シェアハウスは「一戸建てやマンションの各部屋に住みながら、リビング・キッチン・トイレ・浴室などを共有して生活する賃貸物件」です。
『シェアハウスの恋人』や『テラスハウス』などテレビドラマの舞台となったり、バラエティや報道番組で取り上げられたりもするシェアハウス。
でも実際にシェアハウスに入居したことがある人って、なかなか身近には少ないですよね。
イメージはなんとなくあっても、実際のところシェアハウスがどんな場所なのか知っている方は少ないかと思います。
今回は、「シェアハウスとは何か? シェアハウスの定義や実態」について、シェアハウスオーナーと実際の入居者が分かりやすく解説したいと思います!
どうも!空き家バンク京都の鈴木です。少しでもシェアハウスの魅力や実態が伝わればと思います!
この記事を読めば、次のようなシェアハウスへの疑問がまるっと解決するはずです。
- シェアハウスの意味・定義
- どんなシェアハウスがあるのか
- どんな人が住んでいるのか
- 魅力や不満・トラブルの実態
- 間違いやすい「ルームシェア」などとの違い
それでは早速、解説をはじめましょう!
シェアハウスって何? シェアハウスの意味・定義
「シェアハウス」の定義は、法律などで厳密に定められているわけではありません。そこで、信頼性の高い機関による定義を2つ紹介してみましょう。
まず、国土交通省の公式文書の中で用いられた定義を見てみます。
プライベートなスペースを持ちつつも、他人とトイレ、シャワールーム等の空間を共有しながら住まう賃貸物件で、入居者一人ひとりが運営事業者と個室あるいはベッド単位で契約を結ぶもの
(出典)令和2年 我が国の居住者をめぐる状況について | 国土交通省 社会資本整備審議会住宅宅地分科会(第50回)
これだと少しわかりにくいですね。別の定義を見てみましょう。
もう一つの定義は「一般社団法人 日本シェアハウス連盟」が掲載しているものです。
シェアハウスの定義とは以下の3つの要件を満たすものです。
- 最短の契約期間を1ヶ月以上とする、中~長期型滞在向け賃貸物件であること
- 入居者同士の共有スペースがあり、交流が図れること
- 国籍を問わず、入居できること
概ね、上の定義を満たしているものがシェアハウスと呼ばれます。
逆に言えば、これさえ満たしていればどんな賃貸物件でも「シェアハウス」と呼べるわけですので、シェアハウスとひとくちに言っても色々なタイプがあるのです。
例えばどんなシェアハウスがあるのか、このあと紹介していきますね!
シェアハウスの特徴
シェアハウスに共通して言える特徴は、リビング・キッチン・トイレ・浴室などを共有で使用することです。
例えば、一軒家タイプのシェアハウスなら下図のようなイメージです。
基本的に各個室には鍵がついているので、プライベートは守られています。
シェアハウスはプライベートとパブリックが共存した住まいの形、というわけですね。
「シェアハウス」と「ルームシェア」はどう違う?
「シェアハウスとルームシェアの違いがよく分からない」
こんな声を耳にすることがあります。シェアハウスとルームシェアには、次のような違いがあります。
シェアハウス | ルームシェア |
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シェアハウスはも他人同士で生活することを前提にデザインされた物件です。居住者1人ずつが個別に大家さんと賃貸契約を結び、個別に家賃を支払います。
ルームシェアは、1つの部屋を借りて、友達同士や恋人同士などで一緒に入居することです。この場合、部屋の家賃を自分たちで決めた割合で分担して支払います。
恋人同士のルームシェアは「同棲」という方がしっくりきますね!
シェアハウスは建築基準法では「寄宿舎」として届け出が必要
2013年に発表された国土交通省の見解によると、法律上「シェアハウスは、建築基準法上の寄宿舎に該当する」とされています。寄宿舎とは、Wikipediaによると、
企業や学校などが設置する労働者又は学生・生徒・児童などが居住のための施設
とされています。
つまりは、法律上は「学生寮」や「社員寮」と同じってことですか?
ちょっと違います! あくまで建築基準法なので「建物として学生寮や社員寮が満たすべき耐火・耐震や採光などの設備条件を備える必要がある」ということですね。
ただし、「3階建以下で200㎡未満」の小規模な施設についてはそこまでの基準は不要とされています。
ちなみに、数年前「脱法ハウス」として違法建築のシェアハウスが話題になりましたが、それらはこの基準を満たしていない危険性があったり劣悪な住環境だったりするシェアハウスのことだったのです。
「シェアハウス」と「ゲストハウス」の違い & シェアハウスの歴史
「シェアハウス」と「ゲストハウス」は昔は同じものを指す言葉でしたが、現在では違う意味として用いられています。どちらも複数の他人同士が一つ屋根の下で寝泊まりをする施設で、交流するスペースがあり、水回り等は共用で利用するなど共通点を持っており、似ている部分も多いです。
建物・施設の特徴自体は似ているのですが、
シェアハウスは「住まい」、ゲストハウスは「宿」
という点が異なっています。
法律の解釈上で言えば、シェアハウスは「寄宿舎」、ゲストハウスは「民泊」となりますね。
住まいと宿、まったく違うもののようですが、実はシェアハウスはゲストハウスから生まれたものです。
元々は海外のバックパッカーなどが利用する格安宿としてゲストハウスがはじまり、それが発展して日本で賃貸を借りにくい外国人のための月極住まいとなったものがシェアハウスのはじまりでした。
そのため、以前はシェアハウスのことを「外人ハウス」と呼ぶ人も多かったようです。
今でもシェアハウスと言ったら「外国人が多いの?」とイメージをお持ちの方は多いようですね。
現在ではシェアハウスも発展し、さまざまなデザイナーズシェアハウス、コンセプトシェアハウスなどが生まれ、当時の「格安賃貸」というイメージとは違ってきています。
さまざまなシェアハウスの種類 | シェアハウスは物件ごとにさまざま!
先ほどのコラムで見てきたように、シェアハウスは外国人向けの格安住まいから始まり、今ではさまざまな高級シェアハウスも生まれています。
現在、ほとんどのシェアハウスが鍵付きの個室を有していて、入居者のプライベートな空間が確保されています。
でも、昔ながらの格安シェアハウスは今も残っており、これらのシェアハウスでは一つの部屋に複数の2段ベッドを設置するドミトリータイプが一般的です。
プライベートがないなど不自由な点はありますが、「安さ」という観点だけで言えばこの上ないですね。
また、シェアハウスは「男女共同」だけでなく「女性専用」の物件も数多く存在しています。
「知らない男性と共生はちょっと…」って方もいらっしゃいますよね。
ちなみに実は、シェアハウスは女性からの方が人気があるんですよ!
女性から人気が集まった大きな理由は魅力的な「デザイナーズシェアハウス」「コンセプトシェアハウス」の登場です。
デザイナーが手がけたお洒落な内装を持っていたり、面白いコンセプトを掲げていたりするシェアハウスのことです。例えば、
- 高級キッチン家電付きの広々としたアイランド型キッチンと素敵なダイニングを備えた、料理好きのためのシェアハウス
- 入居者一人ひとりにそれぞれ菜園がつき、ナチュラルな風合いとリビングのハンモックが魅力の自然派シェアハウス
- 起業を目指す若者たちが集まり、互いに刺激を与え合う起業家シェアハウス
- 悩みを共有し、互いに助け合えるシングルマザー専用シェアハウス
などなど、全国には色々なシェアハウスがあるんです!
ちなみに空き家バンク京都では、空き家となってしまった京都の古民家を活用して家賃を抑え、古民家の風合いを残しながらリノベーションしたコスパの良いシェアハウスを展開しています!
「シェアハウス」と「ソーシャルアパートメント」の違い
ソーシャルアパートメントとは、株式会社グローバルエージェンツが商標登録している賃貸物件の一つのスタイルです。
簡単に言えば、ほぼ普通のマンションに共有ラウンジやキッチンルームなどがついていて、イベントなどによる住民交流に重きを置いたものですね!
シェアハウスとの大きく違うのは「自室にバス・トイレ付きの物件が多い」という点ですね。その分、シェアハウスと比較して家賃はやや高めです。
簡単にいってしまえば、ソーシャルアパートメントもシェアハウスの一種ですよね
グローバルエージェンツさんが独自に作り上げた「ソーシャルアパートメントというコンセプト」のコンセプトシェアハウスって思えば分かりやすいですね!
シェアハウスの魅力や特徴 | シェアハウスってどんなところ?
シェアハウスのイメージは、人によってかなり違いがあります。
シェアハウスに住んでると話すと、「BBQとかよくやるの?」とか「『テラスハウス』みたいな感じ?」などと聞かれることがありますね
「安かろう悪かろう。低所得な人が集まっていて、汚く治安が悪い」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますね…
そこまでではないにしても、騒音や掃除などのトラブルが不安って声はかなり多いですよね。それでは、実際はどうなのでしょうか?
シェアハウスの実態は、「物件や管理会社によって大きく異なる」というのが本当のところです。
上で挙げたどのイメージも「半分正解で、半分間違い」です。そういう物件もあるし、そうじゃない物件もある、という感じですね。
シェアハウスはどんなところか、データや実際の体験談を交えながら解説してみましょう!
トラブルが多い? 治安が悪い?
コラムで解説した通り、シェアハウスが登場した当初は「低所得者や賃貸契約が難しい外国人の方を対象とする格安賃貸」でした。
今もそれに近い格安シェアハウスは残っており、このような物件ではやはりトラブルが起こることもあるようです。
でも、現在ではほとんどの物件で事情が違ってきています。
シェアハウスは女性に人気 | 入居者の約7割が女性
先ほど少し触れた通り、シェアハウスは女性に人気です。なんと、シェアハウス入居者の7割は女性となんです!
コミュニティを広げたり、まったく違った人たちとの交流を楽しんだり、こういったシェアハウスのメリットは女性の方が人気なのもわかる気がしますね!
1Kくらいの家賃で広々としたキッチンを使えるメリットを挙げる女性も多いです。
20代後半〜30代前半の社会人が中心 | 実は、高収入者も多く住む
また、シェアハウス入居者の中心となっているのは「25歳〜35歳の社会人」です。
それに、きちんとした固定収入を持った方の入居がほとんどです。
僕自身もそうですが、在宅で仕事ができるフリーランスも多いですね!
敢えてシェアハウスを選んでいる高収入な方も、意外と多くいらっしゃいます。
なぜ普通に一人暮らしできる人でもシェアハウスを選ぶのかと言いますと、シェアハウスには一人暮らしでは手に入らない多くの付加価値があるからです!
一人暮らしでは手に入らない多くの付加価値 | さまざま種類のシェアハウス
最近のシェアハウスの多くは、家賃自体は一人暮らしとさほど変わりません。
でも、初期費用やがかからなかったり、水道光熱費が家賃・管理費の中に含まれていたりするので、なんだかんだで一人暮らしよりお得ではありますね
安さだけで選んでいるのではなく、そこで得られる「体験」「付加価値」を求めて選んでいる方が多いんです!
- 家庭用サイズの広いキッチンやリビング・ダイニング
- 入居者どうしの交流
などは分かりやすい付加価値ですね。また、今の時代背景もありますので「家具家電などを所有せず、身軽に生きたい」という需要も増えています。
これは僕がまさにそうです。シェアハウスは解約の縛りなども普通の賃貸物件より緩いところが多いので、モノや場所に縛られない生き方が実践できますね。
さらには、前述の通りハイスペックな設備を持ったシェアハウスや、面白いコンセプトを持ったシェアハウスも増えています。
- ジムやヨガスタジオ、シアタールームなどを併設した高級シェアハウス
- 起業を目指す若者たちが集うシェアハウス
- 「サイクリング好き」など趣味で集まるシェアハウス
- 悩みを共有し、助け合えるシングルマザー専用シェアハウス
このように、一人暮らしでは得られない体験や設備を求めて入居する方が増えているわけですね!。
多少の不便はあるけど、実はそれほど気にならない | 実は少ないトラブル発生数
シェアハウスでの生活は、一人暮らしと比べて多少不便に感じることがあるのも確かです。
例えば、使いたいタイミングで洗濯機が埋まっていたり、深夜・早朝は音に気を使ったり、などですね。
このような不便や困り事をゼロにするのは難しいですが、運営側も訪問の際入居者の声を聞くようにして、可能な限り改善するよう努力をしております!
このように、多くのシェアハウスでは運営会社が物件ごとに担当者をつけて定期的に訪問していますし、ルールがきちんと定められていたりしますので意外とトラブルは少ないのです。
「お互いが顔見知りだから、ちょっとしたことなら許せちゃう」っていうのも大きいのかなって感じますね。
管理人との距離が近くて、何でもすぐに相談できるシェアハウスほどトラブルは少ないと思いますよ!
「シェアハウス」と「ハウスシェアリング」「ホームシェアリング」の違い
シェアハウスと似た言葉は他にもあります。
「ハウスシェアリング」は「UR都市機構」が導入している制度の名前です。1つの部屋に複数人の単身者で同居できる制度、つまりはルームシェアを認める制度のことです。
また、「ホームシェアリング」も似た言葉ですが、これはApple社のMacやiPhoneが持つ機能の名前なのでシェアハウスとはまったく関係ありませんね。
似た言葉が多くてちょっとややこしいですよね。
シェアハウスは「現代日本の社会にフィットした次世代型コミュニティ」
以上のように、シェアハウスを取り巻く環境はみるみる変わってきています。
というのも、シェアハウスは現代日本が抱える多くの社会問題にフィットしており、需要は増えるのは当然な流れなのです。
現代日本は「空き家問題」や「地域コミュニティの消失」「単身世帯の増加」など多くの社会問題を抱えています。シェアハウスはそれらの有効な解決策の一つなのです。
シェアハウス事業を行なっている者たちだけでなく、国としてもシェアハウスの活用について議論されているるほどなんですよ!
コミュニケーションが希薄になりつつある社会の中で、「適度な距離感」があるゆるやかなコミュニティや、職場でも自宅でもない居心地の良い「サードプレイス」が人々求められています。
それはまさにシェアハウスで得られる体験とピッタリ一致するものです。
単純に、家に帰ってきたとき「ただいま」って言ってくれる人がいるって、やっぱり嬉しいですよね。
一人暮らしよりも心休まる、自分にぴったりなシェアハウスを探してみてはいかがですか?