空き家問題が深刻化するなかで、広まりつつあるのが空き家を利活用したビジネス。空き家は利活用次第で、収益を生む「”富”動産」になります。今回は、空き家問題をビジネスチャンスに変える利活用パターンと10のビジネスモデルを挙げ、それぞれのメリット・デメリットまで解説。空き家のリスクをチャンスに変えるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

空き家問題をビジネスチャンスに変える利活用パターン

空き家問題をビジネスチャンスに変えるには、主に以下4つの利活用パターンがあります。

利活用パターンメリットデメリット適しているケース
売却維持管理負担が減り、売却益が得られる売却が難しい場合があり、売却価格が相場より低くなることがある管理が困難で所有するメリットがない場合、相続トラブル回避や資金を得たい場合
賃貸定期的な収入が見込め、資産価値の向上や維持ができる修繕費用が発生し、空室対策やトラブル対応が必要な場合がある立地が良く、賃貸需要がある場合、資産価値の向上や維持をしながら、定期収入を得たい場合
借り上げ(企業や自治体との契約)管理の委託により所有者の負担が軽減でき、維持管理費用は企業や自治体が負担することが多い借り上げ期間終了後の出口戦略が必要で、契約条件が所有者の意向と合わないこともある自力での利活用が難しい場合、空き家バンクや移住促進に協力したい場合
解体空き家特有のリスク(倒壊等)を解消でき、更地ならではの利活用(駐車場等)が可能になる解体費用が高額になる場合があり、固定資産税が高くなる老朽化が進んで利活用が困難な場合、更地の方が売却や利活用しやすい場合

空き家の状態や地域特性、所有者の意向に応じて、最適な利活用方法を選ぶことが重要です。それぞれのメリットとデメリットを理解し、専門家や自治体のサポートを活用して適切な利活用を行いましょう。

空き家問題の解決に役立つ10のビジネスモデル

空き家問題の解決に役立つ10のビジネスモデルは、以下のとおりです。

  • 賃貸住宅
  • 民泊
  • シェアハウス
  • コミュニティスペース
  • 飲食店
  • シェアキッチン
  • アートギャラリー
  • シェアオフィス
  • 貸し倉庫
  • DIY体験施設

各ビジネスモデルのメリット・デメリットも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

賃貸住宅

単身者、ファミリー層、移住希望者、低予算で住宅を探す方をターゲットに、賃貸住宅として運営するモデル。地方では移住希望者向けの「お試し住宅」として活用することも可能です。

メリット
  • 安定的な家賃収入が得られる
  • 空き家の資産価値が維持・向上する
  • 移住促進や地域活性化につながる
デメリット
  • 需要が少ない地域では空室リスクがある
  • 修繕やリノベーション費用が発生する
  • 入居者対応や管理業務が必要

民泊

観光客、ワーケーション利用者、地域体験を求める国内外の旅行者をターゲットに、空き家を短期滞在型宿泊施設(民泊)として運営するビジネスモデル。とくに古民家を活用した民泊は、人気があります。

メリット
  • 短期間でも高収益が期待できる
  • 観光地や地方の独自性を活かした集客が可能
  • 地域の魅力発信につながる
デメリット
  • 運営の手間(清掃、予約管理など)がかかる
  • 観光需要の減少時に収益が不安定になる
  • 法規制や近隣住民の理解が必要

シェアハウス

若者、外国人留学生、単身高齢者、趣味や価値観を共有したい方をターゲットに、シェアハウスとして運営するビジネスモデル。共用スペースを設けており、居住者同士の交流でコミュニティ形成しやすいのが特徴です。

メリット
  • 賃貸より高い収益性が期待できる
  • 入居者同士の交流でコミュニティ形成が可能
  • 築古物件でも活用しやすい
デメリット
  • 入居者間のトラブル対応が必要
  • 共用スペースの維持管理が必要
  • 需要が限定的で、ターゲット層が偏る可能性あり

コミュニティスペース

地域住民、イベント主催者、趣味のグループやサークルをターゲットに、コミュニティスペースとして運営するビジネスモデル。イベントやワークショップを開催する場としても活用できます。

メリット
  • 地域交流の拠点としての社会的意義が大きい
  • 多目的に利用できるため収益機会が広がる
  • 補助金や助成金を活用しやすい
デメリット
  • 利用頻度や稼働率が安定しない可能性がある
  • イベント運営や設備維持に手間がかかる
  • 利益が少ない場合がある

飲食店

地域住民、観光客、グルメ愛好者をターゲットに、空き家の雰囲気を活かして開業できるビジネスモデル。飲食店は多額の初期費用がかかるものの、空き家の状態によっては低予算で開業できる場合があります。

メリット
  • 空き家の雰囲気を活かした店舗作りができる
  • 地元産品を活用することで地域貢献につながる
  • 人気店になれば遠方からも集客でき、収益性が高くなる
デメリット
  • 飲食業特有の衛生管理や設備投資が必要
  • 差別化が求められ、店舗の魅力を発信する努力が必要
  • 場合によっては初期費用が高額になる場合がある

シェアキッチン

飲食業の起業家、キッチンカーオーナー、料理教室主宰者、個人イベントの利用者をターゲットに、シェアキッチンを提供するビジネスモデル。料理教室や飲食店の試験運営、食品販売用の調理スペースとして活用されています。

メリット
  • 初期投資が抑えられ、運営の手間が少ない
  • 短時間利用でも収益を上げやすい
  • 地域の食文化発信に役立つ
デメリット
  • キッチン設備の整備や維持費が必要
  • 地域によって利用者の確保が難しい
  • 適切な衛生管理を行う必要がある

アートギャラリー

アーティスト、観光客、地域住民、アート愛好者をターゲットに、空き家をアートギャラリーとして再利用するビジネスモデル。地域のアーティストが作品を展示・発表する場として機能します。

メリット
  • 物件の歴史や個性を活かしやすい
  • 地域文化の発信地となり、観光客を呼び込める
  • クリエイターやアーティストの活動支援につながる
デメリット
  • アートや文化への需要が限定的な場合がある
  • 展示物の管理やセキュリティ対策が必要
  • 定期的なイベント企画が求められる

シェアオフィス

フリーランス、リモートワーカー、小規模事業者、起業家をターゲットに、空き家をオフィスやリモートワーク利用に適した設備を整えて提供するビジネスモデル。コワーキングスペースやサテライトオフィス利用など、コロナ禍以降に需要が増えています。

メリット
  • リモートワーク需要の高まりで利用者が増加している
  • 初期費用を抑えて開業することも可能
  • 都市部だけでなく地方でも展開可能
デメリット
  • インターネット環境や設備整備が必要
  • 地域によっては利用需要が限定的
  • 管理や運営の手間がかかる

貸し倉庫

個人(コレクター等)や企業をターゲットに、空き家を貸し倉庫やトランクルームとして提供するビジネスモデル。とくに都市部や収納スペースが限られる地域では需要が高く、短期間から長期間まで柔軟に対応できます。

メリット
  • 運営の手間が少なく、収益化が容易
  • 初期投資が比較的低く抑えられる
  • 需要が安定しているエリアでは高収益が期待できる
デメリット
  • インターネット環境や設備整備が必要
  • 長期間利用が見込めないケースがある
  • 空き家の構造によって改修が必要になる場合がある

DIY体験施設

DIYやクラフトワークに趣味のある層や観光客をターゲットに、自身で建物や家具、インテリアなどの製作体験を提供するビジネスモデル。一定層の需要があるため、集客により固定客が付けば安定収入を得られる可能性があります。

メリット
  • 趣味や体験を楽しみたい層に需要あり
  • 集客イベントを通じて物件の魅力を発信できる
  • 設備投資が比較的少なくて済む
デメリット
  • 集客力を高めるためのプロモーションが必要
  • 設備や道具の維持費用がかかる
  • 安全対策を行う必要がある

空き家を利活用してビジネスチャンスを掴もう!

空き家を利活用したビジネスモデルは多岐にわたり、それぞれにメリットとデメリットがあります。空き家の状態や立地、地域のニーズに合わせて適切なモデルを選ぶことが成功の鍵です。空き家の利活用はビジネスチャンスを得られるだけでなく、地域活性化や社会問題の解決にもつながります。空き家を利活用して、ビジネスチャンスを掴みましょう。