京町家などの風情あるお宿に泊まりながら、”映える” お宿を舞台にゆっくりと撮影を楽しめる宿泊サービス ― それが『宿撮(やどさつ)』だ。
コロナ禍の2020年4月に誕生した宿撮は、「鬼滅の刃」「刀剣乱舞」などといった和装キャラクターのコスプレ撮影などの用途で人気を集めている。 雑誌『コスプレイモード』やyahoo!ニュースに掲載されたこともあるという。
宿撮とはいったいどんなサービスなのか。どんな方が、どのように利用しているのか。そんな宿撮についての疑問や、宿撮事業の運営の工夫、そして運営をしている宿撮プロデューサー・yukinaさんの想いなどを伺った。
(取材・文 : 充紀)
■ プロフィール : yukina(平原 由樹那)
宿撮プロデューサー。フリーでカメラマンやライター、校正や企画などを行っている。また、自身も歴15年以上のコスプレイヤー・カメラマンであり、今も現役として活動中。以前は古民家を利用した撮影スタジオの運営・管理をしていた経験もある。(→ Twitter)
―― まず、宿撮とはどんなサービスなのか教えてください。
yukina : 宿撮は、京都に残っている京町家や昭和レトロな1棟貸切のお宿に泊まりながら、お宿を撮影スタジオとしても利用していただける宿泊サービスです。お宿を管理している「空き家バンク京都」さんと共同で運営しています。
お宿での撮影だけじゃなくて、歴史ある「長楽寺」さんの境内や竹林をお借りした撮影ができる「寺撮」、廃墟を使った撮影ができる「廃撮」などの特別プランもありますよ。
―― これは面白い! こんな撮影なかなかできないですよね!
yukina :ご好評いただいております。通常だと、廃墟撮影は山の中や人里離れた場所でロケハン(場所探し)するところから始めないといけないんですが、その大変さを省いて京都市の街中、しかもお宿からなんと徒歩5歩の場所でこんな撮影ができる場所は日本中探してもまだ他にないと思います。
寺撮や廃撮の他にも、舞台美術家の竹内良亮さんが手がけた「トコヨノモリ」で撮影できるコラボプランなんかもいま期間限定で開催しているんですよ。
――コスプレ撮影以外で利用される方もいらっしゃるんですか?
yukina : そうですね。まず撮影でいえば、ドール撮影で来られる方もコスプレ撮影と同じくらい多いです。ドール撮影というのは、お人形さんを使った撮影ですね。4〜5人の団体でアニメや人形劇のお人形さんを持ち寄って、見せ合いっこしながら撮影を楽しんでくださっております。
yukina : 撮影以外でも、誕生会やアニメ観賞会で利用してくださる方もいらっしゃいますね。「みんなで大きなテレビで推しを観たい!語り合いたい!」なんて方でしたり。あと、観光を兼ねて長めに滞在される方も多いですね。
また、これはまだTwitterで見かけただけなんですが、漫画家さんや小説家さんなどが「ここで執筆したい」というお話をしていたこともありました。実物を見ながら描写したり、資料として写真に残したりしたいとおっしゃっておりました。それに、静かな執筆環境としてもおすすめですね。