の所有者
・正当な占有権原を持っている者
・指定の改修事業に直接関係する経費であること
・市内の区域内に空き家が所在していること など
改修:上限300万円
高知市空き店舗活用創業支援事業(高知県)・18歳以上の個人または法人(中小企業)
・創業資金の20%以上を自己資金で持っている者 など
商店街や中心市街地の空き店舗であること家賃補助:最大10万円/月(6か月・3か月分)
秋田市空き家定住推進事業(秋田県)・空き家の所有者
・空き家を購入または賃貸し移住する者 など
・空き家バンクに登録されている物件または宅建業者の仲介で取引された物件
・築10年以上の空き家 など
購入、賃貸借費用など:上限100万円
移住支援空き家リフォーム補助金(長崎県)・空き家の所有者
・空き家の購入、賃貸する者 など
・長崎市空き家・空き地情報バンクに空き家を登録している
・長崎市内で居住用の戸建て住宅であること など
改修:上限50万円

空き家再生に役立つ補助金の活用ポイント

補助金を活用する際は、以下のポイントを抑えておきましょう。

早めに補助金を申請する

各補助金の申請期間や条件は異なるため、国や地方自治体などの公式サイトで早めに確認しましょう。補助金の多くは予算が決められており、予算がなくなり次第終了になるものがあります。早めの情報収集や申請準備を始めましょう。

複数の補助金を併用する

補助金のなかには、併用して活用できるものがあります。複数の補助金を併用することで、自己負担額をさらに減らすことが可能です。事前に補助金が併用できるかを確認しておきましょう。

信頼できる施工業者の選定

施工業者の選定は、施工後の仕上がりに影響します。施工後のトラブルを防ぐためにも、良い口コミが多めで実績が豊富な業者を選びましょう。また相見積もりを行い、相場に見合った見積もりを出してくれるかも確認してください。

専門家のアドバイスを受ける 

補助金の申請には、多くの書類や複雑な手続きが必要になります。慣れていない方が補助金を申請すると、時間がかかってしまったり手続きを間違えたりして、交付されない可能性も。事前に各市区町村の担当者や補助金申請の専門家などに相談することで、補助金申請の成功率が上がります

補助金の活用で費用を抑えて空き家の利活用を行おう!

空き家の所有者が利活用するには、改修等の費用がかかります。空き家の状態によっては、高額な改修費用がかかることがあり、所有者の大きな負担になるでしょう。国や地方自治体は空き家の利活用を促進するため、所有者の負担を軽減するための補助金を交付しています。

補助金を活用すれば、費用を抑えながら空き家に価値を生み出すことが可能です。賃貸住宅として収益物件に変えたり、人口流入による地域活性化に貢献できたりします。補助金の活用で費用を抑えつつ、空き家の利活用を進めていきましょう。