- 空き家を相続放棄したのに、管理義務が残るって本当?
- 空き家を相続放棄する判断基準が知りたい
- 空き家の利活用方法を教えてほしい
空き家は状況次第で「負動産」になる可能性があるため、相続放棄を考えている人が多いのではないでしょうか。ただし、空き家を相続放棄をしても、すべての問題が完全になくなるわけでありません。そのため、相続放棄と空き家について理解を深めることが大切です。
今回は、相続放棄の基本知識からメリット・デメリット、空き家の管理義務が発生するケース、空き家を相続放棄せずに利活用する方法などを解説します。当記事を読むことで、相続放棄の基本や空き家の適切な対策がわかるようになり、不要なトラブル回避や経済的メリットを受けやすくなるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
相続放棄と空き家問題
近年、相続を巡るトラブルのなかでも「空き家問題」が深刻化しています。総務省が発表した令和5年(2023年)の「住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家数は900万戸に達し、空き家率も13.8%と過去最高を記録。相続が発生して遺産に空き家が含まれている場合は、維持管理や固定資産税の負担が発生します。
そのため「相続放棄をすれば空き家の問題も解決する」と考える人も多いものの、実際にはそう簡単ではありません。相続放棄と空き家問題について理解を深め、適切な対策をすることが大切です。まずは、相続放棄の基本から見ていきましょう。
参考元:総務省統計局|令和5年 住宅・土地統計調査
相続放棄の基本
相続放棄とは、亡くなった人の財産や負債を一切引き継がない手続きのことです。これにより、借金や管理が難しい不動産を相続するリスクを回避できます。しかし、相続放棄をしたからといって、空き家が自動的に処分されるわけではないことは覚えておきましょう。
相続放棄の基本的な仕組み
相続放棄は、被相続人(亡くなった人)の「死亡を知った日から3か月以内」に、家庭裁判所へ申述することで成立します。相続放棄を行うことで、財産も負債も一切引き継ぐことができません。相続放棄は一度受理されると取り消しができず、親族全員が放棄した場合、遺産の管理が宙に浮いてしまう可能性があります。とくに、空き家を相続放棄する場合は、次の管理者を確認しておかなければ、放置リスクが発生する点に注意しましょう。
相続放棄後の権利はどうなる?
相続放棄後は、放棄した人の相続権がなくなり、次の相続順位にある親族や特別縁故者(特別に相続財産を引き継ぐ権利が発生した人)へ権利が移動。相続人が誰もいない場合は、最終的に国が管理(国庫帰属)することになります。
相続放棄の期限と流れ
相続放棄をするには、家庭裁判所で正式な手続きを行う必要があります。ただし、相続放棄には期限があり、手続きを誤ると放棄が認められないリスクもあるため、慎重に進めることが重要です。相続放棄の主な流れや必要書類、期限に関する注意点を解説します。
相続放棄の期限
相続放棄の申請期限は、被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内(熟慮期間)です。3か月を過ぎると、 自動的に単純承認(すべての資産と負債を相続する)したとみなされるため注意が必要です。ただし、以下の場合は期限を延長できる可能性があります。
期限を延長できる場合 | 具体例 |
財産や負債の調査に時間がかかっている | 被相続人の財産が多岐にわたり全容を把握できない不動産が地方や海外に点在している債務者が多く借金総額がわからない |
ほかの相続人の連絡先や所在がわからない | 兄弟姉妹と疎遠になっていて連絡先がわからない相続人が海外に住んでいて所在がわからない |
再転相続が発生した※相続人が熟慮期間中に亡くなり、遺産の相続を承認または放棄するか決まっていない状態で、相続が発生した状態 | 父が亡くなった後に、相続人である長男が相続の承認または放棄をしないまま亡くなり、長男の子が相続権を引き継いだ(二次相続) |
このような場合は、3か月以内に相続放棄の期限伸長を家庭裁判所に申し立てましょう。空き家が絡む相続では、不動産の調査や他の相続人との調整が必要になるため、早めに手続きを進めることが大切です。相続放棄を考える場合は、3か月の熟慮期間を忘れず、速やかに動くことを心がけましょう。
相続放棄の手続きの流れ
相続放棄をする際の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 遺言書の確認をする
- 相続財産を調査する
- 相続放棄の手続きに必要な書類や費用を準備する
- 相続放棄申述書を作成する
- 家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
- 家庭裁判所から照会書が届く
- 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く
それぞれの流れを詳細に解説します。
1.遺言書の確認をする
相続放棄を検討する前に、まずは被相続人が遺言書を残していないか確認しましょう。遺言書には、特定の相続人への遺産の分配方法や債務の処理方法が記載されていることがあります。
遺言書の内容によっては相続放棄の必要がなくなる場合もあるため、慎重に確認しましょう。遺言書が見つからない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、方向性を話し合うことが重要です。
2.相続財産を調査する
相続放棄を検討する前に、被相続人の財産(プラスの財産とマイナスの財産)を調査します。とくに、借金などの負債の有無を確認することが重要です。たとえば、以下のような調査が必要になるでしょう。
- 金融機関の通帳や残高証明書などで預貯金の確認
- 固定資産税通知書などで所有している不動産を確認
- クレジットカードやローン会社への問い合わせや明細などで借入金を確認
※借入先がわからない場合は、信用情報機関(CIC・JISS・KSC)で情報開示請求を行う - 納税義務の承継通知書や督促状などで税金の未払いを確認 など
3.相続放棄の手続きに必要な書類や費用を準備する
自分で相続放棄を行う際は、必要な書類や費用(3,000〜5,000円ほど)を準備しましょう。主に必要な書類や費用は、以下のとおりです。
必要な書類 | 費用 |
被相続人の戸籍附票または住民票除票 | 300~400円※市区町村によって異なる |
被相続人の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍も含む)謄本 | 750円 |
相続放棄をする申述人の戸籍謄本 | 450円 |
相続放棄申述書 | 無料(ダウンロードまたは家庭裁判所の窓口で取得) |
相続放棄申述書に貼る収入印紙 | 800円分※申述人1につき |
連絡用の郵便切手 | 数百円 |
なお、相続放棄を司法書士や弁護士に依頼する場合は、3〜10万円ほどの追加費用が発生します。
4.相続放棄申述書を作成する
家庭裁判所へ提出する相続放棄申述書を作成します。作成にあたっては、裁判所の記入例(成人・未成年)を参考にすると良いでしょう。記入ミスがある場合は相続放棄が受理されない可能性があるため、慎重に記入してください。不安であれば、家庭裁判所の窓口で確認してもらうと良いでしょう。
5.家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄申述書と収入印紙、連絡用の郵便切手とともに提出(持参または郵送)し、相続放棄の申し立てを行いましょう。申し立ては原則として相続人本人が行うものの、相続人が未成年の場合は、親や未成年後見人などが法定代理人として申し立てを行います。
6.家庭裁判所から照会書が届く
相続放棄を申し立てた後、1〜2週間ほどで家庭裁判所から「照会書」が届きます。照会書には「回答書」が同封されており、相続放棄をする意思の有無や理由など必要事項の記入が必要です。回答書の内容次第では、相続放棄が受理されない可能性があるため、正確に回答してください。必要事項を記入した後は、回答書を家庭裁判所へ返送しましょう。
7.家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く
回答書を返送してから1〜2週間ほどで、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。相続放棄申述受理通知書(再発行不可)が届けば、相続放棄の手続きは完了です。正式に相続放棄が認められたことになります。なお、債権者などに相続放棄を証明する場合は、家庭裁判所から相続放棄申述証明書を取得しておきましょう。
相続放棄時の注意点
相続放棄を行う際は、以下の主な注意点と対策を覚えておきましょう。
注意点 | 対策 |
受理された相続放棄の撤回はできない | 受理される前であれば取り下げは可能。受理後でも錯誤や脅迫などの理由で、取消しが認められる場合があるため、専門家に相談する。 |
財産の処分や隠匿などを行う(単純承認扱い)と相続放棄ができなくなる | 相続放棄が完了するまで、すべての財産に一切手を付けない。 |
自分で相続放棄の手続きを行う場合、トラブルや書類の不備により期限に間に合わない可能性がある | わからない場合は、専門家に早めの相談や依頼をする。 |
余裕を持ったスケジュールで、早めに対策を講じることが大切です。
空き家を相続放棄するメリット
空き家を相続放棄すると、主に以下のメリットがあります。
- 維持費の負担から解放される
→ 修繕費や管理費などのランニングコストを支払う必要がなくなる - 固定資産税の増額リスクを回避できる
→ 「特定空き家」に指定され勧告を受けても、相続放棄していれば税負担の増加(最大6倍)を免れる - 管理の手間がなくなる
→ 空き家の管理にかかる時間や労力が不要になるため、近隣トラブルの回避につながる - 売却や利活用が難しい物件でも手放せる
→ 立地が悪く買い手がつかない空き家でも、相続放棄することで無理に維持する必要がなくなる - 相続後のトラブルを防げる
→ 親族間で不動産の処理をめぐる争いを未然に防ぐことができる
空き家を相続放棄することで、管理の手間やランニングコストの軽減、対人トラブルの回避につながります。
空き家を相続放棄するデメリット
空き家を相続放棄すると、主に以下のデメリットがあります。
- 空き家の管理義務が完全になくなるわけではない
→ 相続放棄後も、次の相続人や相続財産管理人(財産を管理し、国に帰属させる人)が決まるまでは、後述する管理義務が発生する場合あり - 他の相続人に負担がかかる可能性がある
→ 相続放棄すると、次の相続順位の親族に相続権が移るため、トラブルの原因になることも - 空き家を手放すと資産として活用できない
→ 売却や賃貸の選択肢がなくなり、将来的に価値が出る可能性を失う - 空き家の処分に時間がかかるケースも
→ 相続人が誰も引き継がない場合、最終的に国庫帰属制度が活用できるものの、その手続きには長い時間(平均8か月)がかかる - 管理が放置されると「特定空き家」に指定されるリスク
→ 行政指導や税金の増額、最悪の場合、強制撤去の可能性もある
このように、空き家を相続放棄する際は、さまざまなデメリットが発生します。十分に親族や専門家などと話し合い、検討することが大切です。
相続放棄後は空き家の管理義務が発生する場合がある
空き家を相続放棄しても、管理義務が発生しないとは言い切れません。相続放棄後、次の相続人が確定するまでの間に「空き家を占有している場合」は、管理義務が発生します。空き家の管理義務が発生する理由は、民法940条にて以下のように記載されているためです。
「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」
たとえば、相続放棄後も被相続人の自宅に住んでいる(現に占有している)場合は、適切に管理する必要があります。相続放棄後も、次の相続人が確定するまで現に占有していれば、管理義務が発生することを覚えておきましょう。
空き家の相続放棄前にやるべきこと
空き家の相続放棄を行う前に、やるべきことは主に以下の3つです。
- 相続財産の全体像を把握する
- 共有名義の有無を確認する
- 親族と十分に話し合う
それぞれ解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
相続財産を把握する
まずは相続財産をすべてリストアップし、資産と負債のバランスを確認しましょう。相続放棄をすると、空き家だけでなくすべての遺産(預貯金・借金・不動産など)を放棄することになります。とくに、以下の点をチェックしてください。
- 空き家の所有者は単独名義か共有名義か
- 固定資産税や住宅ローンの未払いはあるか
- ほかに相続する財産(預貯金、株式など)はあるか
- 借金や保証人の負担が発生する可能性はあるか など
空き家だけではなく、すべての相続財産を把握することで、最終的に相続する価値があるのかどうかを判断できるようになります。全体的にプラスの財産が多ければ相続を前向きに検討し、マイナスの財産が多ければ相続放棄を検討しても良いでしょう。空き家に関しては、不動産としての価値があるのか、利活用ができるのかなどを不動産会社などに相談してみてください。
共有名義の有無を確認する
空き家を相続する際に重要なのが、先述した「単独名義なのか、共有名義なのか」を確認することです。共有名義とは、一つの不動産を複数人が共同で所有している状態のことを指します。共有名義であっても相続放棄により、自分の持ち分を放棄することは可能です。
しかし、相続放棄により残りの共有者が管理を続ける必要があるため、親族間でトラブルになる可能性があります。親族間のトラブルを避けるためにも、事前に法務局や登記情報提供サービスで登記簿謄本を取得し、空き家の名義を確認することが大切です。
親族と十分に話し合う
相続放棄する際は、ほかの親族とのトラブルを避けるためにも十分な話し合いをしましょう。相続人が被相続人の空き家を現に占有(住んだり管理したりしていない)していなければ、管理義務は発生しません。
しかし、次の相続順位にある親族や特別縁故者が占有している場合は、相続財産管理人が見つかるまで管理義務を負うことになります。空き家の管理や処分方法、維持費の支払いなどについて、親族と十分に話し合うことが重要です。
空き家を相続放棄するべきかの判断基準
空き家を相続放棄するべきかの主な判断基準は、単純に相続してプラスになるのかマイナスになるのかという点です。具体的には、以下のとおりです。
相続放棄を検討する場合 | 空き家の状態が極めて悪い立地的に市場価値がない空き家に多額の負債がある修繕費や解体費が高額定期的な管理が困難誰も空き家の管理を望んでいない利活用が現実的ではない全体的にマイナスの財産が多い など |
相続放棄を見直したほうが良い場合 | 空き家の状態が良い好立地で資産価値がある売却や利活用の可能性がある総合的な相続財産がプラス相続放棄しても管理義務が残る遺産分割協議で有利な条件を得られるほかの相続人が空き家を相続してくれる自分で管理したいなど |
相続放棄が受理されると撤回できなくなるため、事前に専門家や親族などと話し合い検討しましょう。
相続放棄の前に考えてほしい空き家の利活用
相続放棄を選択する前に考えてほしいのが、空き家の利活用です。相続放棄により空き家を手放すにも、さまざまな手間と費用が発生します。しかし、空き家を利活用することで手間と費用がかかる「負動産」から、収益を生む「富動産」へと生まれ変わるでしょう。空き家の活用法について解説するので、相続放棄を考える前の判断材料にしてみてください。
空き家を利活用するメリット
空き家を利活用するメリットは、以下のとおりです。
メリット | 詳細 |
維持・管理の負担を軽減できる | 空き家は放置すると老朽化し、管理費や修繕費がかさむ。活用することで、定期的な管理が行われ、負担を軽減できる。 |
収益を得られる | 賃貸や駐車場として運用すれば、毎月の家賃収入や利用料が得られます。駅近や観光地なら、短期賃貸(民泊)や駐車場などで高い収益が期待できる可能性あり。 |
防犯対策になる | 空き家は放火や不法侵入などのリスクがあるものの、活用することで人の出入りが増え、防犯効果が高まる。 |
税負担や行政代執行を回避できる | 放置すると「特定空き家」に指定され、勧告に従わない場合は、固定資産税の増額や行政代執行の費用支払いなどのリスクが生じる。活用することで、これらのリスクを回避することが可能。 |
地域貢献ができる | 空き家を店舗や福祉施設、コミュニティスペースとして活用することで、地域活性化につながる。自治体の支援を受けられる場合もある。 |
不動産価値を維持・向上できる | 定期的にメンテナンスをしながら活用することで、建物の価値が維持され、将来的な売却もしやすくなる。管理が難しい場合は、管理会社に任せるのも一つの対策。 |
補助金や税制優遇を受けられる可能性がある | 自治体によっては、空き家の活用やリノベーションに対する補助金や減税制度を設けている。 |
空き家を利活用することで、さまざまなメリットが生まれます。相続放棄する前に、空き家の利活用も検討してみてください。
空き家の利活用方法
空き家は状態や立地などにより、利活用することで資産になる可能性があります。以下は、空き家の利活用方法です。
- 売却する
- 賃貸で貸し出す
- 事業利用をする
- 地域活性化に貢献する
それぞれのメリット・デメリットを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
売却する
空き家を売却すれば、現金化できるだけでなく、管理の手間や固定資産税の負担から解放されるメリットがあります。とくに、遠方に住んでいる場合や維持管理が難しい場合には、早めの売却が賢明な選択肢となるでしょう。不動産会社を介した売却のほかにも、不動産買取業者を利用すれば、短期間で現金化することも可能です。
ただし、すぐには買い手が見つからない可能性や、建物が古い場合には売却価格が下がるデメリットもあります。また、更地にすると数百万円単位の解体費用が発生し、固定資産税が高くなる場合もあるため、慎重な判断が必要です。売却を成功させるためには、不動産会社だけではなく、空き家バンクや買取業者の活用も検討すると良いでしょう。
賃貸で貸し出す
空き家を賃貸物件として貸し出せば、定期的な家賃収入を得ることができ、長期的な資産運用が行えます。また、人が住むことで建物の劣化を防ぎ、地域の住宅需要にも貢献できるでしょう。とくに、シェアハウスや民泊などの新しい賃貸形態も注目されており、活用方法の選択肢は広がっています。
しかし、借り手が見つからなければ安定した収入が得られず、修繕や管理の手間が発生するというデメリットがあることも理解しておきましょう。また、家賃滞納や契約トラブルのリスクも考慮しなければなりません。運用の負担軽減に関しては、信頼できる不動産会社や管理会社を活用しましょう。
事業利用をする
空き家を店舗やオフィス、コワーキングスペース、レンタルスペースなどの事業用として活用することで、高い収益を生み出す可能性があります。とくに、地域に根ざしたビジネスや観光向けの宿泊施設として運営すれば、地域活性化にも貢献できるでしょう。
しかし、事業利用には初期投資が必要となり、改装費や設備費などのコストがかかる点がデメリットです。また、事業が軌道に乗るまで時間がかかることもあり、経営ノウハウが求められます。そのため、自治体の補助金や助成金を活用し、できるだけ初期費用を抑える工夫が必要です。
事業計画をしっかり立て、地域のニーズに合った活用方法を選ぶことで、安定した収益を見込める可能性があります。
地域活性化に貢献する
空き家を地域のコミュニティスペースや福祉施設、子どもの学習支援の場として活用する方法もあります。地域住民の交流を促進し、高齢者の見守り拠点として機能させるなど、社会的な意義を持つ活用が可能です。また、行政やNPOと連携することで、活用の幅がさらに広がります。
ただし、このような活用は収益化が難しく、運営費の確保やボランティアの確保が課題になりやすいでしょう。持続的な運営を実現するためには、自治体やNPOの支援を受けるだけでなく、地域住民の協力を得ながら補助金を活用するなどの工夫が必要です。
空き家の利活用で使える補助金
空き家を利活用する際は、以下のような国や自治体の補助金を活用できる場合があります。
補助金名 | 用途 | 補助額 |
国土交通省「セーフティーネット制度」 | 空き家のリフォーム、入居者負担の軽減 | 【リフォーム】補助率は国3分の1(地方公共団体を通じた補助の場合は国3分の1+地方3分の1)国費限度額は50万円/戸、条件次第で加算あり。 【入居者負担の軽減】補助率は国2分の1+ 地方2分の1。国費限度額 : 原則2万円/戸・月、国費総額240万円/戸。 |
埼玉県深谷市「深谷市危険空家等除却補助金」 | 空き家の除去(解体) | 補助対象費用の5分の4、または床面積1㎡につき2万円を乗じた額(上限30万円、住民税非課税世帯の場合は上限80万円)のいずれか低い金額。 |
群馬県渋川市「空家活用支援事業補助金」 | 空き家のリフォーム | 20万円以上のリフォーム費用に対し10分の1(上限30万円)。 |
空き家の利活用には費用がかかるものの、国や自治体の補助金を活用することで、経済的負担を最小限に抑えられるでしょう。交付される条件や金額などは自治体や補助金によって異なるため、公式サイトなどで事前に調べてみてください。
相続放棄は空き家の利活用を検討したあとで考えよう!
空き家の相続放棄をすれば維持費や固定資産税の負担を回避できるものの、占有している場合は注意が必要です。次の相続人や相続財産管理人が決まるまで、一定の管理義務が発生することを覚えておきましょう。相続放棄のメリット・デメリットを理解したうえで、専門家と相談しながら慎重に判断することが重要です。
また、相続放棄を考える前に、空き家の利活用についても検討してみましょう。売却、賃貸、事業利用、地域貢献といった利活用方法があります。空き家の利活用に成功すれば、負動産から富動産へと生まれ変わるでしょう。ぜひ、空き家の利活用にも目を向けてみてください。