食品ロスを減らし、農業を活性化したい。学生団体『tastEAT』の試みと想い ~「たべらぶる#じゃが」開催レポート~

食品ロスを減らし、農業を活性化したい。学生団体『tastEAT』の試みと想い ~「たべらぶる#じゃが」開催レポート~

2021年6月27日、空き家バンク京都のBBQテラスにて、フードロスの削減を目指す学生団体「tastEAT(テイスティート)」の第5回オフラインイベント「たべらぶる#じゃが」 が開催されました!

(画像提供)tastEAT

イベントの目的は、「形や大きさが悪い」「少し傷がある」といった理由で市場に出すことができず、廃棄されてしまっている「規格外野菜」のことを知ってもらうこと。

今回のイベントで使用したのは、規格外で廃棄予定だったジャガイモ。ただ規格外というだけで、味はとっても美味しい収穫したばかりの旬じゃがです。スウェーデンの国民料理「ハッセルバックポテト」にして、美味しくいただきました。

ハッセルバックポテトはジャガイモを丸々一つ使用する料理です。そのため、規格外とされてしまったジャガイモの形がよく分かります。規格外でも味わいは市販されているものと何ら変わらないということを、美味しく、楽しみながら感じられます。

BBQテラスにはtastEATメンバーの学友や農業に関心を寄せる若者、お子さんを連れて来てくれたご家族など、さまざまな人たちが集まりました。 同じテーブルを囲んで美味しいジャガイモを食べていると、自然に参加者どうしの交流が生まれます。

tastEATメンバーの方が活動内容や規格外野菜の現状について話してくれたり、来場してくれた方がITを導入した農業について語ってくれたり、その場にいるだけで農業やフードロスについての理解が深まる時間になったと感じます。

学生団体「tastEAT」とは?

(画像提供)tastEAT

今回イベントを主催してくれた「tastEAT(テイスティート)」さんは、【おいしく楽しくフードロスを削減】をモットーに活動する学生団体。代表の安藤千菜美さん(同志社大学4年)がSNSで想いを発信したことをキッカケに、有志の大学生7人が集まり結成されました(※ 現在は8人で活動されています)

所属メンバーは大学も住んでいる地域も様々。唯一の共通点は、『食』や『フードロス』に対する”想い”のみ。結成は昨年の9月とまだ日は浅いのですが、この短い期間に全国各地で5回のオフラインイベントを開催し、オンラインでもトークイベントやラジオ番組などを精力的に行なっています。

第3回オフラインイベント「おやさいまふぃん@東京」にて
(画像提供)tastEAT

そんなtastEATさんは、その考えや数々の取り組みが評価され、環境省とフードシェアリングアプリ「TABETE」が合同で行うプロジェクト「 “No-Foodloss!” Youth Action Project」の選定事業にも選ばれているんです!

それぞれの経験がフードロス問題を考えるキッカケに

(画像提供)tastEAT

フードロスに関心を持つようになったキッカケについて、代表の安藤さんは、次のように語っています。

「私は以前、テーマパークや居酒屋さんで飲食のアルバイトをしていたことがあります。仕事の中で『お客さんが残した食べ物をゴミ箱に捨てる』という行為にすごく抵抗感があり、なんとかならないかな、と考えていました。

そんな中、上海への中国語留学をして、日本と中国での文化の違いに驚きました。中国のレストランでは、残った料理を『お持ち帰り』できるのが当たり前の文化になっていたんです。日本でもこんなシステムが普及すればいいなと思ったのがキッカケとなり、この団体の立ち上げに繋がりました。」

 

tastEAT代表 安藤千菜美 さん

また、tastEATのメンバーのひとり一柳 翠さん (いちやなぎ みどり / 大阪府立大学3年)は、学生でありながらSDGs推進事業を行う「株式会社ネクストエージ」の代表取締役社長を務めています。そんな一柳さんは、代表の安藤さんとはまた違ったキッカケでフードロスに関心を持つようになったと話します。

「私はアメリカに農業研修で留学へ行く予定だったのですが、このコロナの影響でなくなってしまって。それで、日本の農家さんにお願いして農業研修させていただくことにしたんです。

農業研修を通して、思いを込めて丁寧に野菜づくりをする農家の方々の姿を見て、その大変さも実感して……。

そんな中で、ただ見た目の問題だけで捨てられてしまっている規格外野菜がこんなにもたくさんあるんだってことを目の当たりにして、なんとかしたいと思うようになりました。

また、一柳さんも農業研修後に飲食店でのアルバイトをしてみて、安藤さんと同様、その現状にショックを受けたと語ります。

「私が働いていたお店では、お客さんが入る前に大量に作り置きしておいて、注文が入らなければ捨てるというのが当たり前に行われていました。農家さんや酪農家さん、漁師さんなど、さまざまな人たちが手間暇かけてくれたおかげで食べることができている私たちの食材が、捨てることを前提に使われてしまっているという現状にショックを受けました。

 

tastEATメンバー 一柳翆さん

このように、メンバーそれぞれが強い想いを持って自発的に集まり行動している。そして、【走りながら考える】という方針のもと、実際に行動してトライ&エラーを繰り返しながら学び続けている――。そんなスピード感と行動力を武器に、tastEATさんは「世の中にフードロス問題への関心を向けてくれる人が少しでも増えるように」と、日々活動を続けています。

tastEATの今後の活動

(画像提供)tastEAT

そんなtastEATさんは、月1回のオフラインイベント開催を目標にしており、7月には東京で、8月は再び京都でオフラインイベントの開催を予定しています。

7月の東京イベントでは、前回好評だった【おやさいまふぃん】がさらにパワーアップして戻ってきます! こちらももちろん、規格外野菜を使用したものです。食品衛生基準やネット販売のルールも満たしていて、今後は通販購入できるようにと準備を進めているそうです。

【おやさいまふぃん】5月開催時の告知より
(画像提供)tastEAT

また、8月には再び空き家バンク京都のBBQスペースにて【おやさいじゅーす】のイベントを開催予定です! さらにその後も、空き家バンク京都と共同で「子ども食堂」イベントなどを計画しています

さらにオンラインでも、tastEATメンバーと一緒にフードロス問題を考えるトークイベント『食べトーーク』や、フードロスの専門家をゲストに招いてのZOOMラジオ放送『食べラヂオ』などを今後も開催していく予定です。

『食べトーーク! vol.1「お店」と「ロス」』(2021年5月8日)
(画像提供)tastEAT

フードロスの問題やSDGsに関心のある方、自発的に活動する若い世代を応援したい方、あるいは同じ学生としてtastEATさんのお話聞いてみたいという大学生の方、などなど、ご興味を持たれた方はぜひ、7月、8月のイベントやオンラインの「食べトーーク」「食べラヂオ」に参加してみてはいかがですか?

― 取材・文・写真 : 充紀(フリーライター/空き家バンク京都アンバサダー)

▶︎ tastEAT 公式Twitter
▶︎ tastEAT 公式Instagram
▶︎ tastEAT 公式Peatix
▶︎ tastEAT 公式note

この記事書いた人

充紀

職業フリーライター
『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆