シェアハウスのイメージは本当に人それぞれです。
『テラスハウス』のようなイメージを持つ方もいれば、お金がなくて仕方なく入居してる人や入居審査が通りにくい外国人が集まっていると思っている方もいます。
では、実際はどうなのか?
どちらのイメージも正しいし、どちらも間違っているとも言えます。シェアハウスの種類・雰囲気は物件により本当にさまざまなのです!
別の言い方をすれば、こうも言えるでしょう。
シェアハウスには、オーナーの考え・物件のコンセプトに合った人たちが自然と集まり、集まった人たちによってそのシェアハウスらしさが作られていく
つまりは、シェアハウスの在り方はシェアハウスの数だけあるんです!
そこで今回は、シェアハウスをさまざまな角度から分類してみたり、面白いシェアハウスの実例を紹介してみたり、多方面からシェアハウスの多様性に迫ってみたいと思います。
はじめまして、空き家バンク京都の古民家シェアハウスで暮らすWebライター・充紀と申します。
東京・神奈川・京都と3軒のシェアハウスを実際に体験している僕と、僕がいま住んでいるシェアハウスのオーナー・鈴木の2名で、実体験やデータを交えて解説していきますね!
どうも!空き家バンク京都の鈴木です!少しでもシェアハウスの実態や魅力を知って貰えたらと思います。
それではさっそく、シェアハウスにはどんな種類があるのかみていきましょう!
多種多様なシェアハウスの種類 | シェアハウスの定義は曖昧。様々な種類が存在
「シェアハウス」には法律などによる規定がなく、その定義は曖昧です。そのため、建物の構造や規模、利用できる設備、家賃や入居条件、ルール、コンセプトなど、あらゆる面が物件によって異なります。
まずはシェアハウスを特徴や方向性により、次の3タイプに分類してみましょう。
- コスパ型
- コンセプト型
- 格安型(ドミトリー型)
① コスパ型
コスパ型は家賃が程よく抑えられ、全体のバランスの取れたシェアハウスです。一人暮らしと比較したらやや安めですが、格安というほどでもないといった価格帯ですね。
しかし実際に住んでみると、実はかなりコスパが良いことを実感します。
1ルームや1DK程度の家賃でも広々としたリビングやダイニング、キッチンを使えるのは、シェアハウスの大きなメリットです。
管理費(共益費)の中に水道光熱費やインターネット回線代が含まれているのも大きいですね。
水道光熱費が一定となり、出費が読みやすいのも嬉しいポイントですね。
また、このタイプのシェアハウスは個室に必要な家具家電が一通り揃っているのが一般的です。共有部にも洗濯乾燥機や大型冷蔵庫などが備え付けられているので、カバン一つで入居することも可能です。
僕が今住んでいる「シェアハウス伏見稲荷」や、以前住んでいた神奈川の物件はまさにこのコスパ型のシェアハウスですね。
全国でも最も多いのがこのコスパ型のシェアハウスです。物件数が多いので、ルールや雰囲気はシェアハウス毎にさまざまです。
僕が今住んでいる物件は、適度な距離感を持ったコミュニティって感じですね。
基本的には入居者それぞれに生活していますが、リビングに2〜3人集まってテレビを見ていることもありますし、全員で食事することもたまにあります。
夏場はBBQもしてましたね!入居者さんたちがいい雰囲気作ってくださっていて、僕たちも嬉しいです^^!
ちなみに、以前住んでいた神奈川の物件もコスパ型でしたが、こちらではほとんど住民間の交流はなかったですね。
廊下やキッチンで顔を合わせれば挨拶くらいはしますが、名前すら知らない人もいましたね。何人か少し話す人もいたって感じです。
このように、同じコスパ型のシェアハウスでも雰囲気は色々です。逆に言えば、自分にあったシェアハウスを選択できる、とも言えるでしょう。
ちなみに、空き家バンク京都のシェアハウスは今のところ全てコスパ型ですね!
京都で空き家となってしまった古民家を活用することで家賃を抑えつつ、古民家の風合いを残しながらリノベーションしてコスパの良いシェアハウスを展開しています。
② コンセプト型
近年都内を中心に流行しているのが「コンセプト型シェアハウス」です。明確なコンセプトを持って物件や内装がデザインされています。
例えば、全国にはこんなコンセプト型シェアハウスがあります。
- 起業を目指す若者のための起業家シェアハウス
- 綺麗で豪華なダイニングキッチンが魅力の、料理好きが集まるシェアハウス
- ゲームや動画配信をするための環境が整ったゲーミングシェアハウス
- 互いに悩みを共有し、協力し合えるシングルマザー専用シェアハウス
コンセプト型シェアハウスの場合、管理会社やオーナーが明確にコンセプトを掲げているので、それに共感して似たタイプの人が集まる特徴があります。
家賃は比較的高めのシェアハウスが多いですが、魅力的な物件が多いですよね!
空き家バンク京都も今後、コンセプト型シェアハウスの展開も視野に入れています。
③ 格安型(ドミトリー型)
シェアハウスが日本に登場した初期の頃からあるのが、「ドミトリー」と呼ばれる格安のシェアハウスです。
このタイプのシェアハウスは家賃が非常に安い代わりに個室がなく、自分の占有スペースは基本的に割り当てられたベッドの上のみというものです。
一つの部屋に複数の2段ベッドが置かれているような感じですね。
僕は「日割り計算OK」という池袋の格安シェアハウスを2日間だけゲストハウス代わりに利用したことがあります。
もちろん物件によるとは思いますが、僕が行ったところは正直汚かったし、安心感もなくて、住むのはちょっと厳しかったですね……
格安だと管理が行き届きにくくなってしまうので、そういう場合も多々あるようですよね。でも、ドミトリーでもきちんと管理された物件はたくさんありますよ!
ドミトリータイプのシェアハウスは、プライベートがないので住む人を選びます。その代わりかなり格安なので、管理が行き届いた物件がうまく見つかれば固定費を大きく節約できます。
交流の多さもシェアハウスによって全然違う | ソーシャル型とゼロコミュニティ型
入居者間の交流がどのくらいあるのかも物件によってさまざまです。
先ほど僕の実体験を紹介した通りですね!
大抵の物件では、シェアハウスのコンセプトやリビング・ダイニングの過ごしやすさ、実際に入居した人たちの性格などによって自然と交流の多い物件となったり、逆にあまり交流のない物件になったりするものです。
しかし、中には入居者間の交流の「多さ」あるいは「少なさ」を明確に特徴と打ち出している物件もあります。
オーナーや管理会社が積極的に入居者間の交流を図るタイプのシェアハウスは「ソーシャル型」と呼ばれます。ソーシャル型の物件はリビングやラウンジなどにこだわっていることが多いです。
それとは真逆で、ほとんど交流がないことを売りにしているシェアハウスもあります。「ゼロコミュニティ型」と呼ばれ、共用部はありますが、ライフスタイルはほとんど一人暮らしと変わらないタイプです。
建物の種類や規模もさまざま
建物の種類や規模も物件ごとにシェアハウスを分類するなら、
- 戸建てタイプ
- アパート・マンションタイプ
- 大型タイプ
に分けられます。
最も一般的なのが「戸建てタイプ」です。一軒家のリビング、キッチン、トイレなどは共同利用で、各部屋はプライベートな空間としてそれぞれ割り当てられます。
「アパート・マンションタイプ」や「大型タイプ」の場合、ホテルのようなイメージが近いです。共有スペースとして広いダイニングキッチンやランドリースペースなどを備えているのが一般的です。
女性専用など入居者制限があるシェアハウスも
入居者の制限で分けることもできます。シェハウスは「男女共同」と同じくらい「女性専用」も多いです。
「知らない男の人と一緒に住むのはちょっと…」って女性もいらっしゃると思いますが、女性だけなら安心ですよね。
ちなみに、シェアハウスは圧倒的に女性に人気なんですよ! シェアハウス入居者の7割は女性なんです。
また、「男女共同」と「女性専用」の区別だけでなく、コンセプトに合わせた入居者制限を設けて差別化していることもあります。例えば次のようなシェアハウスが実際に存在しています。
- 高齢者専用シェアハウス
- フリーランス限定シェアハウス
- シングルマザー専用シェアハウス
話題の「ソーシャルアパートメント」はシェアハウスとどう違う?
ソーシャルアパートメントとは、(株)グローバルエージェンツさんが商標登録をしている賃貸物件のスタイルです。
ソーシャルアパートメントを簡単に説明すると、
「従来型の賃貸 + 共有ラウンジ + 住民交流」
というコンセプトを掲げた住宅スタイルです。基本的にはマンション型シェアハウスと似ていますが、
- 自室にバス・トイレ付きの物件が多い
- 集まりたくなるラウンジを備えている
- ソーシャルアパートメントというコンセプトに惹かれた人が集まっている
という点が特徴です。ただし、一般的なシェアハウスと比較して家賃はやや高めです。
一言でまとめるなら、グローバルエージェンツさんが提案する「ソーシャルアパートメント」というコンセプトの「コンセプトシェアハウス」ですね
コンセプトが面白い! 魅力的なシェアハウスの一例
さまざまなシェアハウスの分類を解説してきましたが、やはり実際にある「面白いシェアハウス」はどんなものがあるのか見てみたいですよね!
うちの物件じゃないのが悔しいですが、僕自身も「これは面白いな!」と思う全国のシェアハウスを3つ紹介していきます!
『マツコ会議』で話題の高級シェアハウス『麻布ガーデニア』
東京の人気エリア港区六本木・麻布十番に位置する『麻布ガーデニア』は、日本テレビの「マツコ会議」で取り上げられたことで有名な高級大型シェアハウスです。
家賃は管理費・光熱費等込みで月9〜12万円くらいの部屋が多く、初期費用もそこそこかかるためシェアハウスとしてはかなり高級な部類になります。
でもこのシェアハウスはそれでも住みたくなる魅力が詰まってるんです!
個室は基本的にベッド・デスク・チェアなど最低限必要なものは備え付けられていますし、オートロック付きのエントランスなどセキュリティもしっかりしています。
そして何よりの魅力は豪華な共有スペースです。シアタールームやルーフトップテラス、トレーニングジム、広くて綺麗なダイニングキッチンなど、普通の一人暮らしならまず手に届かない設備を生活の中で使用することができます。
東京タワーを一望できる麻布十番というロケーションも魅力的ですね。
ハンモックと菜園がある暮らし『シェ・トワ 鷺沼』
神奈川県川崎市のシェアハウス『シェ・トワ 鷺沼(さぎぬま)』は「自然・和み・癒し」というコンセプトを掲げるシェアハウスです。
家賃は共益費込みで6.5万円程度、男女共同で5部屋の個室を備えた物件で、優しい木の風合い、ハンドメイドの柔らかさ、ナチュラルな色づかいなど、自然をいつでも感じることにこだわっているそうです。
何よりの特徴はリビングに備え付けられたハンモックと、入居者一人ひとりに菜園が割り当てられていることです。
菜園で収穫した野菜を調理してみんなで食べたりもするそうです! ナチュラルで健康的な生活に憧れますね。
フリーランス専用シェアハウス『ノマド家』
神奈川県茅ヶ崎市には、入居者全員がフリーランスのシェアハウス『ノマド家』があります。エンジニアやデザイナー、Webライターなど、Web系フリーランスの限定のシェアハウスです。
入居者は「フリーランスチーム」に加入することができ、入居者どうしやOB・OGさんと協同して仕事をすることができるシステムが整えられているそうです。
互いの強みを活かして効率やクオリティを高めた仕事ができますし、生活の中で刺激を与え合うことができますね!
コロナの影響・リモートワークの増加などを受け、最近の住宅業界では「職住融合」が話題となっていますが、まさにそれを実践しているシェアハウスの一例と言えます。
実は空き家バンク京都でも違う形で「職住融合」を実践し始めています。店舗付きの空き家を丸ごと一軒、物件によっては月5万円程度からお貸しして自分のお店を持ちたい方を応援しているんです!
自由にリフォームしてOKですし、僕たちもできる協力は何でもする体制を整えていますよ!
この『ノマド家』や空き家バンク京都のように、「職住融合」のライフスタイルを色々な形で提案するシェアハウスが今後増えてきそうですね。
経験者が語るシェアハウスのメリット・デメリット
どれだけ魅力的なシェアハウスでも、普通の一人暮らしとは違う「他人との共生」というライフスタイル自体が不安な方はやはり多いと思います。
実際にシェアハウスに住んでみて感じる魅力やメリット、逆にデメリットや注意点などをまとめてみましょう。
ここまでの内容でも分かる通り、「入居するシェアハウスによってメリットもデメリットも全然違う」というのは大前提です。
極端な例は抜きにして、多くのシェアハウスに当てはまることだけピックアップしてみましょう。
シェアハウスの魅力やメリット
シェアハウスのタイプに寄らず言えるメリットとして、次の3つが挙げられます。
- タイプによらずコスパが良い
- 初期費用が抑えられる
- 身軽なライフスタイルが手に入る
家賃が安めのところも高いところも、共通して「同じ値段で一人暮らしするよりコスパが良い」ことは間違いないでしょう。
特に入居時にかかる初期費用にはかなりの差が出るので、費用面のお得さはやはり大きいです。
費用やコスパ面については以下の記事も読んでみてください。
また、家具家電などが備え付けでついており入退去が手軽な物件が多いことから、シェアハウスに住んでいるとミニマリスト的な、モノを持たない暮らしを実践しやすいこともメリットと言えます。
僕がシェアハウスに住む大きな理由の一つでもありますね。「モノの所有」より「体験・経験・偶然」を重視したいと思っているので、価値観の違う人との交流があり、入退去がしやすいシェアハウスとはすごくマッチしていると感じます。
ちなみに空き家バンク京都では、自社物件のシェアハウス間での移動は無料でできますし、無料で引っ越しサポートもしていますよ!
まさにそれがこのシェアハウスを選んだ理由ですね! 京都中の観光地を実際に住みながらじっくり回りたかったので、これは本当に助かります^^
以上に挙げた
- タイプによらずコスパが良い
- 初期費用が抑えられる
- 身軽なライフスタイルが手に入る
という3つのほかにも、物件ごとにさまざまなメリットがあります。自分に合ったシェアハウスに出会えれば、それこそ費用やコスパでは計れないメリットを感じられるはずです。
シェアハウスのデメリットや注意点
逆にデメリットや覚えておくべき注意点は、次の4つです。
- シェアハウス選びは慎重に!
- シャワーやキッチンを使いたい時に使えないことも…
- やっぱり多かれ少なかれ気は遣う
- たまに共有部が汚れていることも…
まず、言うまでもなく最も大切なのが「シェアハウス選び」ですね。管理が行き届いていない物件や、自分に合わない物件に入居してしまうとデメリットを強く感じてしまいます。
また、どんなシェアハウスであっても、多かれ少なかれ一人暮らしより気は遣います。例えば、目覚まし時計や深夜の生活音などですね。
浴室やキッチンも共有なので、自分が使いたいと思ったタイミングで埋まっている場合もあります。
シェアハウスは良くも悪くも「ルール」や「譲り合いの精神」でうまく回るものだな、と感じますね。
むしろ、互いにある程度の気を遣い合っているからこそ心地よい生活ができるものだと思います。
もちろん、何か問題や困ったことがあるときは、相談してもらえればルールを作ったり改善したり、設備面を整えて解決したりなど、できる対策は何でもしますよ!
適度に気を遣い合ったり、譲り合ったりすることでみんなが快適に過ごせるシェアハウスになりますが、不満が溜まってしまうとトラブルの原因になります。
困ったことや嫌なことがあるときに入居者どうしで直接言いやすい関係性・雰囲気であるとか、オーナーさんや管理担当者さんに気軽にお願い・相談がしやすいシェアハウスを選ぶのがデメリットを感じないポイントですね。
シェアハウスは多種多様。居住者とオーナー、関わる人たちによってシェアハウスは形成される
ここまで見てきた通り、シェアハウスは本当に多種多様で、物件によって家賃相場も、雰囲気も、入居者層も、まったく異なります。
結局のところ、まとめるなら「シェアハウスは入居者やオーナー・管理会社、そこに関わる人たちによって形成される」、ということです。
だから、大切なのは物件選び。運営側がしっかり管理したり、シェアハウスにコンセプトを与えたりすることで、どんなシェアハウスになるかのベースが作られるのです。
シェアハウスへの入居を考えるなら、選ぶ時は「自分にあった物件かどうか」「管理担当者はどんな人か」実際に内見して確認してみることが大切です!
「空き家問題」や「地域コミュニティの消失」などが社会問題となる現代の日本。その解決策としてシェアハウスは今注目を集め、日本中でどんどん魅力的なシェアハウスが作られています。
今後、シェアハウスという文化が日本社会にもっと浸透して欲しい、いや、していくだろう、と思っています。