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PICK UP

新着情報

空き家バンク京都では、私たちの強みである人と人との繋がりを生かして、子ども食堂の運営を行っています。

2022年7月に空き家バンク京都事務所のスペースで、第一回子ども食堂を開催しました。

これまで月1回の開催をしてきましたが、子ども達を輪にした地域社会の交流をより深くしたいと考えています。

そこで空き家バンク京都では、九条駅から徒歩3分の場所に『子どもCAFE』をオープンします!

空き家バンク京都子ども食堂 公式サイト
(今後の開催情報や過去のイベントの様子がご覧になれます。)

子どもCAFEとは?

子どもCAFEでは、カフェ営業とバー営業を行います。

また、子どもCAFEで提供するすべての食材は、空き屋バンク京都がこれまで関わった個人・団体・企業さまからいただいた支援でまかないます。

カフェ営業

日中は、子ども達に無料でご飯などを提供する場所として活動する予定です。

ほとんどお休みせず営業するので、子どもを通じて地域のみなさまが気軽に利用できるカフェになることを目指しています!

日替わりで、カレーなどの温かいごはんを用意してお待ちしています♪

バー営業

夕方からは、地域の方々や観光客が利用できるカフェ&バーとして営業!京都の日本酒を中心に、簡単なおつまみをご提供します。

お酒や料理、そしてお店の雰囲気を楽しむ居酒屋やバーとは違い、お酒を通して地域住民や観光客が会話できる環境づくりに取り組む予定です。

『子どもCAFE』は持続的な営業をするための取り組み

子どもCAFEでは、食材だけでなく調理器具や食器などあらゆる物資を、個人・団体・企業さまから支援していただいています。

子ども達の居場所を作るには、持続的に営業することが重要ですが、支援物資だけでは子どもCAFEの営業を持続させることは難しいです。

そこで空き家バンク京都では、子どもCAFEのキッチンで作ったお菓子をEC販売します!子どもCAFEは郵便局の隣に立地しているため、手作りお菓子をすぐに全国へ送ることが可能です。

そして、すべての売り上げを子どもCAFEの運営に利用します。

さらに、手作りお菓子は、子どもCAFEで使い切れなかった食材も使用するので、フードロスへの貢献も実現します。

子どもCAFEへの想いとは?

子どもCAFEを運営する、店長三田村さんと空き家バンク京都代表の鈴木さんにインタビューしました!お2人の子どもCAFEへの想いとは?

店長 三田村さんの想い

子ども食堂さんに関わらせていただいてから、約半年になります。

子ども食堂を手伝いながら、たくさんの方とお話しして、子ども食堂の必要性を強く感じました。

この度、子どもCAFEの店長というかたちで実現する事になり、これまで以上にたくさんの方にご利用頂けるよう努めていきます。

ぜひお気軽にお立ち寄りください!

空き家バンク京都代表 鈴木さんの想い

子ども食堂を知らない方や、地域の人が気軽に来てもらえるような場所にしたいと考えています。

また、子ども食堂を身近に感じていただき、物資が集まる仕組みを作ることで、うまく支援物資を提供できる環境にしたいです。

毎日営業することで、物資がもらえる場所として多くの方々に認知してもらいたいですね!

子どもCAFE 店舗情報

営業時間 子どもCAFE 9:00~17:00/Bar 17:00~24:00
定休日 年中無休
住所 京都府京都市南区東九条中御霊町43番地2 空き家バンク京都|子ども食堂CAFE

  • 耐震診断とは何か?
  • お家の耐震性が知りたい!
  • 耐震診断は無料でできるの?

お家の耐震性を把握しておくことはとても重要です。耐震性が低いまま放置しておくと、大きな地震が来たときに耐えられず、倒壊してしまう可能性があります。特に1981年以前に建築されたお家は要注意です。

鈴木
鈴木

空き家バンク京都では信頼できる一級建築士耐震診断士をご紹介できます。


この記事では耐震診断の必要性無料耐震診断の要件について解説しています。

耐震診断とは旧耐震基準で設計された既存の建築物が現行の新耐震基準の耐震性に適合しているかを確認することです。京町家や1981年5月31日以前に建築された建築物は無料で耐震診断できる可能性があります。

耐震診断とは

耐震診断とは?

耐震診断とは旧耐震基準で設計された既存の建築物が現行の新耐震基準の耐震性に適合しているかを確認することをいいます。

建物の耐震基準は1950年に施行された建築基準法によって定められています。建築基準法はこれまで大きな地震の被害を受けるたびに見直されてきました。

中でも1番大きな改正が、1981年(昭和56年)の新耐震基準が改正された時です。これは1978年宮城県沖地震の被害を受けての改正でした。

それまでの耐震基準が見直され、1981年(昭和56年)6月に新耐震基準へと改正されました。

建築基準法の変遷

耐震診断は義務?必要?

2013年に耐震改修促進法が改正されて以降、大規模建築物の耐震診断は義務付けられました。

大規模建築物とは?
以下①、②の条件を満たす建築物
①階数3及び床面積の合計5,000㎡以上の病院、店舗、旅館等の不特定かつ多数の者が利用する建築物等であること
②旧耐震基準により新築した建築物(新耐震基準により増築等の工事を行い、検査済証の交付を受けたものを除く。)であること

大規模建築物以外は耐震診断の実施は義務付けられていませんが、1981年5月31日以前に建築された建築物は耐震診断をする必要があります。
なぜなら1981年以前の建物は震度6強の地震が来た場合、全壊もしくは倒壊する可能性が高いからです。
建築時に耐震基準を満たしていても、雨漏りや白蟻の被害、劣化により耐震性能が低下している可能性もあります。

耐震診断の方法

耐震診断の方法は建物が「木造」「非木造」(鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造)で異なります。

ここでは木造の耐震診断について解説します。木造の耐震診断には以下の3種類があります。

  1. 誰でもできる我が家の耐震診断
  2. 一般診断法
  3. 精密診断法

1、誰でもできる我が家の耐震診断

平家または2階建の木造住宅が対象。問診内容に沿って自ら耐震診断を行うことができます。

例えば、

  • 建てたのはいつ頃ですか?
  • 今までに大きな災害に見舞われたことはありますか?
  • 増築について

などなど。

問診結果は以下の3段階で判定されます。

  • ひとまず安心ですが、念のため専門家に診てもらいましょう
  • 専門家に診てもらいましょう
  • 心配ですので、早めに専門家に診てもらいましょう

専門家に診てもらう必要がある場合は、耐震診断士へ依頼しましょう。

問診は以下のURLよりご自身で行うことができます。

国土交通省住宅局が監修する問診内容

2、一般診断法

一般診断は図面を用いて専門家が目視により診断します。壁や天井を剥がすような破壊はしません。

3、精密診断法

伝統工法で建てられた木造建物(京町家)の耐震診断などに用いる高度な診断方法。必要に応じて壁や天井を剥がし、内部構造まで確認します。

耐震診断の流れ

予備調査(設計図の有無や建物の構造など、情報収集を行う)
現地調査(専門家が実際に現地で調査を行う)

京都では専門家の耐震診断を無料で受けれる可能性があります

耐震診断は無料で受けれる可能性がある

通常耐震診断は費用がかかりますが、要件に当てはまれば無料で専門家の耐震診断を受けることができます。費用の目安は延べ床面積が120平米ほどの木造住宅で、約40~50万円ほど。(日本耐震診断協会

無料耐震診断の要件

無料耐震診断の要件は派遣対象者(診断したい方)補助対象建築物(診断したい物件)の両方を満たす必要があります。

  • 派遣対象者(診断したい人)
  • 補助対象建築物(診断したい物件)

派遣対象者の要件(診断したい人)

派遣対象者(耐震診断をしたい人)は以下2つの場合が該当します。

  • 建築物の所有者(予定者含む)
  • 建築物の居住者(予定者含む)

申請者が建築物の居住者の場合、関係者全員に同意を得る必要があります。

同意が必要な関係者とは、

  • 申請者が居住者の場合・・・所有者の同意
  • 対象建築物が長屋の場合・・・他の住戸の所有者及び居住者の同意
  • 対象建築物が借家の場合・・・借家人の同意

補助対象建築物の要件(診断したい物件)

補助対象建築物(耐震診断したい物件)の要件は、京都市内の木造住宅または京町家。 ※居住部分の床面積が延べ面積の2分の1以上の併用住宅を含む。
木造住宅と京町家では細い要件が異なります。

○木造住宅の場合
・木造の一戸建て住宅、長屋及び共同住宅
・1981年(昭和56年)5月31日以前の建物
・地上3階建以下、延べ面積が500平米以下の在来工法または枠組壁工法による住宅

○京町家の場合
・木造の一戸建て住宅、長屋及び共同住宅
・昭和25年11月22日以前に着工された住宅
・地上2階建以下、延べ面積が500平米以下の伝統工法による住宅

無料耐震診断の調査時間は?

木造住宅で約2~3時間、京町家で1日

無料耐震診断の内容

耐震診断では「目視確認」「聞き取り調査」の2つを行います。

  • 目視確認
  • 聞き取り調査

内観と外観、屋根裏、床下、住宅内すべての部屋の確認・写真撮影

1、木造住宅
診断結果、補強計画案、工事費の概算見積もり、耐震改修に向けたアドバイスや情報提供

2、京町家
耐震改修に向けたアドバイスや情報提供

3、京町家の基本計画作成
京町家の場合、将来的な耐震改修の参考となる基本計画を耐震診断士が作成。(自己負担2万)

具体的な診断内容は以下のとおり。

  • ひび割れ
  • 建物の傾き
  • ドアの開け閉めの不具合
  • 壁やベランダの状況
  • コンクリートの厚さ
  • 柱や梁の太さ、大きさ、長さが設計図通りか

調査から2ヶ月後に、耐震診断結果報告書を持参します。

1981年5月31日以前の建築物なら耐震診断を受けよう!

京町家や1981年5月31日以前に建築された建築物は、耐震診断を受けましょう。
震度6強の地震が来た場合、全壊もしくは倒壊する可能性が高いです。
建築時に耐震基準を満たしていても、雨漏りや白蟻の被害、劣化により耐震性能が低下している可能性もあります。

空き家バンク京都事務所にて7月31日、初めての子ども食堂を開催しました。

猛暑にもかかわらず、子ども達を含め約50名もの方にお越しいただきました。イベント開催に合わせて、会場横でフリーマーケットもあり、子ども達が楽しむ姿が見られ、大盛況となりました。

コロナ禍に配慮して、お弁当のご提供とし、暑さの対策をしながら室外で交流しました。

空き家バンク京都の子ども食堂について

空き家バンク京都は、子ども食堂を毎月開いていく予定です。今回は初開催でしたが、このように多くの企業・個人様、ボランティアの方々がご協力してくださいました。

空き家バンク京都が子ども食堂を開催する理由

子ども食堂は、地域住民の方々が家庭での共食が難しい子ども達に対し、共食の機会を提供する取り組みで、全国に広がっています。

子供食堂と連携した地域における食育の推進(農林水産省)

この取り組みを私たち空き家バンク京都でもできないかと、6月25日に子ども食堂の情報交換会に参加させていただき、準備を進めてきました。

また、多くの企業様より食料品などを提供していただき、7月31日に開催する見通しが立ちました。

コロナ禍のため、参加の人数制限をさせていただきましたが、それぞれの方々ができるかたちで参加やご協力をしていただき、大変感謝しております。

子ども食堂は、地域住民の方々や自治体、NPOなどが主体となってボランティアでやる事例が多く見られます。私たちの活動拠点である京都でも多くのボランティアさんが活動されているようです。

子どもの居場所づくり「支援の輪」サポート事業

企業としての参加は、食料品の協力や協賛などが多いかと思います。しかし、私たち空き家バンク京都が持つ人と人とのつながりを生かして活動したいと考え、協力や協賛だけではなく、主催側として立ち上げを行いました。

企業の役割として、利益を追求するだけでなく、地域社会への貢献が今後さらに重要になってくると考えています。会社が持つ場や人のつながりを活用し、さらにつながりをつくっていくことが重要だと考えました。

そういった社会的・人的資産を高めていくことが今後、必要になってくることだと思います。子ども食堂をやることによって、子ども達への貢献だけでなく、子ども達を輪にした人と人とのつながりが生まれ、より地域社会の交流が生まれていくことを目指していきたいです。

結果として今持つ人脈やSNSを活用し、また直接のお声掛けをさせていただき、開催の運びとなったことに大変感謝致します。

代表鈴木の想い

「若者たちが必要でない苦難をなくすために

我々大人たちが出来ることをやる。

それは我々大人の役目であり当然のことなのだと思う。

そしてその子ども若者達が大人となり次の役回りを担ってくれる。

全ての物事にはかならず経緯があり

いまの自分がある経緯を決して忘れてはいけないと思い出来ることをやるだけ」

若い世代の人たち、子ども達がしなくてもいい苦難を減らすために、私たち大人ができることは何だろう…。子ども達が次の世代になっていくために、大人ができることとは?

そんなことを考え続け、子ども食堂というかたちで応援したいと思いました。今後もさまざまな方々と連携、協力しながら毎月開催していきたいと考えています。

今後も、子ども食堂が持つさまざまな可能性を生かし、よりよい地域社会の貢献につなげていきたいと思っています。子ども達が笑える場をともにつくっていきましょう。

 

  • 空き家はそのまま放置するとどうなる?
  • リスクやデメリット、法的な罰則はあるのか?

以上のことでお悩みではありませんか?

実は空き家を放置していることで罰則金の支払いを命じられたり、解体・撤去費用が請求されるといった事例もあります。
その理由は、2015年に空き家対策特別措置法が施工されたからです。

空き家バンク京都代表

鈴木 一輝

1988年生まれ。京都産業大学卒。宅地建物取引士。1級空き家管理士。これまで100件以上の空き家に関するご相談をお受けしてきました。倒壊寸前の空き家でもお家のなかにある 「想い」 を大事にして、直すべきものは直し、残すべきものは残し、新たな活用方法を見出してきました。

今回は以下の内容について解説していきます。

○記事内容

  • 空き家を放置する6つのリスクやデメリット
  • 空き家を放置すると固定資産税は6倍になる!?
  • 空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

結論から言うと、空き家を放置していると以下6つのリスクがあります。

  1. 建物の倒壊
  2. 放火
  3. 空き巣
  4. 景観の悪化
  5. 不法投棄
  6. 資産価値の減少

また、空き家対策特別措置法により特定空き家に認定されると固定資産税は6倍になります。
さらには罰則金50万円を支払わなければならなケースもあるので絶対に放置してはいけません。

空き家の管理方法についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
空き家の管理は必要?具体的な管理方法や放置すると起こり得る問題について一級空き家管理士が解説
自分で管理をする方法や管理業者に任せる方法、年間にかかる維持費や管理をする頻度などについて解説しています。

空き家を放置する6つのリスクやデメリット

空き家を放置する6つのリスクやデメリット
空き家を放置していると様々なリスクやデメリットがあります。

  1. 建物の倒壊
  2. 放火
  3. 空き巣
  4. 不法投棄
  5. 景観の悪化
  6. 資産価値の減少

それぞれ詳しく解説していきます。

1、建物の倒壊

人の住まなくなった空き家は建物の劣化がとても激しく、修繕箇所を放っておくとやがては倒壊してしまう危険性があります。
建物が倒壊してしまうよくある原因の1つが雨漏りです。
雨漏りに気付かず長年放置していると、柱や床が腐ってシロアリが発生します。

空き家を放置する6つのリスクやデメリット

雨漏りが原因で倒壊しかけの空き家

建物が倒壊して近隣住宅まで被害が及んだ場合の修繕費は空き家の所有者が負担しなければなりません。

2、放火

枯れ草やゴミを放置したままにしていると放火の被害に遭う可能性もあります。
放火は空き家の出火原因の中でも最も多く、他にもタバコのポイ捨てから出火する場合もあります。

3、空き巣

残置物が盗まれるだけではなく、ものを破壊したり、落書きされたりといった被害もありました。
家の鍵を施錠することは当然ですが、施錠していても窓ガラスが割れていたり、門扉の鍵が開いていたりした場合でも狙われやすいです。

4、不法投棄

初めは小さなゴミのポイ捨てでも放っておくと冷蔵庫や電子レンジといった大型家電の不法投棄被害に遭う場合もあります。

5、景観の悪化

建物の修繕を怠ったり不法投棄を放置していると、その空き家だけではなく街全体としての景観が悪化していきます。

6、資産価値の減少

空き家を修繕せず放置しておくとやがては資産価値の減少へと繋がります。
どんな立派なお家でも放置しすぎると解体するしかなくなります。
まだ価値あるうちに賃貸や売却など何らかの活用方法を見出しましょう。

空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?
空き家の活用や処分を促進し空き家問題を解決するため、2015年5月に空き家対策特別措置法が施行されました。
これにより空き家を放置すると罰則金の支払いや行政代執行により、所有者に代わって自治体が空き家の解体・処分を行うことができるようになりました。
しかし実際空き家になってすぐに罰則金の支払い義務が発生したり、解体されるわけではありません。
行政代執行が行われるまでは以下の6つの段階があります。

  1. 調査
  2. 特定空き家に認定
  3. 助言・指導
  4. 勧告
  5. 命令
  6. 行政代執行

空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

順番に解説していきます。

1、調査

空き家の状態で長らく放置されているとまずは自治体が空き家への立ち入り調査や空き家の所有者を把握するために固定資産税の情報などが調査されます。

2、特定空き家に認定

調査の結果、以下の状態と判断された場合は特定空き家へと認定されます。

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

これらの具体的な判断基準については国土交通省のガイドラインへ明記されています。
1、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

2、著しく衛生上有害となるおそれのある状態
空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

3、適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

4、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
他には、立木が道路にはみ出て歩行者の通行を妨げている場合やシロアリが発生している場合、不特定の多数の者が容易に侵入できる状態で放置されている、などが挙げられます。

3、助言・指導

特定空き家に認定されると自治体は所有者へ対して助言・指導を行います。

4、勧告

指導後改善が見られなかった場合、自治体は改善するよう勧告を出します。
勧告されてしまうと、これまでのように土地の固定資産税と都市計画税が優遇されなくなり、従来の何倍もの税金を支払う必要があります。
具体的には固定資産税が6倍、都市計画税が3倍になります。

  • 土地の固定資産税:6倍
  • 土地の都市計画税:3倍

5、命令

勧告しても改善されない場合は管理するよう「命令」されます。
これまでの「助言・指導」「勧告」とは異なり、命令に背くと50万円以下の罰金が科されます。

6、行政代執行

さらに命令を受けても改善が見られない場合は行政代執行により、空き家が解体されます。
この時にかかった解体・撤去費用は空き家の所有者へと請求されます。
あくまで目安ですが、30坪の木造住宅だと90〜150万円ほどの解体費用がかかります。

まとめ|空き家を放置するとどうなる?

まとめ|空き家を放置するとどうなる?
空き家を放置し続けて特定空き家へ認定されると、固定資産税が6倍になり、改善するよう自治体より助言・指導、勧告、命令されます。
命令に背くと50万円以下の罰則金を支払わなければならず、それでも改善が見られない場合は行政代執行により空き家が解体されてしまいます。
特定空き家に認定されないとしても不法投棄や空き巣、放火など犯罪の温床にもなりますし、倒壊の危険性もあります。

特定空き家に認定されたとしてもきちんと改善すれば最悪のケースは免れます。

  • 空き家問題を抱えて困っている
  • 長年放置していてどう手をつけたら良いかわからない

どんな状態でもお引き受けいたしますので、まずは1度、空き家バンク京都へご相談ください。

お問い合わせ 

やりたいことはあるけど資金がない……。
そんなあなたには、クラウドファンディングをオススメいたします。

クラウドファンディングを利用すれば、自己資金が足りなくてもやりたいことを実現できるかも知れません。

空き家バンク京都は国内最大のクラウドファンディングサイト『CAMPFIRE』とパートナー契約を結んでいます。プロジェクトの起案から記事の作成、魅力的なリターン品の選び方なども全部まとめてサポートできます。

それだけではなりません。店舗などに関するお見積もり、設計、改装工事まで弊社が一貫して行えます。

弊社と一緒に、クラウドファンディングであなたの夢を実現してみませんか?

 

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディング(crowdfunding)とは、

群衆(crowd)+資金調達(funding)

からなる造語です。インターネットを通して自分の夢や活動、実現したい事業案を発信し、その想いや商品/サービスの魅力に共感・賛同してくださった人が、支援金という形でプロジェクトを応援する仕組みとなっています。

初期投資に必要な資金や、銀行から融資を受けることが難しい場合でも、共感してもらうことで資金を調達することができるという点が新しい資金調達の手段です。

現在では途上国支援や商品開発、自伝本の制作など幅広いプロジェクトにて利用されています。

 
クラウドファンディングとは?

出典:CAMPFIRE

 

クラウドファンディングをするメリット

クラウドファンディングのメリット クラウドファンディングをするには3つのメリットがあります。
  1. 1.まとまった資金の獲得
  2. 2.ファンの獲得
  3. 3.メディアへの露出、認知度アップ
 

1.まとまった資金の調達

支援者一人あたりの支援金は小さくても、数百人、数千人、うまくいけば数万人の支援者を募ることができるので、集まる金額としてはとても大きくなります。

銀行で融資できる金額と比べると圧倒的に高額です。

2.メディアへの露出・認知度アップ

クラウドファンディングサイトへのアクセス数が多いので、プロジェクトを公開するだけで多くの人に知ってもらうことができます。

プロジェクトの公開後はSNSで拡散されるのでそこからさらに拡散されます。場合によってはメディアに取り上げてもらえる可能性もあります。

3.ファンの獲得

メディアへの露出と同時にファンを集めることもできます。クラウドファンディングはその商品やサービスへの想いや背景が重視されるのでファンも集めやすいです。ファンの獲得やブランディングは一般的にはコストや時間がかかるものですが、クラウドファンディングを活用することで、コストや時間を大幅に削減することができます。

クラウドファンディングをするデメリット

クラウドファンディングをするデメリット

一方でクラウドファンディングを利用するデメリットもあります。

  1. 1.達成できない可能性
  2. 2.時間と手間がかかる
 

1.資金調達ができない可能性も

全てのプロジェクトが達成できるわけではありません。商品やサービスに対する想いや返礼品の魅力が上手く伝わらなければ達成できない可能性もあります。

2.時間と手間がかかる

クラウドファンディングを利用するためには、プロジェクトの起案や必要経費の見積もり、プロジェクトページの作成や申請、返礼品の設定や発送など多くの時間と手間がかかります。

空き家バンク京都は「CAMPFIRE」認定パートナー

空き家バンク京都は「CAMPFIRE」認定パートナー

空き家バンク京都は国内最大のクラウドファンディングCAMPFIREとパートナー契約を結んでいます。

これまでクラウドファンディングのサポートをさせていただいた経験があるので、プロジェクトの起案、必要経費の見積もり、プロジェクトの作成〜達成まで一貫してサポートすることができます。

特にプロジェクトを作成する上で商品やサービスの紹介文はとても重要です。弊社のプロのライターにより、あなたの想いや魅力をわかりやすく誤解なく伝えることができます。

クラウドファンディングの流れ

クラウドファンディングの流れ

ここで「CAMPFIRE」を利用したクラウドファンディングの流れについて解説します。

  1. 1. 打ち合わせ
  2. 2. インタビュー・撮影
  3. 3. プロジェクトページの作成
  4. 4. プロジェクトページの申請、審査
  5. 5. プロジェクトの公開
  6. 6. プロジェクトの終了
  7. 7. 支援金の受け取り・返礼品の発送

打ち合わせ〜支援金の受け取りまで早くても4.5ヶ月ほどかかります。

クラウドファンディングの流れはこちらになります。

クラウドファンディングの流れ  

実際にクラウドファンディングを活用した例

実際にクラウドファンディングを活用した例

例えば今回はカフェを開きたいという例を元に解説していきます。

プロジェクト内容、物件の大きさ、立地、コンセプトなど、ご相談内容により必要な費用や期間は大きく異なります。あくまでもご参考程度にとどめてください。

実際にクラウドファンディングを活用すると以下のような流れになります。

  1. 1.いつ開きたいか、どんなお店にしたいか(コンセプトや席数など)
  2. 2. 内見、図面作成、改装費用の見積もりを出す
  3. 3. 開業に必要な資金を算出
  4. 4. クラウファンディングを始める
  5. 5. プロジェクトの達成
  6. 6. 工事着工
  7. 7. 竣工
  8. 8. 飲食店営業許可取得(サポートします)
  9. 9. オープン

それでは詳しく見ていきます。

1、相談(0.5ヶ月)1/1~

まずはお会いしてご用件とご要望を伺います。

  • 何をしたいか
  • いつくらいにオープンしたい?
  • どんなお店にする?などなど

物件が決まっていない方、物件は決まってはいるけど契約前のお客様に関しましては、物件探しから契約締結までの注意点やアドバイス、仲介業者様との交渉も併せて行います。

相談

相談

2、改装費用の見積もり(1ヶ月)1/15~

物件の内見、図面作成、プランニング、改装費用の見積もりを出します。

物件の内見

物件の内見

図面作成、プランニング

図面作成、プランニング

改装費用の見積もり

改装費用の見積もり

3、開業に必要な資金を算出(0.5ヶ月)2/15~

開業するために必要な資金を算出します。

カフェの開業資金

カフェの開業資金

4、希望金額の設定、プロジェクト作成(1ヶ月)3/1~

自己資金や補助金の活用、銀行からの融資を受けるかによって希望金額を設定します。

例えば自己資金50万円、補助金100万円、融資100万円とした場合、クラウドファンディングで集める金額は1080万円となります。

補助金には事業再構築補助金などがあります。

5、クラファン開始〜終了4/1~6/1

弊社HPやTwitterでも事前に告知します。

6、支援金を受け取る7/31

プロジェクト終了月の翌月末に入金

7、工事着工〜竣工8/1~9/15

8、準備9/15~

9、オープン、返礼品の発送10/1

今回は最初にご相談に来られた日が1月1日、オープン日が10月1日という想定でした。

相談からオープンまで10ヶ月ほどかかりましたが、自己資金の状況によってはクラウドファンディング実施中に着工することもありますので、今回の想定よりも早くオープンできる場合もあります。

お気軽にご相談ください

  • やりたいことはあるけど資金がない。
  • なかなか良い物件に巡り会えない。
  • 一人では達成できそうにない。

などなど、プラン自体が明確に定まっていない状態でも構いませんので、ぜひ一度弊社へご相談ください。

お問い合わせはこちら

「たまゆらん」から「TAMAYURAN」へ ― 「看板猫のいるカフェ」として2012年のオープン以来たくさんの人たちに愛されてきた「おうちごはんcafe たまゆらん」。約1年の休業をはさんで、まもなく移転再オープンする。場所は平安神宮からほど近い、東山三条。新たな店舗は防空壕の残る築130年の京町家だ。

たまゆらんさんについては、昨年10月にもインタビューさせていただいた。前回の記事では、左京区浄土寺で営業していた前店舗のことや、お店を閉めることになってしまった経緯、そして、そこから移転・再オープンに至るまでのストーリーを詳しく伺っている。

この記事の公開後にスタートした、新店オープンを目指したクラウドファンディングはSNSで大きな反響を呼び、まいどなニュースYahoo!ニュースにも取り上げられた。最終的に、支援者の数はなんと1,000人を上回り、支援金額の合計は約1,027万円と最終目標金額を達成することができた。店主・大村さんは新店舗の改装やクラウドファンディングのリターン品準備に奔走している。

そんな、たくさんの人たちの想いを引き継いで、猫たちとともに新たなるスタートを切ろうとしている「おうちごはんcafe たまゆらん」改め「サヴォンズ ベイク ファクトリー TAMAYURAN」の店主・大村さんに、クラウドファンディングを終えた感想や新店舗のことなどを伺った。

◎ プロフィール

■ 大村 明江(おおむら あきえ)
京都生まれ大阪育ち。10代のアルバイトの頃から数々の飲食業に従事し、炭火焼肉牛角ではエリアを受け持つスーパーバイザーを担当。それらの経験を経たのち、2012年7月には『おうちごはんcafe たまゆらん』をオープン。そして2021年10月、たまゆらんの移転に伴うクラウドファンディングを行い、1,000人以上の方からの支援を受けて目標金額であった1,000万円を達成した。(→ Twitter / Instagram

取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina

「トータルしてうちらしいクラウドファンディングができた」― およそ2ヶ月間にも渡る大村さんの挑戦

「トータルしてうちらしいクラウドファンディングができたのではないかな」 ― 今回の挑戦を、大村さんはそう振り返る。クラウドファンディングは10月29日から12月22日までのおよそ2ヶ月間と、一般的なプロジェクトよりかなり長めの期間をとった挑戦であった。前回のインタビューのときから大村さんの挑戦を応援していたぼくにとって、2ヶ月間もの長いクラウドファンディング期間中、ほぼ毎日CAMPFIREの活動報告やTwitterを更新し続け、リターン品の追加も複数回行うなど、精力的に活動をしていた大村さんの姿がとても印象に残っている。

そして、それ以上に印象的だったのが、“大村さんがこれまでに積み上げてきた信頼の大きさ” だ。寝る間を惜しんで活動し続ける大村さんの熱意に応えるように、常連のお客さまや保護猫活動を通じて出会った方たち、さらには今回のクラウドファンディングを通してたまゆらんのことを初めて知った人たちまでもがSNSを通じて大村さんにたくさんの応援の声を届けていた。SNSは連日賑わいを見せ、そのおかげもありこれだけの長期間のプロジェクトでも新規支援者ゼロの日は1日もなかったという。

▲ クラウドファンディング期間中、大村さんの元には数え切れないほど多くの応援メッセージが寄せられていた。

特にクラウドファンディング終了間近になると、その熱量はさらに高まった。12月15日時点では550万円ほどだった支援金額も急激な伸びを見せ、最終日の終了時間目前に1,000万円の最終目標金額を達成した。大村さんも、「最後の1週間になると、私以上にお客さまたちが『絶対達成させる!!』って頑張ってくださって……。みなさまが支えてくださって、最後の数日間のことは本当に忘れられません」と語っている。最後の数日間の伸び方には、CAMPFIREの担当者さえも「奇跡的だ」とびっくりしていたそうだ。

そんなクラウドファンディングの様子を見させていただいている中で、ぼくが感じた「大村さんが積み上げてきたものの大きさ」。そのことを今回のインタビューのなかで伝えてみると、「全部猫たちが私に授けてくれたんですよ。猫すごい。ほんとその一言です」と、多くは語らなかった大村さん。

しかし、直接は口にしなくても、支援してくださった方たちにはCAMPFIREの活動報告を通してその心の内をこう書き残してくれている。

“よく、人生を変える出会いがある、と言われます。

私にとっての人生を変える出会い。

それはサヴォンをはじめとした猫たちとの出会い、そして里親様たちとの出会い、お店を理解し支えてくださる皆様との出会いです。”

CAMPFIRE 活動報告「ご縁の糸、支援くださる方の数」より

また、大村さんは次のようにも記している。

“今回の挑戦で改めてわかったこと。

2012年にオープンしたお店で猫たちと一緒に1匹、また1匹、ときには兄妹猫で、と繋いできたご縁。

そのご縁は猫たちがずっとのおうちに行ったことで終わったのではなく、そのままお店にもつながっており…

小さな子達だった猫さんたちはずっとそのご縁の糸を紡ぎ続けてくれて、赤く細かった糸を強く太くちょっとやそっとじゃ切れないしめ縄のように素晴らしいものに紡いでいてくれた事。

お店のオープン前から何もわからないまま里親様に繋いでいた猫たちとのご縁。

それはそれはたくさんの子達を送り出しました。

個人でよくこれだけの頭数を繋いでいたものだと今となってはびっくりします。

お店を開いてからはとくに年間100匹以上の年もあり、どうやってこんな数になったんだ?!とびっくりするばかりです。

それもこれも、看板猫として頑張ってくれていたうちの子たちの存在があり、縁あってうちに来てくれた子達がずっとのおうちとのご縁を見つけ、家族として迎え入れてくれた里親様たちがいらっしゃった。

そして、お店に猫たちがいる事、猫たちを優先するお店の営業スタイルを受け入れ理解し支えてくださる皆様がいらしたからこそ…

メモ程度のものしか残っていない状態から、ざっくり換算しただけでも800匹以上…

その数字がいま、クラウドファンディング支援者様の数字に表れている気がしてなりません。”

CAMPFIRE 活動報告「ご縁の糸、支援くださる方の数」より

今回のクラウドファンディングは、大村さんが8年間の年月をかけて少しずつ積み上げてきたものが形になったもの。そんなことを実感するとともに、みんなで目標達成を本音で祝福できて、自分ごとのように喜べる。そんな、クラウドファンディングが本来あるべき姿を体現したような挑戦だったように思う。

「お客さまたちに “やわらかい柵” を与えて貰えた」― クラウドファンディングを終えて

クラウドファンディングを終えてみての感想を聞いてみると、「やることはたくさんあるけど、いまは少しほっとした」と大村さん。当時のプレッシャーについて、こう振り返る。

「やっぱり、プレッシャーはすごかったですね。始める前は『大丈夫かな。もしひとりも支援してくれないとかだったらどうしよう』という不安がありました。本当はみんなに何とも思われてないってことが可視化されちゃうんじゃないかって……。でも実際にクラウドファンディングが始まっていろんな方々が応援、ご協力してくださり、支援金額がどんどん増えていくのをみていたら、今度は『この重みに応えられる器が自分にあるのか』って、また違うプレッシャーがすごかったです。」

でも、“プレッシャー” は必ずしも悪いものではない。大村さんはこう続ける。

「でも今回のクラウドファンディングを通して、お客さまたちに “柔らかい柵” を作って貰えたような感じがするんです。もともと、今回の移転・再オープンはお客さまたちの『リニューアルして欲しい』という声に応える形で決意したんです。それからはあれやこれやと忙しい日々を送ってきたわけなんですが、今回のクラウドファンディングを終えて少しほっとしたいま改めて考えてみると、心のどこか奥の方には『別にやらなくてもいいんじゃないかな。サヴォンちゃんももういないし……。いざとなれば、どこか働きに出たっていいじゃん。』という気持ちも、どっかにまだ残ってたと思うんです。

でも『そうじゃないよね』って、『あなたのいるべき場所はここだよね』って、リピーターさんたちはもちろん、今回のクラウドファンディングでうちのことを初めて知ってくれた方も含めて、支援してくださった方たちみんなで “柵” を作ってくれたんだなって思うんです。それは『ここから出るな』というものじゃなくて、ぶつかっても痛くないような、『ここにいたらあなたは良くなるよ』というような、そういうベビーゲートみたいな暖かい柵を作って貰えたという安心感がいまあるんです。」

そんな大村さんの気持ちは、クラウドファンディング終了翌日の活動報告のなかでも現れている。

“1000人を超える方からの1000万を超えるご支援。私にとってもお店にとってもとてもとても大きな意味のある素晴らしいことです。1000万という表記金額ではなく、もっと大きく果てしなく温かい消えることのない1000万円。

それは金額というだけではなく、皆様の気持ちとしてずっとずっとお店に残る大切なもの。

新しく始まるTAMAYURANは大きな大きな温かい皆様の気持ちと共にオープンへと向かいます。

プレッシャーは希望に変わり明日からのやるべき指標を照らします。

皆様のご期待に応えられるよう、今後もこちらの活動報告でご報告させていただきながら、時には迷い、悩み、笑い、歌い、猫たちと共に邁進してまいります。(中略)

皆様、本当に沢山のご支援、ありがとうございました。”

CAMPFIRE 活動報告「最終ゴール達成!皆様、本当に沢山のご支援ありがとうございました!」より

そんな、大村さんの大きな挑戦は昨年の12月22日で幕を閉じた。しかし、大村さん自身が「クラウドファンディングはゴールであってスタート」と語っている通り、本当の挑戦はむしろここからだ。

「たくさんの人たちから、たくさんのものを引き継がせて貰ってできたお店なんです」― 改装工事と新しい店舗について

改装工事は、新型コロナウイルスによる品薄や材料代の高騰などの影響を受けて予定より遅れはしたものの、1月中に完成することができた。取材当日も細かいDIYや防空壕のインテリアなど、まだ残っている部分を進めている最中ではあったものの、完成形にほぼ近づいている。

▲ 改装前の様子。改装前は柱は腐食し、倒壊のおそれもあるような状態だった。

▲ 改装後の様子。京町家らしさを残し、ダークブラウンとグレーを基調とするアンティークモダンな店舗に仕上がった。

「一番大変だったのは、工事も終盤になっての防空壕の水漏れでしたね。もう掃除もやって、機材や食器も入れて、食材も入れていこうかって段階でしたから、あれはショックでしたね。その前にも水漏れ対策はしていただいてたんですが……。わかってはいましたけど、やっぱり京町家の改修は蓋を開けてみないとわからないことだらけなんです。

最終的な改修代も、最初の概算見積もりより2倍近く、約700万円になりました。クラウドファンディングでは改修代を550万円としていましたが、結局のところご支援いただいたお金はリターン品の準備と改装代でほとんど全部といった具合になってしまいました。

でも、700万円はかかってしまいましたけど、それだけのことしていただいてるんですよ。たとえば、収納が足りなかったぶん棚を追加して貰ったりもしましたし、細かい無理難題をかなり聞いていただけました。予算の問題もありますし、空き家バンク京都さんじゃなかったら私の要望に応えて貰えなかったと思うんです。トラブルがあったときも色々フォローしてくださいましたしね。」

前回のインタビュー記事でも掲載した通り、新しい店舗となるのは築130年の京町家。大家さんが工務店に改修の見積もりに出した際は「諦めた方がいい」とまで言われた物件だ。そして、そんな歴史の重みを感じるこの店舗で引き継ぎ残していくのは、防空壕や京町家だけじゃない。

「この時計と電気とテーブルの足は、西陣で町家猫カフェをやられていた京都西新キャットアパートメントコーヒーさんがお店を閉めることになってしまい、引き継がせていただいたものです。それにこの水屋箪笥は、お客様のCHOKOさんから『私は東京に出て残してきちゃったから、この子を使ってあげて』と譲り受けたものです。」

繋がりのある方たちから譲り受けた時計、電気、水屋箪笥

「うちは、いくつもの出会いや偶然が重なって、この歴史ある京町家を引き継がせていただいています。クラウドファンディングでみなさんがご支援してくださったおかげでお店の外見ができて、中身も中身で繋がりのある人たちからさまざまなものを引き継がせて貰ってできているんです。

そんな新しいTAMAYURANを、これまで通り『猫達のご縁をつなぐ場所』として、そしてこれからは『人をつなぐ場所』や『歴史や人の想いを引き継ぎ守っていく場所』としても、いつまでも続けていきたいです。」

▲ 旧たまゆらん公式Twitter(現大村さん個人アカウント)、2022年1月17日の投稿。

「続けていくこと、先に繋いでいくことが一番大事なことだと思う」― 大村さんの想いと今後の展望

そんな、「繋げていくこと」や今後の展望に関して、大村さんは次のように語っている。

「お客さまたちやクラウドファンディングでご支援くださった方たちのためにも、このお店をちゃんと続けていくことが一番大事なことだと思うんですよ。いまって、オープンしてもいつ来れるのかわからない世の中じゃないですか。『あれから5年経って、やっと京都まで行けるようになったけど、もうお店なくなっちゃってたよ』とかじゃなくて、10年後でも20年後でも、安心して来て頂けるような体制づくりをしていきます。

以前のお店では、私が体調悪くなって手術してっていうこともありましたけど、これからはきちんと定期検診にも行くし身体もケアしながら長くお店続けるようにしようって思いますし、もっと長く続けられるように、後継者育てにも早いうちから取り組んでいくつもりです。

それにお店のことだけじゃなくて、焼き菓子の通販ももっとお客さまのご要望に応えられるように人を増やして仕組みづくりもしていきたいですし、猫たちの保護や愛護の観点からもずっと携わっていけるようなお店であれるようにソフト面もハード面も、整えていく必要があると思うんです。

通販で言えば、このお店は広くないですし、いずれは焼き菓子工房を別で用意したいと思ってるんです。従業員の雇用も生めますし、通販で受注できる数も増やせますし、1年後、2年後、3年後になるかはわからないですけど、それはぜひやりたいですね。

猫のことも、自分たちがやるだけじゃなくて、ここをきっかけに『保護を始めたんだよ』とか『関心持ったんだよ』って人がひとりでも増えて、先に繋がって欲しいなと思いますし、そうできるようしていきたいなって思っています。

ほかにも、このお店とは別に『保護猫のスペース』みたいなものがあってもいいと思うんです。『たまゆらんの毎日譲渡会』じゃないですけど、そこに来れば毎日譲渡会が行われているような場所があったらいいですよね。

すぐに大きなことはできなくても、コツコツやっていけばできることはあると思いますし、自分のできることをやっていきたいです。」

また、クラウドファンディングのなかで「実現したいこと」と挙げていた子ども食堂も、コロナの様子を見ながら始めていくつもりだと大村さんは話す。

お腹いっぱい食べれたら、人は笑っていられると思うんです。そこだけでもなんとかしたいなと思っていて、お弁当をお渡しできるようにと考えてます。子どものお弁当ってどんなのがええんやろって思いながら、タコさんウインナーと、だし巻き卵とって笑

それに、子どもたちにいろんなもの食べて欲しいなって思うんです。いまの若い子の中には、ほとんどユニクロしか着たことがなくて『ユニクロが好き』って言ってるような人も多いと思うんです。それって、ハイブランドも着たうえで『ユニクロはいいよ』って言うのとはぜんぜん違うじゃないですか。だから、せめて食べ物くらいはいろんなもの食べて欲しいし、そういうきっかけを持って欲しいと思うから……。

『菜の花食べたことない!なにこれ苦い!』とかって、そんなお喋りができるような場所にしたいと思うんですよ。」

「クラウドファンディングはゴールであってスタート」―TAMAYURANの第2章、まもなくスタート!!

まもなく新たなスタートを迎える「おうちごはんcafe たまゆらん」改め「サヴォンズ ベイク ファクトリー TAMAYURAN」。メニューや営業時間も前の店舗とは変更され、新たな挑戦となる。

わっぱ弁当。前店舗で人気だったハンバーグ、フライドチキン、芋ネギのほか、サラダ、選べる惣菜2種、キンパ(韓国のり巻き)が入る。スープ付き。

前店舗でも人気だったカレープレート。サラダ、選べる惣菜2種付き

一度は2022年1月22日に静かにオープンしたものの、新型コロナウイルスによるまん延防止措置が発令されたため、府の要請に協力する形で27日から臨時休業となった。気持ちよくお客様をお迎えできるのはもう少し足踏みの状態となっている。

クラウドファンディングのゴールって、ゴールであってスタートじゃないですか。それでいまスタート地点に立たせて貰えたんだけど、情勢的にスタートし切れないといういまの現状は歯痒いですよね。ほんとに、お待たせしちゃって申し訳ないです。そしてまだお待たせしてしまうことが心苦しいです。

でも、安心してずっとお付き合いできるお店でいたいなって思うんです。このコロナ禍はまだまだ長く続くだろうし、インフルエンザのリレンザやタミフルみたいな治療薬が出てくるまで油断できない状況のままかも知れません。

私としては、猫の日・2月22日までにはまん延防止措置が解除されて、気持ちよくお客さまをお店で迎えていたいんですけど、無理して日付を優先するってしたら、お店にとってもよくないことになっちゃうと思うんです。もしまん延防止措置のなかオープンさせて、全国から支援してくださった方がうちに来るために京都に集まり、コロナで倒れてしまったりすることがあったりしたら、私はお店を続けられないと思うんです。いまはまだお互いに頑張れることを頑張っておいて、もう少し安心できるような状況になったときに笑って会えるほうが尊いことなのかなって思うんです。

だから、いまの時点では3月7日から再オープン予定としていますが、状況によってはさらにずれるかも知れません。長くお待たせしてしまって本当に心苦しいのですが、必ずスタートさせます。もう少しだけ待っていてください。そのぶん私も、開店前にもっと良いお店にするまでの期間をいただいたと思ってできることをやったり、リターン品の塩バタークッキーの缶を既製品にシールではなくてオリジナル缶にバージョンアップしたり、待たせてしまったぶんできることをしていきます。」

もうまん延防止措置明けの再オープン準備はできているが、実際にぼくたちがお店に行って大村さんや看板猫たちに会えるのはコロナの感染状況次第。あともう少しだけ辛抱することになりそうだ。具体的なことはTAMAYURANの新Twitterアカウントにてアナウンスされるので、そちらをチェックして欲しい。

明治の時代から大正、昭和、平成、令和へと130年の時を超えて受け継がれてきた京町家を舞台に、猫たちとともに歩むTAMAYURANの第2章スタートが楽しみだ。

取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina

この記事書いた人

充紀

職業フリーライター
『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

事業再構築補助金とは?

コロナによって売り上げが減少した中小企業や個人事業主で、新しい分野の展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編などに取り組む方々を支援する補助金です。

事業再構築補助金の概要

空き家バンク京都では事業再構築補助金申請のサポートもしております。

事業再構築補助金の申請は必要書類がとても多く、個人で全ての書類を揃えることは非常に大変です。

当補助金は新たな事業を展開する方を援助するという主旨であるため、今後新たに始める事業における事業計画書なども必要となってきます。

事業内容によっては建物の建築や改修、設計など専門的な知識が必要となる場合もあります。

これまで空き家バンク京都では、空き家の活用を通してお宿、シェアハウス、飲食店、レンタルスペース、BBQテラス、リフォーム業、クラウドファンディングなど、さまざまな事業の展開、プロデュースを行ってきました。

これまで培ってきた弊社のつながりを生かして、事業再構築補助金申請のサポートをさせていただきます。

明確に事業内容が定まっていないとしても、弊社が全力でサポート致します。

また、弊社のホームページやtwitterなどのSNSを通じてPR活動することも可能でございます。

事業再構築補助金の詳細については、こちらをご覧ください。

伏見稲荷大社から徒歩5分ほど。京都らしい細い路地の奥に佇む「ABOUT US COFFEE(アバウトアスコーヒー)」は、スペシャリティコーヒーの専門店です。コーヒーが好きな方はもちろん、インスタ映えする内装やスイーツも話題となっていて、若者に注目を集めています。

そんなアバウトアスコーヒーさんを実際に訪れて、魅力を探りました。

伏見稲荷から徒歩5分でアクセス。京都らしい裏路地にモダンな外観が映えるアバウトアスコーヒー

アバウトアスコーヒーは伏見稲荷大社から徒歩5分。大鳥居をくぐり抜けて京阪伏見稲荷駅の踏切を越え、突き当たりの師団街道で左折。しばらく道なりに歩くと、アバウトアスコーヒーがある石畳の細い路地が見えてきます。

JR稲荷駅

大鳥居から見たJR稲荷駅。駅を正面に右折し、京阪伏見稲荷駅に向かって進む。

京阪伏見稲荷駅の入り口

京阪伏見稲荷駅の踏切から見える師団街道。突き当たりの信号を左折。

aboutuscoffeeの外観

しばらく師団街道を進むと、左手に石畳の細い路地が見えてきます。

路地に足を伸ばすと目の前には「ABOUT US COFFEE」の文字が刻まれたモダンな建物が。外観もとっても素敵ですよね♪

aboutuscoffeeの外観_2

アバウトアスコーヒーは世界各地の豆を楽しめるスペシャルティコーヒーの専門店!

aboutuscoffeeのスペシャルティーコーヒー

「ABOUT US COFFEE」は、スペシャリティコーヒーの専門店。店員さんは、国際的なコーヒー豆鑑定士の資格「Qグレーダー」を持っていて、こだわり抜いたコーヒー生豆を取り扱っています。ハンドドリップのひき立て、淹れたてのコーヒーを楽しむことができるんですよ♪

aboutuscoffeeのコーヒー

コーヒーは、しっかりコクのある深煎りのものや、イチゴのようにフルーティーなものなど、豊富なバリエーションから選ぶことができます。季節によって豆の種類が変わり、取り扱っている豆の種類はなんと20種類以上もあるそうです。

豆の知識がなくても、店員さんが豆の特徴などを詳しく教えてくれるので安心です。また、オーダーメイドの焙煎もされているので、自分に合った好みの味を見つけることができますね。店頭でのテイスティングも可能です(※ 現在は、新型コロナウイルスの影響で実施していません)。

店頭に並ぶ20種類以上のコーヒー豆

引用元URL:https://goo.gl/maps/7Vn2oopfWbjB8VQ69

スタイリッシュな内装はインスタ映え間違いなし! フードメニューもおしゃれで美味しい

アバウトアスコーヒーは、コーヒー豆へのこだわりだけじゃなく、インスタ映えする内装でも話題なんです! 白を基調としたインテリアや小物が並び、なんと言っても壁一面の白い胡蝶蘭が印象的。

aboutuscoffeeの内観

お洒落で洗練された空間は、「ここは本当にコーヒー屋さん?」と言いたくなるような、コーヒーを待つ時間さえもワクワクさせてくれるような……。「映える」の一言では言い表せないこだわりポイントが詰まっていて、いろんな角度からシャッターを切りたくなります。

aboutuscoffeeの内観_2

また、「ABOUT US COFFEE」さんでは、コーヒーはもちろんのこと、スイーツやフードメニューもお洒落で美味しいと話題です。フードメニューは「スパイスカレー」や「トースト」などがあり、600円~900円で楽しめます。

また、スイーツメニューも豊富です。一番人気のカヌレが2個で250円、他にもレアチーズケーキやオレオブラウニー、プリン、マフィン、ジェラートなど幅広いスイーツが250円~1,000円で揃っています。その日の気分やコーヒーに合わせて選んでみると、美味しさも映え度も増しますね。

引用元URL:https://g.page/About-us-coffee?share

こだわり抜いた豆のオンライン通販も人気!自宅でもアバウトアスコーヒーを楽しもう!

そんなアバウトアスコーヒーさんですが、コーヒー豆のオンライン通販でも注目を集めているんです。コーヒー豆は24種類。浅煎りから深煎りまで、店頭に並んでいない商品も購入することができます。

専用サイトではそれぞれのコーヒー豆の特徴が詳しく説明されていますので、安心して選べます。また、コーヒー器具もたくさん取り扱っていて、アバウトアスコーヒーの店頭で実際に使用されている、プロ仕様のアイテムを購入することもできます。コーヒー器具へのこだわりや思いも伝わってくるラインナップですね。

ちなみにこの通販サイトは、店主さんたちの「こだわりの豆を家庭でも楽しんでもらいたい」との想いでオープンしたもの。大型の焙煎機や焙煎所を用意するためにクラウドファウンディングを行って、290万円もの支援に成功してできたものなんです!

クラウドファンディングのページでは、アバウトアスコーヒーの歴史や魅力、今後の展望など、お店のことを知れる情報が盛りだくさん。店主さんが仕事にかける想いも知ることができます。

(参考)アバウトアスコーヒーのクラウドファウンディング詳細ページ ▶︎ 【ABOUT US COFFEE】関西から世界基準のコーヒーをより沢山のひとへ! | CAMPFIRE

伏見稲荷観光のあとは、アバウトアスコーヒーで美味しいコーヒーを楽しもう♪

aboutuscoffeeのスペシャルティーコーヒー

ここまで、アバウトアスコーヒーさんの魅力をお伝えしてきましたが、知れば知るほど本当に魅力的なお店です。

インスタ映えする佇まいや内装が、訪れる人を惹きつける “オシャレなカフェ” としての魅力、コーヒーの専門家がこだわり抜いたコーヒー豆を、焙煎したてで味わうことができるスペシャルティコーヒー専門店としての魅力。未来に夢と展望を持ち、時代のニーズを汲みながら “より良く” を追求し挑戦し続ける店長さんたちの想い。

現在、この伏見稲荷周辺エリアに住む私ですが、「美味しいコーヒー屋さんと言えば?」と聞かれたら1番に頭に浮かぶのはこのお店です。 伏見稲荷大社の観光帰りには、アバウトアスコーヒーの美味しいコーヒーで一息ついてみてはいかがですか?

【お店の情報】

  • 名称:ABOUT US COFFEE
  • 住所:〒612-0014 京都市伏見区深草稲荷鳥居前町22-15
  • 連絡先:075-644-6680
  • 定休日:火曜日
  • 営業時間:平日11:00ー18:00、土日10:00ー18:00
  • 公式サイト: https://aboutuscoffee.jp/about/

(取材・文・写真 : 瀧澤 紗知子

京都は東山。銀閣寺や京都大学から徒歩圏内の浄土寺西田町にお店を構える「おうちごはんcafe たまゆらん」。2012年の7月にオープンして以来、学生や猫好きの方をはじめ、多くの人たちに愛され続けてきた。

大村 明江(おおむら あきえ)さんが切り盛りするこのカフェ「たまゆらん」。おいしくてボリュームたっぷり、それなのにリーズナブルなご飯メニューと売り切れ必至の手作りスイーツ、そして店内で気ままに過ごす看板猫たちで多くのファンに支えられてきた。

(上)「おうちごはんcafe たまゆらん」の外装と看板猫サヴォン(下)人気のパフェとカレープレート

また、大村さんとたまゆらんは猫の保護活動でもよく知られている。

「たまゆらんは猫カフェじゃないですし、“保護猫の受け入れ活動をしているお店”として経営しているわけじゃないんですよ」

大村さん自身はそう語っているが、実際のところは、里親が決まるまでの保護猫たちが何十、何百もたまゆらんのお店を仮のおうちとして過ごし、大村さんやお客さまたちに可愛がられてきた。また、たまゆらん主催で保護猫の譲渡会を開催することも多い。そんな様子から、自然と「たまゆらん保猫園」と呼ばれるようになったほどだ。

大村さんと、保護していた子猫たち

インタビュー時、大村さんが自宅で保護していた子猫たちと大村さん

しかし、そんな「おうちごはんcafe たまゆらん」にいま、実店舗はない。コロナ禍による売り上げ激減により、無期限の休業状態に追い込まれた。さらには土地開発の話が持ち上がり、テナント立ち退きを余儀なくされてしまったのだ。現在は、急ごしらえで準備したウェブショップにて焼き菓子の販売をするのみとなっている。

大村さんはいま、常連のお客さまたちにとっての憩いの場であり、保護猫たちのご縁を繋ぐ場所にもなっていた「おうちごはんcafe たまゆらん」の店舗を取り戻すため、準備に奔走している。

そんな大村さんに、「おうちごはんcafe たまゆらん」のことや保護猫活動、そしていま準備を進めている新店舗のことなど、たまゆらんと大村さんが歩んできたストーリーを伺った。

大村さん

◎ プロフィール

■ 大村 明江(おおむら あきえ)
京都生まれ大阪育ち。10代のアルバイトからHard Rock Cafeやカプリチョーザ、にんにくやなどで飲食業に従事し、炭火焼肉牛角のエリアを受け持つスーパーバイザーを担当。大阪、静岡、新潟、長野、山梨、広島、岡山、福岡などへの移動を経て京都に戻る。そして2012年7月、『おうちごはんcafe たまゆらん』をオープンした。(→ Twitter / Instagram

取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina (※ 一部写真は大村さんによる提供です)

おいしい食事をお腹いっぱい食べられるカフェ「たまゆらん」

「おうちごはんcafe たまゆらん」の外装

「おうちごはんcafe たまゆらん」は名前の通り、おいしく健康的な食事を実家のようにお腹いっぱい食べられるカフェだ。ご飯メニューだけじゃなく、フルーツをたっぷりと使用した贅沢なパフェや、こだわりの焼き菓子をはじめとするデザートメニューも有名だ。

「おうちごはんcafe たまゆらん」人気の食事メニュー

「おうちごはんcafe たまゆらん」人気の食事メニュー

「おうちごはんcafe たまゆらん」人気のスイーツメニュー

「おうちごはんcafe たまゆらん」人気のスイーツメニュー。いちごを丸ごと1パック使用するなど、フルーツたっぷり。

「私としては、お客さんに“お腹いっぱい食べてもらいたい”という想いがあって、このお店をはじめたんです。女の子って、実はけっこう食べる子だって多いじゃないですか。でも、女の子がひとりで入りやすいようなお店はランチでも1,400円、1,500円とかするのに、あんまりボリュームのないお店が当時多かったんですよ。

私自身、お昼時に出かけていて『定食っぽいもの食べたいな』って思ったときに、ひとりで入りたいお店が全然見つからなかったんです。それをきっかけに『だったらお店でもやるかな!』とたまゆらんをオープンしました。」

 
「おうちごはんcafe たまゆらん」人気メニューのひとつ「一枚肉のフライドチキンのごはんプレート」

「おうちごはんcafe たまゆらん」人気メニューのひとつ「一枚肉のフライドチキンのごはんプレート」

猫カフェではなく“看板猫たちに会えるカフェ”

「おうちごはんcafe たまゆらん」の店内で気ままにくつろぐ大村さんの愛猫たち

「おうちごはんcafe たまゆらん」の店内で気ままにくつろぐ大村さんの愛猫たち

そして、たまゆらんを語るには欠かせない要素がもうひとつ。気まぐれにお店に姿をあらわし、お客さまに接客する「店員猫」たちの存在だ。茶トラの大きな看板猫SAVON(サヴォン)くんをはじめ、歴代で11匹もの店員猫たちがお客さまを楽しませてきた。

「おうちごはんcafe たまゆらん」のオーナー猫・SAVON(サヴォン)くん

「おうちごはんcafe たまゆらん」のオーナー猫・SAVON(サヴォン)くん

そんな「猫に会えるお店」として有名なたまゆらんだが、「たまゆらんは猫カフェではない」と大村さんは語る。

「よく『猫カフェなんですか?』って聞かれるんですけど、わたしとしては、猫カフェじゃなくて “猫がいるカフェ” のつもりなんです。

看板犬、看板猫がいるうどん屋さんとか定食屋さんとかってあると思うんですけど、そういうお店はお食事の料金だけで、犬や猫と触れ合うための料金って取ってないじゃないですか。うちも猫たちの料金は取ってないので、それと一緒ですよね。

とはいっても、お客さまがうちを猫カフェだと思って楽しんでくださるのは大歓迎ですけどね(笑)」

 
お客さんの膝の上に自ら飛び乗るサヴォンくん

お客さんの膝の上に自ら飛び乗るサヴォンくん

いまでは「猫のいるカフェ」として有名なたまゆらんだが、大村さんはオープン当初、猫たちをお店に出しておくつもりはなかったという。

「お店の2階が住居になってまして、階段前の扉には鍵をかけてお店とは分けていたんです。でもある日、なぜかお店の真ん中に猫が座ってるんですよ。そのときは『あれ〜おかしいな〜。ぎんちゃんなんでおんの? 鍵かけ忘れちゃったのかな〜?』と思っておうちに戻したんですけど、次の日もまたぎんちゃんがお店にいまして。どうも、鍵をくわえて回す技を覚えてしまったみたいなんですよね(笑)

それで次の日もまた出てきちゃったんですが、そのときにいたお客さまが『猫ちゃんおるんやったら、お店に出しとった方がいいやん!』って言ってくださったので、それをきっかけに “看板猫のいるカフェ” になった感じですね。」

 

▲ たまゆらん公式Twitter、2014年7月10日の投稿。たまゆらんオープン当初から在籍した「店員猫」のぎんちゃん。たまゆらんが “看板猫のいるカフェ” になるきっかけを作ったぎんちゃんは、お店で出会った里親さまに引き取られ、2012年9月末に店員猫を卒業した。

   

京都は丸太町。烏丸通りを挟んで正面に御所を望んだ駅徒歩3分の好立地に、新たなサロンがオープンする。歴26年のベテラン美容師でありエステティシャンでもある、圓谷静香(えんたに しずか)さんのプライベートサロン『Hair and Esthetic STELLA…』(ヘア アンド エステティック ステラ)だ。

『Hair and Esthetic STELLA…』の店内(写真提供 : 圓谷さん)

圓谷さんは、2019年までドイツの地で美容院『Hair Make Chika』を経営しており、欧州リーグで活躍する日本人サッカープレイヤーたちから指名を頂いていたキャリアを持つ。

圓谷さんがドイツで経営されていた美容院に来店してくださっていた日本代表のサッカー選手たち

(左)内田篤人選手(中)吉田麻也選手と圓谷さん(右)香川真司選手(写真提供 : 圓谷さん)

そんな圓谷さんは、なぜ京都の地で新たなスタートをすることにしたのか。ドイツではどんなキャリアを歩んできたのか。どうして「ヘアー×エステティック」なのか。そして、圓谷さんは『Hair and Esthetic STELLA…』をどんなお店にしていきたいと考えているのか。

圓谷さんにお話を伺うとともに、実際に来店してヘアカットとヘッドスパの体験をさせていただいた。

(取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina

◎ プロフィール

■ 圓谷 静香(えんたに しずか)
1975年生まれ。兵庫県神戸市出身。歴26年のキャリアを持つ美容師であり、2019年まではドイツの地で『Hair Male Chika』を経営。エステティシャンの資格も併せ持つ。また、ドイツでは欧州リーグで活躍するサッカー日本代表選手たちのヘアメイクを手がけていた。2020年に日本へ帰国後、京都の地でプライベートサロン『Hair and Estetic STELLA…』を立ち上げる。 (→ Twitter / note / Instagram

 

プライベートサロン『Hair and Esthetic STELLA…』とは?

『Hair and Esthetic STELLA…』は、セット面1面、シャンプー台1面、エステ施術用の個室1部屋のみの予約制プライベートサロンだ。カットやカラー、パーマといった通常の美容院のメニューに加えて、「2Bバイオトリートメント」という100%ナチュラルのハーブピーリングを使った本格的なエステを受けることもできる。

ヘッドスパやエステメニューの際に使用する施術用ベッド

エステティックやヘッドスパの施術のために、リラックスできる専用の個室が用意されている(撮影 : 芝山

ヘッドスパメニューも、通常の美容院より力を入れている。セット面ではなくベッドで横になって施術を受けることができ、30分間ゆっくりと頭皮マッサージを堪能できる。リラックスできるだけではなく、天然スクワランオイルによって頭皮の汚れを優しく落としてくれる。

ヘッドスパ体験の様子

ヘッドスパ体験の様子

体験させていただいたヘッドスパメニューの様子。
力強いながらもまったく痛くない絶妙な力加減が気持ち良く、ついついウトウトしてしまった。

なぜヘアー×エステティック? 圓谷さんが美容師だけでなくエステティシャンにもなった理由

ヘッドスパ体験の様子

美容師として26年ものキャリアを持つ圓谷さん。日本ではどうして普通の美容院ではなく「ヘアー × エステティック」のサロンをやろうと思ったのか。理由を聞いてみると、「自分の不満足からはじまったんです」と圓谷さん。

圓谷さん「私自身エステやマッサージに行くのは好きで、ドイツではよく通っていたんです。ドイツは日本よりエステが普及していて、もっとリーズナブルなんですよ。でも、エステやマッサージでせっかく綺麗になっても、髪がぐちゃぐちゃになっちゃうのがいつも残念で……。

特にショートヘアだと襟足は跳ね上がっちゃうし、後頭部はぺっちゃんこ。前髪なんてもう修正不能ですよね。『エステの後にシャンプー&ブローがついてたら最高やわ』って、ずっと感じていたんです。

美容師とエステティシャンの融合。絶対良いメニューが出来るな。そんな想いをずっと温めていました。」

そんな長年の想いを実現させるため、日本で新しいお店をやろうと決めた圓谷さん。帰国してからはエステティックの勉強を本格的に始め、ようやく叶ったのが今回のお店というわけだ。

「メスのいらない美容整形」― そんな異名を持つ2Bバイオトリートメントとは?

ステラのエステティックメニューは、ベルギーで人気のハーブピーリング「2Bバイオトリートメント」を使用している。自分自身が効果を実感して、「エステを習うんだったら、これ習いたい!」と思ったのがきっかけだという。

圓谷さん「ハーブピーリングって色々あるんですけど、2Bバイオトリートメントは原料の産地とか製造している工場とか、出どころが全部はっきりしてるのがいいんですよね。

本社があるベルギーの工場ですべて管理されていて、情報がオープンになっているんです。お肌につけるものですし、どこで採れたかわからないようなものをつけるのはイヤじゃないですか。」

2Bバイオトリートメントはまだ日本ではそれほどの知名度はないが、ヨーロッパではとても有名なブランドのひとつ。20年以上もの間、ピーリングのトップとして君臨している。

圓谷さん「ヨーロッパって、すごいエステサロンが多いんです。向こうでは1ヶ月とか長い休みも多いので、その中の1週間を使って週4回の集中エステを受けるなど、優雅なトリートメントの仕方をされているんですよね。

それにドイツの場合、ナチス時代にやけどを負った方が多かったので、肌を綺麗にしたい、再生したいという強い需要がありました。そんな経緯もあってハーブピーリングが流行した歴史があるので、エステに関してヨーロッパはすごく進んでいますよね。」

▶︎(参考 : 2B BIO BEAUTY 公式サイト

欧州リーグで活躍する日本代表サッカープレイヤーからの指名も!― ドイツでの圓谷さんの美容師キャリア

圓谷さんがドイツで経営されていた『Hair Salon Chika』の店内写真

(写真提供)圓谷さん

ドイツでサロン経営されていたときから温めていた構想を、京都の地で実現された圓谷さん。ところで、圓谷さんはなぜドイツへ渡り、どのような経験をされてきたのだろうか。話を聞いてみると、もともとドイツへ渡ったのは「チャンスを感じて、稼ぎに行くため」だったという。

圓谷さん「ドイツのデュッセルドルフという街でサロンを経営していたんですけど、そこを選んだのは2つ理由があるんです。まず1つが、デュッセルドルフに旅行へ行ったときに、『これはチャンスだ!』って思ったこと。

日本人美容師の技術力の高さって、ヨーロッパでもだんだん認知されてきていまして、フランスとかではもう日本人サロンが流行ってるんです。

でも、ドイツならまだライバルが少ないですし、それにデュッセルドルフは割と治安がよくて日本人も多く住んでます。しかも日本人美容師を募集してるサロンもあったので、『今ドイツに行けば、絶対稼げる!』って感じて、この旅行のときにはほぼドイツ行きを決めました。」

 

そしてもう1つの大きな理由は、白血病で先立ってしまったお姉さんだという。

圓谷さん「英語が得意で海外に興味があった姉は、アメリカにホームステイに行ったり、突然会社をやめて親友とイギリスに語学留学したり……とにかく自分のためにお金を使いまくる自由な人でした。

姉はドイツ語専攻で、ドイツ人のデザイナーのJIL SANDER(ジル・サンダー)が大好きで、ドイツの硬くて酸っぱいパンが大好きで……。あんなにドイツに興味があったのに、一度もドイツに訪れてなかったんです。だから、そんな姉をドイツへ連れて行こうと思って、姉の名前 “Chika” でお店を開いたんです。」

 
圓谷さんがドイツで経営されていた『Hair Salon Chika』の外観

(写真提供)圓谷さん

2008年にドイツに渡った圓谷さんは、2012年までは日本人も多く在籍するサロンで勤め、その後2014年に『Hair Salon Chika』をオープンした。Chikaのお店には、シャルケの内田篤人選手やドルトムントの香川真司選手、さらには吉田麻也選手、槙野智章選手といった、欧州リーグで活躍する日本代表チームのサッカープレイヤーたちが訪れてくれたという。

圓谷さん「もともと私がいたお店のオーナーさんが中田英寿さんや本田圭佑さんを担当していまして、その流れで私も指名をいただけたんです。ありがたいことに内田さんはしょっちゅう来てくださいましたし、香川さん、吉田さん、槙野さんもよく来てくれていました。

内田さんや香川さんはCM撮影あるときなどにも呼んでくださって、ヘアメイクとして同行させてもらうこともありました。みなさんほんと優しくって、ほんとにありがたい限りです。」

 
圓谷さんがドイツで経営されていた美容院に来店してくださっていた日本代表のサッカー選手たち

(左上)内田篤人選手(右上)槙野智章選手(左下、右下)香川真司選手(写真提供 : 圓谷さん)

どうして新天地・京都へ? ― 新しいチャレンジの理由と圓谷さんの想い

ドイツでのサロン経営は順調で、繁盛していたという圓谷さん。そんな『Hair Salon Chika』を閉めて帰国することに決めたのはどうしてだろうか。

圓谷さん「自分の中でやり切った感があったんです。もともとドイツには『稼ぐために』行ったので、それはちゃんとできたのかな、と思います。それで少し疲れちゃったのもありまして、『日本がいい。日本語で喋りたいな』と思ったんです。

そう思ったとき、日本でまたイチからお店をはじめるなら、年齢的にももう帰って準備はじめないとしんどいだろうなと思って、帰国を決めました。」

 

京都を選んだきっかけは、エステの先生が京都に住んでいたからだという。

圓谷さん「どこで出しても、日本では顧客ゼロからのスタートになるのは同じなので、自分の好きなところで出そうっていう気持ちでした。」

京都の地にゆかりを持つわけではない圓谷さんだったが、いろいろな人たちとの出会いに導かれるようにして新店舗のオープンに辿り着いたという。そんな新店舗ステラのコンセプトは「つながる空間」だ

圓谷さん「来てもらったら絶対に満足して帰ってもらうというのは当たり前のことだと思うんですけど、付加価値として、ここに来たら何か情報があるとか、何か人との繋がりができたらいいな、と思うんです。

実際、ドイツでやっていたお店がそうだったんですよね。『あそこのお医者さんおすすめだよ』とか『良い通訳の人知ってるよ』とか、何か困ったことがあれば『良い弁護士さん紹介するよ』とか。デュッセルドルフには日本人も多く住んでいたので、頼ってもらえることも多かったんです。

京都ではイチからのスタートだと思ってたんですけど、ドイツの友達がめっちゃ宣伝してくれて、ドイツ繋がりのお客さんがもう予約してくれているんです。繋がりってすごく大切だなぁって、感じますよね。

このステラでも、ドイツでやってたお店と同じような雰囲気を作りたいです。」

 

圓谷さん「いろんな人に応援されてきたし、今もしてもらっているし、だからそのぶん自分も素敵な人たちを応援していきたいですよね。このお店を前向きな人、素敵な人が集まる空間にできたらいいな、と思っています。

お店自体はシンプルに作っていただいたので、ここではお客さんが主役で、ここに来てくれる人が輝ける場所にしていきたいですね。」

 

2021年10月1日。京都丸太町にて『Hair and Esthetic STELLA…』オープン!

『Hair and Esthetic STELLA...』の最寄駅である地下鉄烏丸線 丸太町駅

地下鉄烏丸線 丸太町駅。ステラに向かうには7番出口が一番近い(撮影 : 充紀)

そんな圓谷さんの新店舗『Hair and Esthetic STELLA….』は2021年の10月1日にオープンする。場所は御所を正面に望む烏丸通り沿い。丸太町駅徒歩2分の、赤いレンガが目印のビル「MACHI WORK御所西」2階だ。

『Hair and Esthetic STELLA...』の店舗がある「MACHI WORK御所西」の外観

ステラの店舗がある「MACHI WORK御所西」の外観(撮影 : 充紀)

まだオープン前だが、ひと足先に圓谷さんのヘアカットとヘッドスパを体験させていただいた。

圓谷さんのシャンプーの様子

圓谷さんのシャンプーの様子

圓谷さんのヘッドスパの様子

圓谷さんのバリカンワークの様子

圓谷さんのヘアカットの様子

圓谷さんのヘアカットの様子

圓谷さんのスタイリングの様子

「もちろん色んなスタイルを切りたいんですけど、一番得意なのはショートやボブヘアですね。潔いスタイルが好きです」と語る圓谷さん。技術の高さは、仕上がりを見ての通りだ。

圓谷さんのヘアカットの仕上がり

圓谷さんのカットモデル

カットモデルも務めさせて頂いた。ちなみに、カット料金は5,000円だ。

「このお店はまだまだこれから。進化の途中です。どんな風になるかわからへんけど(笑)」

そう微笑む圓谷さん。話していると、ご自身の好きなヘアスタイルと同じように潔くて真っ直ぐな性格をしていることや、とても明るくて気さくな人柄が伝わってくる。

そんな圓谷さんの新店舗、ステラ。圓谷さんの想いの通り、前向きでキラキラした人たちが集まる素敵な空間になって欲しいと願う。来月のヘアカットも楽しみだ。

(取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina

◎ 店舗基本情報
■ Hair and Esthetic STELLA….(ヘア アンド エステティック ステラ)
– 住所 : 京都市上京区堀松町419 machiwork御所西2F-D(→ Google Map
– 営業時間 : 10:00〜20:00
– 定休日 : 不定休
– URL : ホットペッパービューティー

◎ 圓谷静香さんのSNS
Twitter / note / Instagram

この記事書いた人

充紀

職業フリーライター
『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

京都市は北区、上賀茂葵田町。京都産業大学の目の前に、学生と社会人とが交流できる新たなスペースが誕生する。2021年9月28日オープンの『Co-working&community サキドリ』だ。

「Co-working&Communityサキドリ」のカフェスペース

『Co-working&community サキドリ』は、「出会い」や「交流」をコンセプトとするコミュニティスペースであり、コワーキングスペース。「学生たちをはじめ、大学講師や社会人、地域の人たちなど色々な人たちが集まり、交流が生まれる場所にしたい」という想いから、非常にリーズナブルな価格設定となっている。

そんなサキドリを運営するのは、キャリアコンサルタントであり行政書士でもある植村さんと、以前植村さんと同じ職場で学生支援のお仕事をされていた田中さんのお二人だ。今回はお二人に、サキドリの魅力や特徴、プロジェクトのきっかけや経緯、そしてサキドリをどんな場所にしていきたいかなど、お二人の “想い” をインタビューした。

(取材・文 : 充紀

植村 健志さんと田中 利栄子さんの写真

(左)植村 健志さん /(右)田中 利栄子さん

◎ プロフィール

■ 植村 健志(うえむら けんし)
植村行政書士事務所、Career Support Office B-dream代表。今回のプロジェクトの発起人。20代では外資系企業の営業マン、塾講師、放送作家など、さまざまな職業を経験。30歳を過ぎてから行政書士・キャリアコンサルタントとして独立。「学生時代の多様な経験」の重要性を学生たちに伝え続けている。ももいろクローバーZのLIVEに情熱を傾ける日々。

■ 田中 利栄子(たなか りえこ)
たまたま受講した職業訓練でWEBデザインのスキルを習得したことをきっかけに、京都府の公式ホームページ管理など、行政の業務に従事。2017年からは学生支援業務にも携わり、その中で植村さんと出会う。縫い物・編み物・ゲーム好きで、最近はDIYがお気に入り。今回のプロジェクトでは植村さんとともに企画・運営を行うとともに、ホームページ作成なども担当。また、趣味を活かして内装のDIYなども行った。

 

『Co-working&community サキドリ』とは?

サキドリは、学生・社会人・先生・地域の人など、誰でも作業や仕事、勉強、趣味などに利用できる自由な空間だ。一人で集中して作業や勉強に取り組めるコワーキングスペースのほか、利用者どうしで気軽に交流できるコミュニティスペースも備えている。

植村さん「一人で仕事や勉強などをしたい人のためのコワーキングスペースが一つ独立してあって、くつろぎたい、おしゃべりしたいって人のための場所も別に用意しています。まさに今インタビューしているこのカフェスペースがそれですね」

 

一人での作業・勉強に最適な「コワーキングルーム」

一人での作業・勉強に最適な「コワーキングルーム」

くつろいだりグループで会話したりするのに適した「カフェスペース」

くつろいだりグループで会話したりするのに適した「カフェスペース」

植村さん「また、ワークショップやグループワークなども含めて、交流をしたい人のための多目的なスペースが真ん中の部屋です。その他、応接間などとしてクローズドにも使える個室も備えています。」

 

多目的に使える「あやふや交流スペース」

多目的に使える「あやふや交流スペース」

クローズドな個室としても使える「応接・面談ルーム」

クローズドな個室としても使える「応接・面談ルーム」

それぞれの部屋は、「ここをこういう風に活用してくれたらいいな」という想いを考えてレイアウトしたと植村さんは話す。でもその一方で、「それに縛られないで、色々な活用方法を見つけてもらえたら」とも語っている。

植村さん「それぞれの部屋には、こちらで考えた利用方法やストーリーがあるのですが、コワーキングスペース以外の部屋はその他にも色々な活用ができるかと思います。

学生さんや利用者の方から『この場所をこんな風に使いたい』とか『この部屋でこんなイベントをしたらいいのでは?』などといった、思い付いたことを提案をしてもらえたら嬉しいですね。ぼくたちはそれを実現できるようにお手伝いしていく。という感じで運営していきたいです。」

「サキドリ」という名前の由来と、その中に込められた想い

「サキドリ」のロゴ

この場所の名前が決まるまではかなり難航したようで、この「サキドリ」という名前に決まったのはオープン直前だったという。この名前は、植村さんが100個もの案を考えた中のひとつをもとにして、田中さんが考えたものだ。この「サキドリ」には、2つの意味が込められていると話す。

田中さん「このサキドリという名前は、漢字に直すと“お花が咲く”の『咲』と、“鳥が飛ぶ”の『鳥』で『咲鳥』なんです。英語にしたらblooming bird、花咲く鳥みたいな感じで、『いつか花咲く、鳥になって羽ばたく』という意味を込めています。

それともう一つ。サキドリには『色々な情報をここで“先取り”する場所にしていきたい』という意味もあります。『色々な情報をここで先取りしていった後にお花が咲いて、鳥のように飛び立っていく』という2つの意味を込めて、サキドリってつけたんです」

「もともと、拠点をつくって出会える場所を作りたいなと思っていた」― サキドリ誕生のきっかけとオープンまでの経緯

植村健志さん

このサキドリを作ろうと思ったきっかけは、植村さんがキャリアコンサルタントとして仕事をする中で漠然と感じていた、「学生さんたちが大人と交流できて、色々な知見を得られる拠点を作りたい」という想いだった話す。

そんな植村さんに、今回この場所を作るきっかけを与えたのが、一緒に運営することになった田中さんだ。

田中さん「ここはもともと不動産屋さんでして、ここの社長さんと仲良しで、しょっちゅう遊びにきていたんです。その頃わたしは植村さんと同じ学生就職センターで仕事をしてたこともあり、お店を閉めようとしていた社長さんから『京都産業大学の学生さんたちのためになる何かをやりたいって人、探してくれへん?』って言われてたんです。」

植村さん「その話をもらってすぐに、ってわけではないんですけど、今年の2月ごろからちょうど僕の仕事が落ち着いてきたのもありまして、『じゃあ、思い切ってやるか!』と具体的に動き出しました。」

 

インタビューの風景

いざ動き出してみると、「こういうことをやりたい」という植村さんの想いから「それなら、こんな人がいるよ!」という、紹介が紹介を呼び、どんどんプロジェクトが進んでいったという。

植村さん「産業大学繋がりだったり、仕事の繋がりだったりから人脈が広がっていって、いろんな人と出会う中でプロジェクトが具体的なものになっていきました。まさに、このサキドリのコンセプトである“出会い”や“ご縁”ですよね。鈴木さんと出会って改装工事を『空き家バンク京都』さんにお願いすることになったのも、まさにご縁ですしね。鈴木さんが京産大出身というのも、なにかご縁を感じますよね(笑)」

改装工事はもともと、ここで不動産をされていた物件オーナーさんのご紹介でお願いするつもりでいたという。でも、進めていく中で「ちょっとでも学生さんに近い人に頼む方がいいかもな」と思ったのがきっかけとなり、話を聞いてみることにしたそうだ。

田中さん「お話聞いたらすごく安心して、『もう鈴木さんに頼むしかない!』ってそのとき思ったんです(笑)ボロボロだった事務所がキレイになるところを想像させてくれるところが、とても頼もしくて。」

 

改装工事中の写真

改装工事中の写真

改装工事の見学にきて下さった京都産業大学の学生や大学教授のみなさん

「学生のうちに色んな大人と話して、色んな経験をしてほしい」― 代表・植村さんの想い

植村さん

色々な人たちとの出会いの中で誕生したこの『Co-working&community サキドリ』。この場所をどんなものにしていきたいのか、その想いを発起人の植村さんは、次のように語っている。

植村さん「お話した通り、もともと学生と色々な社会の大人が繋がれる環境を作りたかったんです。僕自身、大学生のときは世間が狭かったなぁということに、後から気づきまして。

『あー、あのときにもっといろんな大人と喋れてたらよかったなぁ。色々な経験をできてたらよかったなぁ……。クラブやサークルだけじゃなくて、もっといろんなコミュニティに顔だして、いろんな人たちと話ができていたら、もしかしたらもっと面白い大人の人生が歩めたんちゃうかな』って。

そんなことを今になって感じるんですよね。だから、僕はキャリアコンサルタントとして活動する中で、学生たちに対して『もっともっといろんな社会を見てほしい、世間をみて欲しい』というのをずっと伝えてきました。

それを、ただ授業や講義の中で伝えるだけじゃなくて、拠点をつくって、もっとリアルに実現できる場があればいいなって、ずっと思っていました。それを実現できたのが、このサキドリなんです」

「リアルなワールドカフェを実現したい」― 植村さんがこの場所でやってみたいこと

田中さんと植村さん

植村さんと田中さんに、このサキドリを今後どのように発展させていきたいのか、あるいはどんなことをやってみたいのかと尋ねてみると、植村さんは「ボクは、ここでリアルなワールドカフェをやりたいんです」と語った。

ワールドカフェとは、4〜5人ずつのグループに分かれて、1つのテーマについて「会議室ではなくカフェで話すように」それぞれ議論を行うものである。研修の手法やワークショップとして用いられることも多い。

会社の会議のように堅苦しいものではなく、結論を求めるためのものでもなく、参加者どうしで意見を言い合い、新たな知見を得たり認識を深めたり、それを通して参加者の交流間を深めることなどを目的とする。

植村さん「元々ワールドカフェは海外で生まれたもので、カフェに色々な人たちが集まって、社会問題などについて議論を行っていたのがが始まりです。カフェですので年が若い人もいれば年配の方もいる。色々なキャラクター、さまざまなパーソナリティを持った人たちが集まって、何かについて論じている。

そんなところから始まったのがワールドカフェなんですけど、このサキドリでリアルにワールドカフェを実現できたらなと思っています。学生、先生、社会人、地域の人たち。いろんなバックグラウンドを持った人たちが、ひとつのテーマで話ができたらすごく面白いですよね。究極的には、それが自然発生する場を目指したいです。

学生たちがいろんな大人たちと喋って、自分の知識・見聞・スキルをつけてくれたら、それが僕の本望なんです。ここで出会う経験が自分の将来、未来を先取りするための糧になる。それがこのサキドリの目的ですね。

未来を情報を先取りして、飛び立つための出会いを得る場所 サキドリ、2021年9月28日オープン!

オープン日の告知ポスター

そんな『Co-working&Community サキドリ』は、2021年9月28日にオープンだ。通常のコワーキングスペースと同じように、月額払いで使い放題のコワーキングスペース型の営業スタイルだ(なお、ドロップインもあるので一回のみの利用も可能だ)。

サキドリの月額料金は、学生なら100円、大学関係者は500円、一般の社会人会員でも6,600円〜と、非常にリーズナブル。初回のみ登録料が別にかかるが、とはいえそれもかなり安く価格設定されている。

(▶︎ Co-working&Communityサキドリ 料金表

この良心的な値段設定からも、学生をはじめとする多くの人たちに来てもらって、色々な出会いが生まれて欲しいという植村さん、田中さんの想いが読み取れる。

日本は海外と比較して、知らない人どうしで交流したり、ましてや議論したりということが起こりにくい文化があると思う。でも、もともと都のあった京都という土地には、海外の文化を取り入れて時代をリードしていた“新しいもの好き”な歴史と気風がある。

このサキドリが日本の中で世界の文化を先取りして、京都に新しい風を起こしてくれるといいな、なんてことを、植村さん、田中さんのインタビューの中で思わされた。サキドリのオープンと今後の発展が楽しみだ。

(取材・文 : 充紀

【基本情報】

■ Co-working&community サキドリ
– 住所 : 京都市北区上賀茂葵田町1-8
– 営業時間 : 09:00〜22:00(緊急事態宣言中等は要確認)
– 定休日 : 年末年始・不定休(月3日程度)
– 公式サイト : https://b-dream.sakura.ne.jp/home/
– Twitter : https://twitter.com/b_dream_career
– Facebook : https://www.facebook.com/coworkingSAKIDORI/

この記事書いた人

充紀

職業フリーライター
『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

あじわいぽすと

(画像提供)tastEAT

フードロス削減活動を行っている学生団体『tastEAT』さんとフードロスの窓口『あじわいぽすと』を設置することになりました。

「あじわいぽすと」とは、全国で余ってしまった食材を譲り受け、それを必要とするところへ届ける取り組みです。

この名前には、食べ物を気軽に持ち寄って集まれるような場所をつくり、その食べ物を必要とする人へと結び、味わってもらいたいという気持ちがこめられています。

あじわいぽすとの仕組みは、以下のようになります。

1.生産地、お店、家庭などで余ってしまった食材をあじわいぽすとへ送ります。

2.寄付していただいた「食」を、子ども食堂や福祉施設、学生を支援するNPO団体などに、あじわいぽすとが責任をもって届けます。

あじわいぽすとの仕組み

(画像提供)tastEAT

私たち空き家バンク京都は、ロス食材の宛先となる場所を提供し、「空間」という面からサポートさせていただきます。

これまで空き家バンク京都が運営するBBQテラスでは、第5回イベント「たべらぶる#じゃが」 、第7回イベント「おやさいじゅーす」が開催されました。

第5回イベント「たべらぶる#じゃが」

第7回イベント「おやさいじゅーす」

「たべらぶる#じゃが」開催レポートはこちら

私たち空き家バンク京都は人の“想い”を大切にしています。

ただ空き家を活用するだけではなく、空き家の所有者、大家さんの想いを繋ぎ止め、次世代に残していきたいと思っています。

空き家の活用、フードロスの削減、形は違えど想いを届けるという同じ考え方をもつtastEATさん。

これからも全力でサポートしていきます。

tastEATさんと空き家バンク京都代表鈴木

あじわいぽすとに関するtastEATさんの記事はこちらからご覧いただけます。

あじわいぽすとさんのTwitterはこちらです。

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    〒601-8407
    京都市南区西九条寺ノ前町3番地
    空き家バンク京都 お客様相談窓口 文通係宛

    2021年6月27日、空き家バンク京都のBBQテラスにて、フードロスの削減を目指す学生団体「tastEAT(テイスティート)」の第5回オフラインイベント「たべらぶる#じゃが」 が開催されました!

    (画像提供)tastEAT

    イベントの目的は、「形や大きさが悪い」「少し傷がある」といった理由で市場に出すことができず、廃棄されてしまっている「規格外野菜」のことを知ってもらうこと。

    今回のイベントで使用したのは、規格外で廃棄予定だったジャガイモ。ただ規格外というだけで、味はとっても美味しい収穫したばかりの旬じゃがです。スウェーデンの国民料理「ハッセルバックポテト」にして、美味しくいただきました。

    ハッセルバックポテトはジャガイモを丸々一つ使用する料理です。そのため、規格外とされてしまったジャガイモの形がよく分かります。規格外でも味わいは市販されているものと何ら変わらないということを、美味しく、楽しみながら感じられます。

    BBQテラスにはtastEATメンバーの学友や農業に関心を寄せる若者、お子さんを連れて来てくれたご家族など、さまざまな人たちが集まりました。 同じテーブルを囲んで美味しいジャガイモを食べていると、自然に参加者どうしの交流が生まれます。

    tastEATメンバーの方が活動内容や規格外野菜の現状について話してくれたり、来場してくれた方がITを導入した農業について語ってくれたり、その場にいるだけで農業やフードロスについての理解が深まる時間になったと感じます。

    学生団体「tastEAT」とは?

    (画像提供)tastEAT

    今回イベントを主催してくれた「tastEAT(テイスティート)」さんは、【おいしく楽しくフードロスを削減】をモットーに活動する学生団体。代表の安藤千菜美さん(同志社大学4年)がSNSで想いを発信したことをキッカケに、有志の大学生7人が集まり結成されました(※ 現在は8人で活動されています)

    所属メンバーは大学も住んでいる地域も様々。唯一の共通点は、『食』や『フードロス』に対する”想い”のみ。結成は昨年の9月とまだ日は浅いのですが、この短い期間に全国各地で5回のオフラインイベントを開催し、オンラインでもトークイベントやラジオ番組などを精力的に行なっています。

    第3回オフラインイベント「おやさいまふぃん@東京」にて
    (画像提供)tastEAT

    そんなtastEATさんは、その考えや数々の取り組みが評価され、環境省とフードシェアリングアプリ「TABETE」が合同で行うプロジェクト「 “No-Foodloss!” Youth Action Project」の選定事業にも選ばれているんです!

    それぞれの経験がフードロス問題を考えるキッカケに

    (画像提供)tastEAT

    フードロスに関心を持つようになったキッカケについて、代表の安藤さんは、次のように語っています。

    「私は以前、テーマパークや居酒屋さんで飲食のアルバイトをしていたことがあります。仕事の中で『お客さんが残した食べ物をゴミ箱に捨てる』という行為にすごく抵抗感があり、なんとかならないかな、と考えていました。

    そんな中、上海への中国語留学をして、日本と中国での文化の違いに驚きました。中国のレストランでは、残った料理を『お持ち帰り』できるのが当たり前の文化になっていたんです。日本でもこんなシステムが普及すればいいなと思ったのがキッカケとなり、この団体の立ち上げに繋がりました。」

     

    tastEAT代表 安藤千菜美 さん

    また、tastEATのメンバーのひとり一柳 翠さん (いちやなぎ みどり / 大阪府立大学3年)は、学生でありながらSDGs推進事業を行う「株式会社ネクストエージ」の代表取締役社長を務めています。そんな一柳さんは、代表の安藤さんとはまた違ったキッカケでフードロスに関心を持つようになったと話します。

    「私はアメリカに農業研修で留学へ行く予定だったのですが、このコロナの影響でなくなってしまって。それで、日本の農家さんにお願いして農業研修させていただくことにしたんです。

    農業研修を通して、思いを込めて丁寧に野菜づくりをする農家の方々の姿を見て、その大変さも実感して……。

    そんな中で、ただ見た目の問題だけで捨てられてしまっている規格外野菜がこんなにもたくさんあるんだってことを目の当たりにして、なんとかしたいと思うようになりました。

    また、一柳さんも農業研修後に飲食店でのアルバイトをしてみて、安藤さんと同様、その現状にショックを受けたと語ります。

    「私が働いていたお店では、お客さんが入る前に大量に作り置きしておいて、注文が入らなければ捨てるというのが当たり前に行われていました。農家さんや酪農家さん、漁師さんなど、さまざまな人たちが手間暇かけてくれたおかげで食べることができている私たちの食材が、捨てることを前提に使われてしまっているという現状にショックを受けました。

     

    tastEATメンバー 一柳翆さん

    このように、メンバーそれぞれが強い想いを持って自発的に集まり行動している。そして、【走りながら考える】という方針のもと、実際に行動してトライ&エラーを繰り返しながら学び続けている――。そんなスピード感と行動力を武器に、tastEATさんは「世の中にフードロス問題への関心を向けてくれる人が少しでも増えるように」と、日々活動を続けています。

    tastEATの今後の活動

    (画像提供)tastEAT

    そんなtastEATさんは、月1回のオフラインイベント開催を目標にしており、7月には東京で、8月は再び京都でオフラインイベントの開催を予定しています。

    7月の東京イベントでは、前回好評だった【おやさいまふぃん】がさらにパワーアップして戻ってきます! こちらももちろん、規格外野菜を使用したものです。食品衛生基準やネット販売のルールも満たしていて、今後は通販購入できるようにと準備を進めているそうです。

    【おやさいまふぃん】5月開催時の告知より
    (画像提供)tastEAT

    また、8月には再び空き家バンク京都のBBQスペースにて【おやさいじゅーす】のイベントを開催予定です! さらにその後も、空き家バンク京都と共同で「子ども食堂」イベントなどを計画しています

    さらにオンラインでも、tastEATメンバーと一緒にフードロス問題を考えるトークイベント『食べトーーク』や、フードロスの専門家をゲストに招いてのZOOMラジオ放送『食べラヂオ』などを今後も開催していく予定です。

    『食べトーーク! vol.1「お店」と「ロス」』(2021年5月8日)
    (画像提供)tastEAT

    フードロスの問題やSDGsに関心のある方、自発的に活動する若い世代を応援したい方、あるいは同じ学生としてtastEATさんのお話聞いてみたいという大学生の方、などなど、ご興味を持たれた方はぜひ、7月、8月のイベントやオンラインの「食べトーーク」「食べラヂオ」に参加してみてはいかがですか?

    ― 取材・文・写真 : 充紀(フリーライター/空き家バンク京都アンバサダー)

    ▶︎ tastEAT 公式Twitter
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    ▶︎ tastEAT 公式note

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    充紀

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    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

    空き家バンク京都(YADOKARI)は、やりたいことを仕事にしたい、現状を変えたい、フリーランスになりたい、自分の店舗を持ちたい、などなど、何かに挑戦したいという想いを持った方々を応援しています。

    「フリーランスとして、場所や時間に縛られず自由に働きたい」
    「好きなイラストを仕事にしたい」
    「古民家カフェを経営したい」
    「独立起業へ向けて、生活コストを抑えて資金を貯めたい」

    このような想いを持っているなら、ぜひ僕たちと一緒に夢へ向けて一歩踏み出してみませんか?

    空き家バンク京都ができること

    空き家バンク京都は、空き家の補修・活用やシェアハウス事業「YADOKARI」の運営など、さまざまな活動をしています。そんな空き家バンク京都では、

    • シェアハウスや賃貸物件を低予算からご紹介
    • 実店舗のご紹介、低予算からの改修・改装、店舗運営のサポート
    • 家賃に関するご相談や、給付金などの申請サポート

    などの「住」に関することを中心としたサポートが可能です。

    また、それだけではありません。僕たち「空き家バンク京都」を、 あなたの今後の活動に向けたステップアップのための場所にして頂けたらと考えています!

    空き家バンク京都が提供できる具体的なメリット

    もっと具体的な話をしてきます。空き家バンク京都は、具体的に次のようなメリットをご提供できます。

    ① シェアハウスなら初期費用と毎月の固定費用が抑えられる! だから挑戦の幅も広がる!

    シェアハウス石田森東

    空き家バンク京都(YAODOKARI)のシェアハウスは、全物件初期費用無料・家具家電付きですので、お金に余裕がなくてもすぐに住み始めることができます。

    しかも家賃と管理費の中に水道・電気・ガス・インターネットの代金や、洗剤・トイレットペーパーなどの消耗品代も含まれていますので、賃貸物件での一人暮らしと比較したら毎月の固定費をかなり節約できるはずです!

    固定費を下げることで、今までよりアクティブな挑戦が可能となるはずです。もちろん、コツコツと貯金して独立資金を貯めるのにもうってつけです。

    ② スキル交換による家賃免除。未経験でもローコスト・ローリスクで実践経験と実績を積める!

    シェアハウス京都駅ビルの入居者と一緒に現場作業

    シェアハウス入居者さまのご希望があれば、お持ちのスキルを活かして家賃の減額・免除が可能です。

    ライティング、イラスト、Webデザイン、動画編集などなど、Web系スキルを活かして弊社Webサイトのコンテンツ作成をしていだいたり、クロスの張り替えや塗装などの現場系作業をお手伝いしていただいたり、何かお持ちのスキルが活かせるのならぜひご相談ください!

    現在学習中で、実践経験がなくても意欲さえあれば大丈夫です。空き家バンク京都を学んだ知識の実践の場、経験を積む場にしてください!

    納品していただいたコンテンツは弊社で利用させていただくだけでなく、ご自身の製作実績・納品実績として、営業や転職活動の自己PRにご活用いただけます。

    ③ 現役フリーランスや大手企業の正社員エンジニアも在籍。交流から学べる!

    シェアハウスに入居を希望される方の中には、合理的でミニマルな暮らし方を求めている方が多くいらっしゃいます。

    弊社のシェアハウスにも、フリーライターとして場所と時間を選ばないノマド的な働き方をしている方や、転職や独立を見越して着々と資金を貯めている大手企業社員の方など、色々な方が入居されています。

    シェアハウスという新しいコミュニティの中で刺激を受け合うこともあるかも知れませんし、他物件でもお仕事上で面白い関係が築けそうな方同士を僕たちの方でお繋ぎできることもあります。

    ちなみに、ここ最近ちょうどそのような問い合わせ・実例が増えてきており、今後さらにそのような機会を増やしたいと考えております!

    ④ 実店舗を持つことも! 費用面の相談や運営のサポートもOK♪

    京都駅近くのレンタルスペース「BBQ TERRACE KYOTO」

    弊社は京都市を中心にたくさんの空き家を管理しており、店舗として使用できる物件もあります。空き家バンク京都はこれまでにたくさんの空き家改修・改装の実績があり、家賃・初期費用をかなり抑えて実店舗をスタートすることも可能です!

    「カフェやショップのお店を持ちたい」「シェアハウスやゲストハウスを運営したい」などなど、空き家を活用したビジネスをしたいとお考えの方もぜひご相談ください!

    ⑤ 面倒な「住居確保給付金」の申請を完全サポート。実質家賃ゼロも可能!

    昨今の新型コロナウイルスやその他の事情によって職を失ってしまったり、収入が大きく減少してしまったりといった方が急増しています。

    京都市では、そんな方々を対象に「住居確保給付金」の支給を行なっています。「住居確保給付金」を利用すれば、原則3ヶ月(最大9ヶ月)の間、家賃相当額(最大40,000円)が自治体から支給され、家主さんに直接支払われます。

    先行きが見えない現状で大変ありがたい制度ですが、手続きには決められた書類を揃える必要があり、申請が少々煩雑で面倒なことも事実です。

    空き家バンク京都では給付金申請書類の作成・申請の完全サポートを行っていますので、煩雑な手続きもスムーズに、ノンストレスに行うことができます。

    給付金を利用できれば毎月の固定費は管理費分程度(1万2千円前後)に抑えられますので、転職や開業の準備も安心して進めることができますね!

    想いが重なることなら、なんでも一緒に挑戦しましょう!

    そもそも、僕たち「空き家バンク京都」自身、まだまだ規模も小さい"チャレンジャー"の立場です。そんなチャレンジャーの立場として、これから間違いなく社会に必要とされていく「空き家活用」の分野で、ぼくたちは活動の幅を広げて成長していきたいと考えています。

    そんな発展途上の僕たちだからこそ、是非ともお力を貸していただき、相乗効果で一緒に成長していけたらと考えています!

    年代・国籍や職業などは問いません。僕たちとどこか想いが重なり、またご自身の夢に向けたステップとしても僕たちをご活用していただけるのであれば、是非僕たちと「互いにメリットのあるWin-Winな関係」として、一緒に活動してみませんか?

    この記事書いた人

    充紀

    職業フリーライター
    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

    「空き家問題」という言葉を聞くようになって久しい。少子高齢社会を背景に、空き家問題は全国的に深刻化し続けている。

    現在、空き家の数は全国で850万戸にものぼると報告され、これは全戸数の13.6%にあたる。つまりは、"7戸に1戸以上が空き家"というわけだ(※ データは総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」より)。

    空き家問題はこの通り全国的な問題だ。しかし「その中でも京都市は"特異な立場"であり、だからこそ全国に先駆けて空き家問題に取り組むべきだ」と語るのが、空き家バンク京都の代表・鈴木一輝だ。

    空き家バンク京都代表

    鈴木 一輝

    1988年生まれ。京都産業大学卒。宅地建物取引士。1級空き家管理士。空き家ビル、空きテナントを滞在型施設に活用する新規事業に支配人を務めた経験を経て、2016年に空き家バンク京都の前身として「百代家」を立ち上げる。その後、「空き家バンク京都」に改名し、空き家の改修・再生、シェアハウスや宿の運営・管理、テナント業などを行う。

    そんな京都市の空き家問題について、詳しく話を伺った。

    (取材・文 : 「空き家バンク京都」アンバサダー・充紀)

    ⦅京都独自の背景から解決が難しい京都市の空き家事情⦆

    データで見てみると、京都市内の空き家数は約11万戸。割合にすると、全国平均をやや上回る程度の14%。数値を見る分にはそれほど特異な状況とは思えず、全国にはもっと深刻な地域があるように思える。しかし、「実情はそうでない」と鈴木は語る。

    鈴木 : 実は、京都市内にはデータに載っていない"隠れ空き家"がかなりの数存在するのです。京都市に昔から長く住んでいらっしゃる方たちの中には、誰も住んでいない家でも「空き家ではない」と主張する方が多いのです。というより、本人は「倉庫として利用している」とか「将来直して住む予定がある」といった考えを持っていて、「だからその家は空き家ではない」と心から思っている方が多い印象です。

    また、京都人の文化的な背景もありそうです。京都市に昔から住む方たちは、ご近所の付き合いを大切にされています。でもそのぶん、ご近所の目を気にしやすいところがあるのです。だから、「テナント募集」や「売出し中」という看板をつけることを嫌う大家さんがすごく多いと感じます。これも京都に"隠れ空き家"が増え、活用されにくくなっているひとつの理由かと思います。

    データには現れない"隠れ空き家"。京都市の本当の空き家率は20%以上とも、25%以上とも言われているそうだ。さらに、もっと深刻な問題がある。京都市には「どうすることもできず、ただ放置されている」空き家の割合が多いのだ。

    鈴木 : 京都の空き家の中には、京都市が「京町屋」として歴史的価値を認めている家屋が多いです。大家さん自身もその価値は感じていて、だから潰すことはできない。でも、老朽化してしまった京町屋を活用できる状態まで再生するにはかなりのお金がかかります。一般的に、京町屋の改修を工務店に依頼すると、費用は1,000万〜1,500万円ほどかかると言われています。

    同様に、活用したい人に貸したり売却したりする場合も賃貸料・購入費用が高くなりますし、その上多額の改修費用がかかります。そのため、好立地でもない限り借り手・買い手がなかなか見つからないのです。

    京町屋を潰したくはない。ここには、単に「歴史的な建物を保存したい」という気持ちだけではなく、「京都の地で代々受け継いできたものを守りたい」「思い出が残るあの家を潰したくない」といった想いも加わる。

    京町屋を潰さずに守っていく。そうであれば、自分で住むにしても、貸し家やテナントにするにしても、空き家問題を解決するには「高額な改修費用」をなんとかしないといけないのだ。

    ⦅「まずは安く直し、実際に動かし始める」ことが第一歩⦆

    現実的に、1,000万円以上の費用をかけてまで「どうしても京町屋にこだわりたい」という人は少ないし、かけたくてもかけられない人だって多い。だからこそ、はじめから完璧を目指さず、「まずは安く直し、実際に動かし始める」ことが大切だと鈴木は語る。

    鈴木 : 京町屋の改修・再生には、先ほどもお話しした通り1,000万〜1,500万円くらいかかるのが一般的な相場です。しかしやり方さえ知っていれば、工夫の次第で200〜300万円ほどの費用でも、実際に活用可能な形まで再生することができるんです。

    もちろん、京町屋の冷えやすい構造への対策として床暖房を張るとか、現代風の使いやすい構造に内装を作り替えるとか、そこまでの大幅改装は難しいです。でも、必要な補修を施し、床や壁を張り替え、普通に生活できる物件にしたり、お宿やシェアハウス、飲食店など、事業に活用できるだけの物件に仕上げることは十分できます

    空き家バンク京都では、手に余らせている空き家をお預かりし、実際に再生してさまざまな形で活用させています。例えば、伏見稲荷大社からほど近くの囲炉裏茶屋『ななころびやおき』さん。

    『囲炉裏団子屋 ななころびやおき』さん 改修後

    鈴木 : こちらはボロボロの倉庫だった長屋を改修し、和風モダンな店舗に再生しました。こちらの改修にかかった費用は300万円ほどです。

    ななころびやおきさんビフォー

    『囲炉裏団子屋 ななころびやおき』さん 改修前の倉庫の様子

    空き家バンク京都が手掛けた物件は、そのほとんどが300万円以下の費用で改修されており、実際にいまカフェやシェアハウス、お宿などとして利用されている。

    空き家バンク京都が運営するシェアハウス『シェアハウス上横縄町

    少ない予算の中で工夫して再生することで、その空き家が持ち合わせていた"京町屋らしさ"が残され、それがむしろ物件の魅力ともなっている。そして、そんな京町屋を活用したいという人が、本当はたくさんいるのだと鈴木は語る。

    ⦅京町屋を活用したい人は確かにいる。適切に"想い"を繋ぐ⦆

    京町屋の雰囲気を活かしたギャラリーを作りたい。京都の空き家を使って古民家カフェをやりたい。あるいは、ボロボロの古民家を自分で直して、自分好みにDIYして住んでみたい……。そんな想いを持った方が年々増えてきている。

    鈴木 : この10年、20年の間で、日本の社会も、人々の価値観も大きく変わっています。特に昨今のコロナが、人々に大きな価値観の変化を与えていると強く感じます。そんな中で、便利になった今の時代だからこそ昔ながらのものに魅力を感じ、その良さを残していきたいと思う方、伝えていきたいと思う方が増えているんです。でも、費用の問題でその夢に、想いに動き出せない方たちが……。

    だから、そんな京都が好きで、京町屋が好きで、きっとその物件を大事にしてくれるだろう方たちに、手に余らせてしまっている空き家を繋いでいきたい。そして、そんな方たちの想いが叶い、それがその先も長く続いていくように、サポートしていきたい。ぼくたち空き家バンク京都はそう願っています。

    鈴木は、以前のインタビューでも次のように語っている。

    僕たちは、人の “想い” を大事にしています。空き家となってしまった物件には、家族の想いが残されています。「家族との思い出が詰まった家だから」とか「おばあちゃんの仏壇があの家には残っているから」といった理由で動かせないままになっている物件も多いんです。そんな大家さんの想いを繋ぎ止め、次世代に残していく仕事が僕はしたい。

    (中略)

    だから僕たちは空き家を改修・再生するとき、必ずどこかしら元の家の要素を残します。やはり直せば、全体の姿かたちは変わってしまうかもしれない。でも、どこかに必ずその家の呼吸が生きていて、その家が紡いできた歴史が、思い出が、次の世代へと引き継がれる。そんな想いを持って、僕たちは空き家の再生にあたっています。

    「負の遺産」と言われる空き家を再生・活用。京町屋に残された “想い” を次世代に繋ぐ「空き家バンク京都」より

    改修をしてしまえば、確かにその家の形は変わってしまう。でも、直すべきところを直して、誰かが使ってあげることで、次の世代に残していけるものがある。

    鈴木 : 実際、ぼくたちが物件をお預かりして改修し、シェアハウスとして運営している物件に、以前その家に住んでいた方が「昔の我が家をひと目見てみたい」と訪れてくださったことがありました。内装自体は大きく変わりましたが、かつてのままである間取りの様子、あえてそのまま残した玄関や床の間を見て、かつての自宅の面影を懐かしんでくださいました。

    家は、使ってあげてこそ輝きます。使ってあげるからこそ残すことができ、その家に残されたものも想いも、次の時代へと繋がっていくのでしょう。

    ⦅京都から全国へ、空き家活用のモデルケースを⦆

    空き家バンク京都が運営するお宿『Takasegawa suites

    少子高齢社会が進み続け、しかも住宅の供給過多となっている日本では、これからも空き家が増えていくのは必然だろう。

    でもそれと同時に、「地方の良さ」や「昔ながらのものの良さ」も見直され始めている。また、リモートワークや多拠点生活など新しい働き方が生まれ、シェアハウスやコワーキングスペースなどといった「空間をシェアして利用する」新しい文化も一般的なものとなりつつある。これらは空き家の有効活用の方法としても非常にマッチするものだろう。

    鈴木 : これから何か新しく事業を始めたち方にとって、空き家は魅力的な選択肢なんです。朽ちてしまった京町屋を再生して活用する場合、固定資産税などがかなり安く済みますし、行政の補助金も受けられます。大きな初期投資さえ避けられれば、基礎体力のある事業が作れるんです!

    ぼくたち空き家バンク京都は自分たちで実際に改修・再生を手がけ、シェアハウスやお宿など事業を運営してきました。低予算で改修するノウハウも持っています。

    だから、「空き家で何かをやってみたい」という方には改修から運営まで一通りのサポートをすることができるんです。もちろん、費用面もできる限りの協力をさせていただきます

    そうして想いを持った方が空き家を再生し、やりたかったことを実現する。空き家を活用することで、歴史ある京町屋が息を吹き返し、次の時代へと繋がっていく。

    空き家バンク京都の活動はまだまだ小さなものでしかありませんが、ぼくたちの活動が空き家の再生利用のモデルケースとなり、京都中、日本中に広がっていくようになれたらな、と思っています

    (取材・文 : 「空き家バンク京都」アンバサダー・充紀)

    この記事書いた人

    充紀

    職業フリーライター
    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

    コロナ禍が続く2021年現在。リモートワーク、在宅ワークなどが一気に普及し、働き方・暮らし方の多様化が進んでいます。そんな背景の中、若者を中心に「田舎暮らし」への関心が以前よりも高まっているようです。内閣官房が実施した都内在住者へのアンケート調査では、約5割もの人が地方圏での暮らしに関心ありと回答しています。

    京都市のとなり、四方を囲む山々や保津川などの豊かな自然に囲まれた京都府亀岡市もいま、田舎暮らしを希望する人たちからの注目が高まっている地域のひとつ。

     

    「移住に関する問い合わせは年々増えていて、近年では年間300件ほど電話やメールをいただいています。また、『実際に亀岡市を見てみたい』という方への市内案内もご希望が多く、毎週のように実施しています。」

     

    そう語るのは、亀岡市ふるさと創生課の係長・荒美大作(あらみ だいさく)さんです。

     

    空き家バンク京都では、亀岡市内で現在唯一のシェアハウスである「シェアハウス亀岡」を運営しています。入居者のひとりが荒美さんに市内案内をしてもらったというご縁からこの度、荒美さんにお話を伺う機会を得ました。

    市の職員として精力的に亀岡市のPRをされている荒美さんに、亀岡市のことや移住の状況、田舎暮らしについてなどを語っていただきました。

    ― 取材 : 空き家バンク京都 代表 鈴木一輝、ライター 充紀
    ― 文 : ライター 充紀

     

    移住希望者のほぼ100%が家庭菜園を希望。自然豊かな亀岡市

    かつて、「本能寺の変」で有名な明智光秀の拠点「丹波亀山城」があった亀岡市。大自然に恵まれ、京都・嵐山からの「トロッコ電車」や、年間約30万人の観光客が訪れるという「保津峡下り」などが有名です。

     

    四方を山に囲まれている亀岡盆地では、冬場は「丹波霧」と呼ばれる深い霧が頻繁に発生することから「霧の都」とも呼ばれています。

     

    上の写真の撮影場所、丹波霧の雲海を見渡すに最適な「かめおか霧のテラス」から晴れた日の市内を見渡すと、市街地以上に広大な田畑が一望できます。

    「かめおか霧のテラス」から見下ろす市内の風景

     

    そんな自然豊かな亀岡市。年間300件ほどあるという移住希望者の問い合わせは、「家庭菜園がしたい」という方がほぼ100%近いといいます。

     

    「家庭菜園で自分で食べるものを自分で作ってみたいなど、いわゆる”丁寧な暮らし”を求めて移住を検討される方が多いのかなと感じます。都会の喧騒を離れ、自然豊かなこの地で、これまでとは違った新しいライフスタイルを求めている方がほとんどです。」

     

    移住希望の問い合わせには、大きく2つの層がある。そう荒美さんは語ります。

     

    「まず1つは30代半ば~40歳くらいで、お子さんが小学校にあがる前の方たちです。自然の中でのびのびと子育てをされたいという思いを持った方も多いですね。

    もう1つの層は、定年退職を終えた60歳以上の方たちですね。老後は田舎暮らしを楽しみたいという想いで亀岡の地を見にくる方が多いです。

    また、ここ最近の特徴として、20代の方からの問い合わせも少しずつ増えていると感じますね。」

     

    大自然溢れる亀岡市ですが、実は京都市内へは電車でたった20分ほど。京都市や大阪への通勤にも便利な立地で、実際、亀岡市居住者の就業人口の約4分の1は京都市内で働いているといいます。

    大自然での田舎暮らしと都市部への容易なアクセス。両方とも手に入ることも亀岡市の魅力のひとつなのです。

     

     

    家庭菜園をしながら古民家暮らし。そんな生活に憧れる方が多いが……

    そんな亀岡市への移住。希望者の方の中には「古民家」を求める方が多いという。

     

    「やはり、古民家は人気ありますね。家庭菜園付きの古民家で暮らしたいという方はとても多いです。」

     

    しかし……。荒美さんは続けます。

     

    「しかし、古民家はなかなか難しいというのが実際です。まず、古民家がなかなか出てこないんです。それに出てきてもそのままでは生活しづらく、改修費用も大きくかかってしまうということもあります。」

     

     

    古民家がどうして出てこないのか。荒美さんの話す内容は、まさに空き家バンク京都が京都市でぶつかってきた状況と同じでした。

     

    「1つは、仏壇が置きっぱなしになっていて動かせない。1つは、荷物が置きっぱなし。そして、親族やご近所さんへの”体裁”というのも大きいですね…..。昔から所有している物件を手放すとなると、ご近所の方への ”世間体が悪い” という意見が亀岡でも大きいです。

    物件をただ売ったり貸したりするのではなく、『若い世代の呼び込みのため』や『農家を継ぎたい人のため』など、何かしらの“社会的意義”を付加できると大家さんも気兼ねなく手放しやすいのですが……。」

     

    また、大家さんと移住者との間で希望のミスマッチもあるといいます。

     

    「空き家の大家さんたちとしては、“売りたい”、”手放してしまいたい”と思っている方がとても多いです。それに対して、住みたい方は“借りたい”と考えている方が多く、そのミスマッチも大きなネックとなっていますね……」

     

    “移住希望者の想いにマッチするものを提供したい” ― 亀岡市の取り組みと「空き家バンク京都」の今後の展望

    とはいえ、市の数々の取り組みも功を奏し、亀岡市に移住される方は着々と増加しています。亀岡市が平成28年から運用している「空き家・空き地バンク制度」を通じてのマッチングも数多く成立しているといいます。

     

    「運用開始から5年間で100軒弱の空き家が登録され、そのうちの80軒ほどは既にマッチングが成立しました。空き家を見たいという方は多くて空き家が足りていないくらいなので、もっと空き家を手に余らせてしまっている方に対して『空き家バンク』の認知と利用促進を強化していきたいですね。」

     

     

    また、空き家バンク制度だけでなく、亀岡市では移住促進のための助成金を数多く設けています。例えば、亀岡市への移住するために取得した空き家の改修費用などを最大180万円も補助してくれる「移住促進住宅整備事業」や、空き家所有者が売却や賃貸をするために家財等の撤去をする際にかかる費用を最大10万円補助する「空家流動化促進事業」などがあります。

    (参考 : 移住促進特別区域内の空き家活用などへの支援について | 亀岡市公式サイト

     

    それだけではありません。移住を前向きに検討されている方には、市のふるさと創生課の職員自らが丁寧に無料亀岡案内を実施していますし、定期的なオンラインイベントの開催などもしています。

    コロナ前なら、1泊2日の「移住体験ツアー」の実施などもしており、ツアー参加者が実際に移住されるなど、しっかり成果をあげています。

     

    「やはり、”田舎暮らしをしてみたい” とは思っていても、いきなりだと踏み切れない方も多いですからね。このツアーでは、実際にお宿を泊まりながら空き家バンクの登録物件を見てみたり、その近所に住む方と交流したり、先輩移住者さんからお話を聞ける時間を設けたりもしています。

    このように、泊まりがけで時間をかけつつ、実際に田舎の暮らしを ”体験してみる” ことはとても効果的なのかな、と感じています。参加者さんたちの反響もとてもよかったのですが、第2回の計画中にこのコロナの状況になってしまったので、また時期をみて実施したいですね。」

    (参考 : 京都・亀岡の暮らしを訪ねる移住体験ツアーレポート | 京都移住計画)  

     

    「そういう意味では、空き家バンク京都さんのシェアハウスができてくれたことはすごくありがたいと感じています。シェアハウスは気軽に入居しやすいですし、亀岡での暮らしを”お試し” する場所としても効果的なのかな、と思っています。」

     

    そんな荒美さんの話を受け、空き家バンク京都の代表・鈴木はこう語ります。

     

    「今日の荒美さんのお話を伺い、自分の目で市内各地を回ってみて、自分たちがいま提供しているシェアハウスは”希望者さんたちが求めるもの”とはちょっとマッチングできてなかったな、と感じています。西洋風な物件ですし、家庭菜園ができるようなスペースもありませんし……。

    でもお話を聞いて、ぼくたちがお力に慣れることも大いにあるとも感じます。ぼくたちならこれまで京都市を中心に培ってきた経験を活かして古民家の取得や低予算での改修をすることができるはずです。

    家庭菜園付きの物件や昔ながらの古民家を掘り起こして、移住希望の方にお貸ししたり、新たなシェアハウスを作ったりといった活動を今後考えていきたいですね。」

     

    空き家バンク京都が運営する「シェアハウス亀岡」にて語る代表・鈴木

     

    今回、亀岡市役所の荒美さんとお会いできたのも大きな縁です。今回はお伝え仕切れなかった面白いお話もたくさんお伺いすることができて、空き家バンク京都の亀岡市での活動も具体性が高まりました。

    空き家を余らせていてお困りの方、あるいは亀岡の地で新たな生活をしてみたいとお考えの方たちのお力になれるように、活動の幅を広げていきたい。そんな想いが高まる取材となりました。

    ― 文 : ライター 充紀

    この記事書いた人

    充紀

    職業フリーライター
    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

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    「負の遺産」と言われる空き家を再生・活用。京町屋に残された “想い” を次世代に繋ぐ「空き家バンク京都」

    「ぼくがヨーロッパで見たのは、そこにいる誰もが “思い想いの豊かさ” を享受している風景でした。それが実現できるような、”開かれた場所” をこの長屋で実現したいんです」。

    そう語るのは、国立 京都工芸繊維大学の大学院生・柳沢大地さんだ。柳沢さんはいま、京都・三条の腐朽した長屋の改修・活用に名乗りを挙げ、クラウドファウンディングを企画している。その場所に作ろうとしているのは「地域に開かれた工作室」だ。

    「地域に開かれた工作室」とはどんな場所なのか。また、このプロジェクトはどんなきっかけで生まれ、どんな経緯を歩んでいるのか。そして、どんな想いが柳沢さんを動かしているのか。その内に秘めたものを伺った。

    柳沢大地

    長野県松本市出身。1997年生まれ。千葉大学工学部建築学科を卒業。大学では「歴史的建造物の調査・修復・保存」などを研究。現在は京都工芸繊維大学の大学院1年生。

    また、商品化を前提にしたプロダクト等を募集する「第13回 シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション(SNDC)」に同期の石川草太と応募。約1,300点もの応募作品のグランプリを受賞している(→ SNDCインタビュー)。

    腐朽した長屋の再生・活用。スタートは個人的な小さな計画だった

    京都市中京区・三条大橋

    京都市のランドマークのひとつ「三条大橋」から徒歩5分ほど。知らなければ見過ごしてしまうような細路地の奥。まるで隠れ家のような空間で柳沢さんたちのプロジェクトは進行している。推定築100年、老朽化した長屋を基礎から改修し、新しい地域交流の場をつくろうとしているのだ。

    左右2軒ずつ、4軒の長屋が佇む路地奥

    かつて庶民の生活の中心であった長屋は、どこか素朴で親しみやすい雰囲気をいまに残している。そんな長屋特有のよさを壊さないように改修し、未来に建物を残していきたい。そう柳沢さんは語る。

    「改修には、既存の構造をできる限り大切に残しながら改修を行う、伝統的な構法を使っています。たとえば、腐ってしまった柱の補強には、木と木を直列につなぐ『腰掛け鎌継ぎ』という構法を用いています。このような技術は専門家の方々にご協力のもと、学ばせていただきながらプロジェクトを進めています。」

     

    「腰掛け鎌継ぎ」により補修した柱。釘やビスなどは一切使用していない

    しかし実のところ、最初はいま計画しているような大掛かりな改修工事は予定していなかったという。

    「もともとは、内装を自分好みにDIYするだけのつもりでした。自分の居住スペースにギャラリー併設するくらいの予定だったのです。大学時代、古い建物の保存活動に参加していたこともあり、『自分で古民家を好きなように改修して住んでみたい』という想いがありました。」

    しかし、いざ空き家探しをはじめてみると、計画は出鼻から挫かれた。

    「そもそも、自由に改修できる物件が見つからなかったんです。大きな検索サイトに載っている空き家はどこも『原状回復義務』があり、DIYは制限されています。そんな中で偶然見つけたのが『空き家バンク京都』さんです。投稿を見て、『ここならもしかして……』と思い、代表の鈴木さんに電話しました。」

    挫折の連続からのスタート。助けられたのは想いを持った人たちとの出会い

    鈴木とは想いが重なるのを感じ、すぐに意気投合したと、柳沢さんは話す。

    「鈴木さんは『京都の風情ある古民家をちゃんと再生利用してあげたい』という想いを持って活動されている方でした。さらには、『空き家で何か新しくチャレンジしたいと思っている人を応援するような仕事がしたい』とも語っていました。

    話は盛り上がり、内見したその場でこの長屋を借りることに決めました。鈴木さんが『自分が思う通りに、好きなように改修してほしい。家賃も改修が終わって活用しはじめてからで大丈夫だよ』と言ってくださったのも、大変ありがたかったです。」

       

    柳沢さんが借りた長屋。改修工事を始める前の様子

    しかし物件が決まったあとも、思うように事は進まなかった。いざ壁や畳を剥がしてみると、柱が何本も腐っていたのだ。建物の状態を見ていただいた京都建物安全管理協会の見解は、「すぐにでも改修しないと、倒壊の恐れもある」とのことだった。

    「正直、ここまで状態が悪いとは思っていなかったです。いくら建築を学んできたとはいえさすがにどうしようもなく、当初は途方に暮れるしかなかったです……。」

     

    腐っていた部分を取り除いた柱の様子。地面に到達していないことがわかる

    状況を変えるきっかけとなったのは、同じ路地奥で別の長屋改修を進めている人たちだった。この路地裏では現在、柳沢さんも含めて4軒の長屋改修が同時期に進んでいる。

    「お隣の長屋では、二条で町屋カフェ『まつは』を経営されている西村さんが、母校である京都建築専門学校の校長・佐野先生や専門学生さんたちとともにシェキッチンへと改修工事を行っていました。

    路地をはさんだ向かい側も、1軒はカフェに、もう1軒は京都芸術大学の学生さんがアートギャラリーに改修しています。

    西村さんや佐野先生、改修にあたっていた学生の皆さん、さらに久保工務店の棟梁・久保亮太さんなど、路地奥のスペースに交流の輪が広がっていきました。」

     

    三条の路地奥に広がるコミュニティ

    多くの人たちとの出会いの中で生まれた思考の変化。周りを巻き込んで大きなプロジェクトへ

    同じ場所で、同じ時期に、自分と同じように長屋改修に取り組む人たちとの交流。それぞれ目指すものは違っていても、そこに集まった人たちはみな同じように「京都の歴史ある長屋・町屋を再生したい」という想いを持って動いている。そのような環境の中で、柳沢さんは「自分の考えにも変化が生まれた」と話す。

    「はじめはひとりで始めたこの改修も、いまやぼくひとりの力では実現し得ないものになっています。佐野先生や久保棟梁のご協力のおかげで改修の方針が立ち、さらには学生のみなさんが作業を手伝ってくださるようになりました。みなさんのおかげで、ぼくのプロジェクトはいま前進できています。」

     

    協力して下さっている学生たちとの一枚

    「だから、この路地奥で生まれたこのコミュニティ、この場所の雰囲気を改修後も残していきたいと思ったんです。そのために最適な場所へ、この長屋を活用したい。」

    そんな考えの変化から生まれたのが、「誰でも自由な使い方ができる、地域に開かれたシェア工作室」というアイデアだ。

    完成予想図

    シェア工作室は柳沢さんの創作スペースになると同時に、地域交流の場でもあり、ふと訪れた誰かのための場所でもあるという。柳沢さんは次のように語っている。

    「例えるなら『原っぱ』のような場所です。原っぱには絵を描いてる人もいるし、昼寝してる人もいるし、サッカーして遊ぶ子供たちもいる。そんな、自由な使い方ができる寛容な場所を作りたいと思ったんです。」

    柳沢さんの心に残る原風景。ヨーロッパ一人旅で感じたもの

    原っぱのような場所。その言葉の奥にあるものを、柳沢さんは次のように語る。

    「ぼくは19歳のとき、1ヶ月のヨーロッパ一人旅をしました。バックパックひとつ背負って格安宿を回ったり、ときには野宿したりするような貧乏旅行でした。でも、その旅はぼくにとってかけがえのない原風景となっています。

    この旅の中で、ぼくはパリやジュネーブ、バルセロナ、ミラノなどさまざま場所を周りました。そこでぼくが目にしたのは、のびのびとしていて、自由に暮らす人たちの姿です。

    路上で好き勝手にギターを弾いている人がいれば、それに合わせて踊り出す人がいる。川縁で昼寝をする人もいるし、いろんな人たちが自由に出入りする教会。言うならば、“人々が街に住んでいる”ような風景です。そして、それらがすべて“いたって普通なこと”として受け入れられていたんです。これは、日本で生まれ育ったぼくにとって、衝撃的なことでした。」

     

    フランス・パリの公園で撮った一枚

    日本の都市は便利だし、経済的にはとても豊かだ。それなのに、どこか息苦しさを感じることはないだろうか。「日本の公共の場は、どこにいても常に誰かの目があって、“誰かに決められた見えないルール” に縛られている」ような感覚があると、柳沢さんは語る。

    「ぼくがヨーロッパで目にしたのは、もっと自由で寛容で、人々が “思い想いの豊かさを享受した風景” だったんです。そんな場所を、そんな環境を、日本の中につくっていきたいんです。」

     

    フランス・リオンの街で描いたスケッチ

    豊かさを育むのは「主体性」と「ゆるやかな繋がり」。工作室に込めた想い。

    どんな人も自由に使える、寛容な空間。しかしなぜ「工作室」にしたのだろうか。

    「”自由な場所”って、実は誰にでも優しいわけではないと思うんです。学校や会社といった組織の中で生活し、娯楽にもまったく不自由しない日本の都市で育った大人たちにとって、いきなり『さあここでは何をしてもいいですよ。自由に好きなことをしてください!』と言われても困ってしまう方が多いのではないでしょうか。常にやるべきことが与えられ、どこかに行けばサービスを受けることが当たり前となり、主体性が失われてしまっているように感じるんです。

    “ぼくはこれを作りたい”、“私は本を読みたい”、“俺はいま昼寝がしたいんだ”、“ぼくはいま手がけている仕事をどんどん進めたい!”

    本当は、誰しも胸の中にこのような気持ちを持っているはずです。だって、子供の頃は誰しも普通に表現できていたはずですから。いま自分が何をしたいのかちゃんと感じとって、それを実行する「主体性」が、自由を楽しむためには必要なんだと思います。」

    しかし……。柳沢さんは続けます。

    「でも、それだけだと楽しみを長続きさせるのは難しいかもしれません。それだけだと、やっぱり孤独なんです。

    ぼくは、『ものづくりを介した間接的なコミュニケーション』に救われました。自分の描いた絵を見知らぬ誰かがほめてくれたり、会ったこともない人が作った音楽に深く感動したり。あるいは、誰かと一緒にひとつの作品を作り上げる経験とか。

    ものづくりって、『循環』を生み出す行為なんです。自分が作ったものが、誰かに届いて何らかの価値を与える。その中で人と人のゆるやかな繋がり、コミュニケーションが発生する。そんな体験を通して、社会全体の循環構造が学べ、主体性も育ちます。

    そんな、人と人とのゆるやかな繋がり、小さな循環が生まれる場所に、このシェア工作室を育てていきたいと思っています。」

     

    柳沢さんがその先に見るもの

    「この工作室は、ふだんぼくが家具を作ったり、絵を描いたりする場所になりますし、近隣の人が壊れてしまったものを直しにきたり、子供たちが工作で遊びにきたりする場所になります。それと同時に、作家や学生が作品制作をしにくる場所でもあるし、誰かがちょっと立ち寄って読書や勉強をする場所であってもいいと思うんです。」

     

    完成後のイメージ

    「そうやって、多様なバックグラウンド、さまざまな考えをもった人たちが同じ空間を共有しつつ、それぞれに主体性を持って行動する。その中で自然にコミュニケーションが生まれる。そんな状態が、ぼくがこの場所で作りたい理想の風景です。そうなれば、この工作室は芸術・創作の場であると同時に、生活の場にもなります。生活と芸術の境目があいまいになるんです。

    ぼくは、なんとなく美術や芸術が世間の中で特別視されすぎているなと思うことがあります。芸術って本来はすごく身近で、誰にでもひらかれた行為だとぼくは思っています。誰しもが創作者だし、アーティストなんです。もっともっと芸術を身近なものに感じて、社会の中に、衣食住の中に溶け込んでくれたらと思っていますし、自分自身もそんな社会に少しでも近づけられるようなことをしていきたいです。」

    このように語る柳沢さんはいま、地元・長野県松本市でも同時進行で別のプロジェクトを進めている。空き地や駐車場など、どこでも「その空間が舞台」となって、演者と観客が近い距離で触れ合えるような「移動式劇場」という、実験的な試みだ。演劇ユニットmizhenと共同でプロジェクトが進行している。

    考案中の移動式劇場のスケッチ

    「この移動式劇場も今回のシェア工作室も、ひとつのきっかけに過ぎません。まずは自分のできる範囲から、芸術やものづくりと人々の生活を近づける活動をしていきたい。そして“人々が持つ思い想いの豊かさが広がる場所”をつくる活動を続け、広めていきたいと思います。

    生活と芸術の距離を近づける。ひとりひとりが主体的に、それぞれの豊かさを持って過ごせる空間づくり、社会づくり。柳沢さんのビジョンはとてつもなく大きい。だからこそ「ひとつひとつ、いま自分ができることをやっていきたい。そして、自分ひとりでできることなんて限られているから、その輪を少しずつ広げていきたい」と、柳沢さんは語る。

    「今回の改修も、ぼくひとりの力では諦めるしかありませんでした。しかし、想いが重なる人たちがいてくれたおかげでいま、プロジェクトは進められています。

    今回クラウドファウンディングをすることにしたのも、ぼくたちの想いに共感してくださる方と繋がりを持ち、一緒にこの長屋改修を進めるメンバーになっていただきたいと感じたことが大きな理由です。何かぼくたちと想いが重なる部分があれば、ご協力いただけるとたいへん嬉しいです!」

     

    このプロジェクトをはじめ、4軒の改修が計画通りに進めば、シェア工作室・アートギャラリー・シェアキッチン・カフェが同じ空間に集まることになる。アートに携わる人はもちろん、京都を訪れる人にとっても三条の隠れ家スポットとして面白い場所になるだろう。

    歴史ある長屋が次世代を担う若者たちの手で蘇り、活用され、古きよさを残しながら未来へと発展していく。このプロジェクトが空き家活用のモデルケースとなり、あとに続く若者たちを勇気づける成功例になってくれたら。そう願わずにいられない。

    ― 取材・文 : 充紀(ライター/空き家バンク京都アンバサダー)

    この記事書いた人

    充紀

    職業フリーライター
    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

    “京都で空き家を利用したい人”と“京都の空き家を貸したい人”とを繋ぐ「空き家バンク京都」。空き家バンク京都はどんな考えのもと、どんなことをしているのか。代表の鈴木一輝に話を伺った。

    空き家バンク京都代表

    鈴木 一輝

    1988年生まれ。京都産業大学卒。宅地建物取引士。1級空き家管理士。空き家ビル、空きテナントを滞在型施設に活用する新規事業に支配人を務めた経験を経て、2016年に空き家バンク京都の前身として「百代家」を立ち上げる。その後、「空き家バンク京都」に改名し、空き家の改修・再生、シェアハウスや宿の運営・管理、テナント業などを行う。

     

    空き家バンク京都はどんなことをしているの?

    ― まず、空き家バンク京都はどんなお仕事をしているのか聞かせてください。

    鈴木 : 誰かが手に余らせてしまっている空き家を買うか借りるかして、それを改修・再生し、実際に活用するところまで動かす。これが空き家バンク京都の仕事です。活用とは人が住む、または事業に使う、ということですね。ただ「買って売るだけ」とか「改修するだけ」ではなくて、再生した空き家の「そののち」までしっかり面倒をみることを大切にしています。

    また、僕たちが主体的に活用していく場合だけでなく、僕たちがサポートに回ることもあるんです。例えば、「京町屋を事業に活用したい」という想いを持った方のご相談を受けることがあります。そんなときは利用者さんの主体性を大事にして、その想いが実現できるように僕たちがサポートをしていきます。

    具体的には、最近だと「自分で直すところからDIYして、自分の思い通りの家や古民家カフェを作ってみたい」なんて方が増えています。でも、水回りや電気配線まで全部自分でやるのは難しいですし、改修は普通にやるとかなりお金がかかってしまいますよね。

    そこでうちなら、費用を抑えて改修するスキルやノウハウを提供できますし、信頼できる業者さんと繋ぐこともできます。また、その後の店舗経営の相談・サポートもできるわけです。

    とはいえ、ゴールはいつも同じで空き家がきちんと再生され、実際に活用されるところまで持っていくことです。大家さんや利用者さんのそれぞれが持っている “想い” を大事にして、柔軟な対応を心掛けています。

     

    ― なるほど。では、具体的にはどんな事業をされているのでしょうか?

    鈴木 : まずは空き家の改修・再生ですね。これだけを請け負うこともあります。シェアハウスやお宿、ゲストハウスの運営・管理。そのほか、一戸建てやテナント物件の賃貸も行っています。あと、「宿撮(やどさつ)」というサービスもありますね!

     

    「宿撮」とは?

    鈴木 : 雰囲気ある京町屋のお宿を利用して、宿泊はもちろん撮影スタジオとしても好きに使っていただけるサービスです。また、お寺さんとの提携もしているので、境内をお借りした撮影もできます。

    ― おお、これはすごい!

    鈴木 : 本格的なスタジオ撮影だとそれなりの費用がかかってしまいますが、「宿撮」ならリーズナブルにご利用いただけます。特にコスプレイヤーさんたちのニーズにマッチしていて、とてもご好評いただいているんです!ちなみに、まだ未着工の空き家を利用して廃屋撮影することもできますよ。

       

    「負の遺産」と言われる空き家に価値を生み出す

    鈴木 : 空き家って、社会的には「負の遺産」と言われているんです。空き家の改修・再生には通常1,500万円くらいかかってしまうので、活用したくてもなかなか難しいのが現実です。

    でも、DIYをしたい方や宿撮の利用者さんたちからすれば、”廃屋となってしまった空き家” そのものに価値があるんです。それをうまくマッチングしてあげることによって、本来「負の遺産」である空き家に価値を生み出すことができる。だから、ご家族の想いやお金の問題などで改修できない場合でも、このようにうまく活用することができるんです。

    空き家問題の現状と解決の難しさ

    ― 『負の遺産』である空き家に価値を生み出す。これは社会的にも大きな役割ですよね。

    鈴木 : その通りです。空き家問題はいま全国で大きな課題となっています。特に京都の場合、「歴史ある京町屋を壊してしまうのは忍びない」といった想いなど、京都独自の文化的背景があるため余計に空き家問題が解決しにくいんです。京都市内には「京都市北区の全戸数」に相当する約11万戸もの空き家があると言われています。何もできないまま、歴史ある京町屋が日に日に腐朽し続けています。僕は、そんな京町屋が取り壊されてしまう前に、一軒でも多く改修し、未来に残していきたいんです。

    それを実現するためには、“ただの空き家バンク” じゃだめなんです。全国には国土交通省や大手企業などが行なっている「空き家バンク」がたくさんありますが、「利用者が求めるサービスをきちんと運用できている空き家バンク」はほとんどないのが現状です。

    利用者が空き家バンクに求めているのは「たくさんの空き家物件がみれて、安く手に入り、それを活用できる」ということだと思います。でも、現状はあまり多くの物件を保有できていない空き家バンクが多く、保有しているのも「改修済みで高額」または「ぼろぼろで改修にお金がかかりすぎる」物件ばかりなんです。

    鈴木 : 先ほど話した通り、空き家の改修・再生には通常1,500万円ほどかかります。それを出せる人も、それだけのお金を出してまで空き家にこだわりたい人もなかなかいない。だから空き家問題の解決は難しいんです。

    また、空き家は状態や立地次第では数十万円で購入することもできますが、「買ったはいいけど、結局どうにもできない」なんてことも多いです。現状の空き家バンクは「ただ売るだけ、貸すだけ」のところが多く、実際に改修するまでにどれだけお金がかかるのか、またどこで何をすればいいのかまで教えてくれません。

    実際、僕たちが三条に保有している物件のひとつは、東京の方が「安かったから買ってみた」はいいものの何も手がつけられず、結局そのままの状態で僕たちの手に渡ったものです。

    三条大菊町の町家

    空き家バンク京都の強みと課題。そしてこれから

    鈴木 : このような問題を解決したい。そのために僕たちは現在、「空き家バンク京都」という名前とは違った事業ばかりを先行させています。でもこれは必要なステップなんです。

    自分たちで工務店のようなことからやってみて、その中で信頼できる大工さんや設計士さん、水道屋さん、電気屋さんなどと繋がりを持つ。さらに自分たちで空き家をさまざまな形に活用して、実践例とノウハウを蓄積する。その中で、いかに費用を抑えて改修・再生するかにこだわる。

    だから僕たちは、通常よりもかなり安く空き家の改修・再生ができますし、そのノウハウを提供することもできます。さらには店舗など事業をやりたい人へのサポートまでできます。

    現状は「空き家バンク京都」の名前に相応しいサービスはあまりできていないのが事実ですが、これからが本当の意味で「空き家バンク京都」になっていくステップなのかな、と思っています。

    水道屋さんと大工さん

    水道屋さんと大工さん

    僕たちが大事にしている想い

    ― 鈴木さんが空き家・京町屋にかける想い、伝わってきます。そんな空き家バンク京都が大事にしていることはなんでしょうか?

    鈴木 : 僕たちは、人の “想い” を大事にしています。空き家となってしまった物件には、家族の想いが残されています。「家族との思い出が詰まった家だから」とか「おばあちゃんの仏壇があの家には残っているから」といった理由で動かせないままになっている物件も多いんです。そんな大家さんの想いを繋ぎ止め、次世代に残していく仕事が僕はしたい。

    ちょっと余談なんですが、先日家族で作っているグループLINEに母からメッセージがありまして、「一輝が昔使っていた勉強机があるんだけど、誰か使わないかい」って言うんです。僕からしたら「そんなのもう要らないでしょ」と思うような机なんですが、母からしたらやはり大事な思い出が詰まったものなんですよね。このように、どの家にもそこに住んだ人たちの思い出がたくさん詰まっているはずなんです。

    鈴木 : だから僕たちは空き家を改修・再生するとき、必ずどこかしら元の家の要素を残します。やはり家を直せば、全体の姿かたちは変わってしまうかも知れない。でも、どこかに必ずその家の呼吸が生きていて、その家が紡いできた歴史が、思い出が、次の世代へと引き継がれる。そんな想いを持って、僕たちは空き家の再生にあたっています。

    シェアハウス伏見稲荷に昔のまま残された床の間

    シェアハウス伏見稲荷に昔のまま残された床の間

    鈴木 : そして、そんな僕らの想い・考えと同じ方向性を持った人と関わっていきたいと思っています。例えば、僕らのシェアハウスに住んでくださっている方々もそうです。シェアハウスって、おそらく一生そこに住むつもりで入居される方は少ないと思います。だけど、一時的にでも関わる以上、この場所がその人にとってなにか価値のある場所、思い出の残る場所になってほしいし、ステップアップの場所になってくれたらな、と思っています。

    その中でもし「古民家でカフェをやってみたい」とか「居酒屋をオープンしたい」とか、「フリーランス専用のシェアハウスをやりたい」など僕たちと重なる想いを持った人がいたら、ぜひ一緒に仕事をしたいと思っています。実際、いまインタビューや記事を書いてくださっている充紀さんもそうですし、うちで作業スタッフとして働いてくれている入居者さんもいるんです。

    また、先ほど紹介した三条の物件は「DIYでギャラリーを作りたい」という想いを持った京都工芸繊維大学の学生さんが主体となって、一緒に再生を進めています。

     

    京都芸術大学の学生さんたち

    京都芸術大学の学生さんたち

    京都芸術大学の学生さんたち

    鈴木 : 人の “想い” を大事にして、直すべきものは直し、残すべきものは残して次世代へと繋ぎたい。空き家バンク京都はもともと、「百代家」という屋号でスタートしました。「百代」は昔の言葉で「一生」を意味しています。百代って途方もない期間ですが、まさに僕は自分たちが携わった京町屋、作ったお宿やお店たちが百代続くようにと願って日々仕事に取り組んでいます。

    だから僕たちがオープンした、サポートしたお宿やお店は意地でも潰したくない。そのために、徹底的に初期費用とランニングコストを抑える。京町屋ならそれができるし、僕たちならそれができる。

    京都の歴史と文化、そして住んできた方々の “想い” が詰まった京町屋を、一軒でも多く、より良い形で次世代に残していきたい。そう願っています。

    (取材・文 : 「空き家バンク京都」アンバサダー・ライター 充紀)

    この記事書いた人

    充紀

    職業フリーライター
    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

     

    イベント情報

    空き家バンク京都では、私たちの強みである人と人との繋がりを生かして、子ども食堂の運営を行っています。

    2022年7月に空き家バンク京都事務所のスペースで、第一回子ども食堂を開催しました。

    これまで月1回の開催をしてきましたが、子ども達を輪にした地域社会の交流をより深くしたいと考えています。

    そこで空き家バンク京都では、九条駅から徒歩3分の場所に『子どもCAFE』をオープンします!

    空き家バンク京都子ども食堂 公式サイト
    (今後の開催情報や過去のイベントの様子がご覧になれます。)

    子どもCAFEとは?

    子どもCAFEでは、カフェ営業とバー営業を行います。

    また、子どもCAFEで提供するすべての食材は、空き屋バンク京都がこれまで関わった個人・団体・企業さまからいただいた支援でまかないます。

    カフェ営業

    日中は、子ども達に無料でご飯などを提供する場所として活動する予定です。

    ほとんどお休みせず営業するので、子どもを通じて地域のみなさまが気軽に利用できるカフェになることを目指しています!

    日替わりで、カレーなどの温かいごはんを用意してお待ちしています♪

    バー営業

    夕方からは、地域の方々や観光客が利用できるカフェ&バーとして営業!京都の日本酒を中心に、簡単なおつまみをご提供します。

    お酒や料理、そしてお店の雰囲気を楽しむ居酒屋やバーとは違い、お酒を通して地域住民や観光客が会話できる環境づくりに取り組む予定です。

    『子どもCAFE』は持続的な営業をするための取り組み

    子どもCAFEでは、食材だけでなく調理器具や食器などあらゆる物資を、個人・団体・企業さまから支援していただいています。

    子ども達の居場所を作るには、持続的に営業することが重要ですが、支援物資だけでは子どもCAFEの営業を持続させることは難しいです。

    そこで空き家バンク京都では、子どもCAFEのキッチンで作ったお菓子をEC販売します!子どもCAFEは郵便局の隣に立地しているため、手作りお菓子をすぐに全国へ送ることが可能です。

    そして、すべての売り上げを子どもCAFEの運営に利用します。

    さらに、手作りお菓子は、子どもCAFEで使い切れなかった食材も使用するので、フードロスへの貢献も実現します。

    子どもCAFEへの想いとは?

    子どもCAFEを運営する、店長三田村さんと空き家バンク京都代表の鈴木さんにインタビューしました!お2人の子どもCAFEへの想いとは?

    店長 三田村さんの想い

    子ども食堂さんに関わらせていただいてから、約半年になります。

    子ども食堂を手伝いながら、たくさんの方とお話しして、子ども食堂の必要性を強く感じました。

    この度、子どもCAFEの店長というかたちで実現する事になり、これまで以上にたくさんの方にご利用頂けるよう努めていきます。

    ぜひお気軽にお立ち寄りください!

    空き家バンク京都代表 鈴木さんの想い

    子ども食堂を知らない方や、地域の人が気軽に来てもらえるような場所にしたいと考えています。

    また、子ども食堂を身近に感じていただき、物資が集まる仕組みを作ることで、うまく支援物資を提供できる環境にしたいです。

    毎日営業することで、物資がもらえる場所として多くの方々に認知してもらいたいですね!

    子どもCAFE 店舗情報

    営業時間 子どもCAFE 9:00~17:00/Bar 17:00~24:00
    定休日 年中無休
    住所 京都府京都市南区東九条中御霊町43番地2 空き家バンク京都|子ども食堂CAFE

    • 耐震診断とは何か?
    • お家の耐震性が知りたい!
    • 耐震診断は無料でできるの?

    お家の耐震性を把握しておくことはとても重要です。耐震性が低いまま放置しておくと、大きな地震が来たときに耐えられず、倒壊してしまう可能性があります。特に1981年以前に建築されたお家は要注意です。

    鈴木
    鈴木

    空き家バンク京都では信頼できる一級建築士耐震診断士をご紹介できます。


    この記事では耐震診断の必要性無料耐震診断の要件について解説しています。

    耐震診断とは旧耐震基準で設計された既存の建築物が現行の新耐震基準の耐震性に適合しているかを確認することです。京町家や1981年5月31日以前に建築された建築物は無料で耐震診断できる可能性があります。

    耐震診断とは

    耐震診断とは?

    耐震診断とは旧耐震基準で設計された既存の建築物が現行の新耐震基準の耐震性に適合しているかを確認することをいいます。

    建物の耐震基準は1950年に施行された建築基準法によって定められています。建築基準法はこれまで大きな地震の被害を受けるたびに見直されてきました。

    中でも1番大きな改正が、1981年(昭和56年)の新耐震基準が改正された時です。これは1978年宮城県沖地震の被害を受けての改正でした。

    それまでの耐震基準が見直され、1981年(昭和56年)6月に新耐震基準へと改正されました。

    建築基準法の変遷

    耐震診断は義務?必要?

    2013年に耐震改修促進法が改正されて以降、大規模建築物の耐震診断は義務付けられました。

    大規模建築物とは?
    以下①、②の条件を満たす建築物
    ①階数3及び床面積の合計5,000㎡以上の病院、店舗、旅館等の不特定かつ多数の者が利用する建築物等であること
    ②旧耐震基準により新築した建築物(新耐震基準により増築等の工事を行い、検査済証の交付を受けたものを除く。)であること

    大規模建築物以外は耐震診断の実施は義務付けられていませんが、1981年5月31日以前に建築された建築物は耐震診断をする必要があります。
    なぜなら1981年以前の建物は震度6強の地震が来た場合、全壊もしくは倒壊する可能性が高いからです。
    建築時に耐震基準を満たしていても、雨漏りや白蟻の被害、劣化により耐震性能が低下している可能性もあります。

    耐震診断の方法

    耐震診断の方法は建物が「木造」「非木造」(鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造)で異なります。

    ここでは木造の耐震診断について解説します。木造の耐震診断には以下の3種類があります。

    1. 誰でもできる我が家の耐震診断
    2. 一般診断法
    3. 精密診断法

    1、誰でもできる我が家の耐震診断

    平家または2階建の木造住宅が対象。問診内容に沿って自ら耐震診断を行うことができます。

    例えば、

    • 建てたのはいつ頃ですか?
    • 今までに大きな災害に見舞われたことはありますか?
    • 増築について

    などなど。

    問診結果は以下の3段階で判定されます。

    • ひとまず安心ですが、念のため専門家に診てもらいましょう
    • 専門家に診てもらいましょう
    • 心配ですので、早めに専門家に診てもらいましょう

    専門家に診てもらう必要がある場合は、耐震診断士へ依頼しましょう。

    問診は以下のURLよりご自身で行うことができます。

    国土交通省住宅局が監修する問診内容

    2、一般診断法

    一般診断は図面を用いて専門家が目視により診断します。壁や天井を剥がすような破壊はしません。

    3、精密診断法

    伝統工法で建てられた木造建物(京町家)の耐震診断などに用いる高度な診断方法。必要に応じて壁や天井を剥がし、内部構造まで確認します。

    耐震診断の流れ

    予備調査(設計図の有無や建物の構造など、情報収集を行う)
    現地調査(専門家が実際に現地で調査を行う)

    京都では専門家の耐震診断を無料で受けれる可能性があります

    耐震診断は無料で受けれる可能性がある

    通常耐震診断は費用がかかりますが、要件に当てはまれば無料で専門家の耐震診断を受けることができます。費用の目安は延べ床面積が120平米ほどの木造住宅で、約40~50万円ほど。(日本耐震診断協会

    無料耐震診断の要件

    無料耐震診断の要件は派遣対象者(診断したい方)補助対象建築物(診断したい物件)の両方を満たす必要があります。

    • 派遣対象者(診断したい人)
    • 補助対象建築物(診断したい物件)

    派遣対象者の要件(診断したい人)

    派遣対象者(耐震診断をしたい人)は以下2つの場合が該当します。

    • 建築物の所有者(予定者含む)
    • 建築物の居住者(予定者含む)

    申請者が建築物の居住者の場合、関係者全員に同意を得る必要があります。

    同意が必要な関係者とは、

    • 申請者が居住者の場合・・・所有者の同意
    • 対象建築物が長屋の場合・・・他の住戸の所有者及び居住者の同意
    • 対象建築物が借家の場合・・・借家人の同意

    補助対象建築物の要件(診断したい物件)

    補助対象建築物(耐震診断したい物件)の要件は、京都市内の木造住宅または京町家。 ※居住部分の床面積が延べ面積の2分の1以上の併用住宅を含む。
    木造住宅と京町家では細い要件が異なります。

    ○木造住宅の場合
    ・木造の一戸建て住宅、長屋及び共同住宅
    ・1981年(昭和56年)5月31日以前の建物
    ・地上3階建以下、延べ面積が500平米以下の在来工法または枠組壁工法による住宅

    ○京町家の場合
    ・木造の一戸建て住宅、長屋及び共同住宅
    ・昭和25年11月22日以前に着工された住宅
    ・地上2階建以下、延べ面積が500平米以下の伝統工法による住宅

    無料耐震診断の調査時間は?

    木造住宅で約2~3時間、京町家で1日

    無料耐震診断の内容

    耐震診断では「目視確認」「聞き取り調査」の2つを行います。

    • 目視確認
    • 聞き取り調査

    内観と外観、屋根裏、床下、住宅内すべての部屋の確認・写真撮影

    1、木造住宅
    診断結果、補強計画案、工事費の概算見積もり、耐震改修に向けたアドバイスや情報提供

    2、京町家
    耐震改修に向けたアドバイスや情報提供

    3、京町家の基本計画作成
    京町家の場合、将来的な耐震改修の参考となる基本計画を耐震診断士が作成。(自己負担2万)

    具体的な診断内容は以下のとおり。

    • ひび割れ
    • 建物の傾き
    • ドアの開け閉めの不具合
    • 壁やベランダの状況
    • コンクリートの厚さ
    • 柱や梁の太さ、大きさ、長さが設計図通りか

    調査から2ヶ月後に、耐震診断結果報告書を持参します。

    1981年5月31日以前の建築物なら耐震診断を受けよう!

    京町家や1981年5月31日以前に建築された建築物は、耐震診断を受けましょう。
    震度6強の地震が来た場合、全壊もしくは倒壊する可能性が高いです。
    建築時に耐震基準を満たしていても、雨漏りや白蟻の被害、劣化により耐震性能が低下している可能性もあります。

    空き家バンク京都事務所にて7月31日、初めての子ども食堂を開催しました。

    猛暑にもかかわらず、子ども達を含め約50名もの方にお越しいただきました。イベント開催に合わせて、会場横でフリーマーケットもあり、子ども達が楽しむ姿が見られ、大盛況となりました。

    コロナ禍に配慮して、お弁当のご提供とし、暑さの対策をしながら室外で交流しました。

    空き家バンク京都の子ども食堂について

    空き家バンク京都は、子ども食堂を毎月開いていく予定です。今回は初開催でしたが、このように多くの企業・個人様、ボランティアの方々がご協力してくださいました。

    空き家バンク京都が子ども食堂を開催する理由

    子ども食堂は、地域住民の方々が家庭での共食が難しい子ども達に対し、共食の機会を提供する取り組みで、全国に広がっています。

    子供食堂と連携した地域における食育の推進(農林水産省)

    この取り組みを私たち空き家バンク京都でもできないかと、6月25日に子ども食堂の情報交換会に参加させていただき、準備を進めてきました。

    また、多くの企業様より食料品などを提供していただき、7月31日に開催する見通しが立ちました。

    コロナ禍のため、参加の人数制限をさせていただきましたが、それぞれの方々ができるかたちで参加やご協力をしていただき、大変感謝しております。

    子ども食堂は、地域住民の方々や自治体、NPOなどが主体となってボランティアでやる事例が多く見られます。私たちの活動拠点である京都でも多くのボランティアさんが活動されているようです。

    子どもの居場所づくり「支援の輪」サポート事業

    企業としての参加は、食料品の協力や協賛などが多いかと思います。しかし、私たち空き家バンク京都が持つ人と人とのつながりを生かして活動したいと考え、協力や協賛だけではなく、主催側として立ち上げを行いました。

    企業の役割として、利益を追求するだけでなく、地域社会への貢献が今後さらに重要になってくると考えています。会社が持つ場や人のつながりを活用し、さらにつながりをつくっていくことが重要だと考えました。

    そういった社会的・人的資産を高めていくことが今後、必要になってくることだと思います。子ども食堂をやることによって、子ども達への貢献だけでなく、子ども達を輪にした人と人とのつながりが生まれ、より地域社会の交流が生まれていくことを目指していきたいです。

    結果として今持つ人脈やSNSを活用し、また直接のお声掛けをさせていただき、開催の運びとなったことに大変感謝致します。

    代表鈴木の想い

    「若者たちが必要でない苦難をなくすために

    我々大人たちが出来ることをやる。

    それは我々大人の役目であり当然のことなのだと思う。

    そしてその子ども若者達が大人となり次の役回りを担ってくれる。

    全ての物事にはかならず経緯があり

    いまの自分がある経緯を決して忘れてはいけないと思い出来ることをやるだけ」

    若い世代の人たち、子ども達がしなくてもいい苦難を減らすために、私たち大人ができることは何だろう…。子ども達が次の世代になっていくために、大人ができることとは?

    そんなことを考え続け、子ども食堂というかたちで応援したいと思いました。今後もさまざまな方々と連携、協力しながら毎月開催していきたいと考えています。

    今後も、子ども食堂が持つさまざまな可能性を生かし、よりよい地域社会の貢献につなげていきたいと思っています。子ども達が笑える場をともにつくっていきましょう。

     

    • 空き家はそのまま放置するとどうなる?
    • リスクやデメリット、法的な罰則はあるのか?

    以上のことでお悩みではありませんか?

    実は空き家を放置していることで罰則金の支払いを命じられたり、解体・撤去費用が請求されるといった事例もあります。
    その理由は、2015年に空き家対策特別措置法が施工されたからです。

    空き家バンク京都代表

    鈴木 一輝

    1988年生まれ。京都産業大学卒。宅地建物取引士。1級空き家管理士。これまで100件以上の空き家に関するご相談をお受けしてきました。倒壊寸前の空き家でもお家のなかにある 「想い」 を大事にして、直すべきものは直し、残すべきものは残し、新たな活用方法を見出してきました。

    今回は以下の内容について解説していきます。

    ○記事内容

    • 空き家を放置する6つのリスクやデメリット
    • 空き家を放置すると固定資産税は6倍になる!?
    • 空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

    結論から言うと、空き家を放置していると以下6つのリスクがあります。

    1. 建物の倒壊
    2. 放火
    3. 空き巣
    4. 景観の悪化
    5. 不法投棄
    6. 資産価値の減少

    また、空き家対策特別措置法により特定空き家に認定されると固定資産税は6倍になります。
    さらには罰則金50万円を支払わなければならなケースもあるので絶対に放置してはいけません。

    空き家の管理方法についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
    空き家の管理は必要?具体的な管理方法や放置すると起こり得る問題について一級空き家管理士が解説
    自分で管理をする方法や管理業者に任せる方法、年間にかかる維持費や管理をする頻度などについて解説しています。

    空き家を放置する6つのリスクやデメリット

    空き家を放置する6つのリスクやデメリット
    空き家を放置していると様々なリスクやデメリットがあります。

    1. 建物の倒壊
    2. 放火
    3. 空き巣
    4. 不法投棄
    5. 景観の悪化
    6. 資産価値の減少

    それぞれ詳しく解説していきます。

    1、建物の倒壊

    人の住まなくなった空き家は建物の劣化がとても激しく、修繕箇所を放っておくとやがては倒壊してしまう危険性があります。
    建物が倒壊してしまうよくある原因の1つが雨漏りです。
    雨漏りに気付かず長年放置していると、柱や床が腐ってシロアリが発生します。

    空き家を放置する6つのリスクやデメリット

    雨漏りが原因で倒壊しかけの空き家

    建物が倒壊して近隣住宅まで被害が及んだ場合の修繕費は空き家の所有者が負担しなければなりません。

    2、放火

    枯れ草やゴミを放置したままにしていると放火の被害に遭う可能性もあります。
    放火は空き家の出火原因の中でも最も多く、他にもタバコのポイ捨てから出火する場合もあります。

    3、空き巣

    残置物が盗まれるだけではなく、ものを破壊したり、落書きされたりといった被害もありました。
    家の鍵を施錠することは当然ですが、施錠していても窓ガラスが割れていたり、門扉の鍵が開いていたりした場合でも狙われやすいです。

    4、不法投棄

    初めは小さなゴミのポイ捨てでも放っておくと冷蔵庫や電子レンジといった大型家電の不法投棄被害に遭う場合もあります。

    5、景観の悪化

    建物の修繕を怠ったり不法投棄を放置していると、その空き家だけではなく街全体としての景観が悪化していきます。

    6、資産価値の減少

    空き家を修繕せず放置しておくとやがては資産価値の減少へと繋がります。
    どんな立派なお家でも放置しすぎると解体するしかなくなります。
    まだ価値あるうちに賃貸や売却など何らかの活用方法を見出しましょう。

    空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

    空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?
    空き家の活用や処分を促進し空き家問題を解決するため、2015年5月に空き家対策特別措置法が施行されました。
    これにより空き家を放置すると罰則金の支払いや行政代執行により、所有者に代わって自治体が空き家の解体・処分を行うことができるようになりました。
    しかし実際空き家になってすぐに罰則金の支払い義務が発生したり、解体されるわけではありません。
    行政代執行が行われるまでは以下の6つの段階があります。

    1. 調査
    2. 特定空き家に認定
    3. 助言・指導
    4. 勧告
    5. 命令
    6. 行政代執行

    空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

    順番に解説していきます。

    1、調査

    空き家の状態で長らく放置されているとまずは自治体が空き家への立ち入り調査や空き家の所有者を把握するために固定資産税の情報などが調査されます。

    2、特定空き家に認定

    調査の結果、以下の状態と判断された場合は特定空き家へと認定されます。

    1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
    2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
    3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
    4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

    これらの具体的な判断基準については国土交通省のガイドラインへ明記されています。
    1、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
    空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

    2、著しく衛生上有害となるおそれのある状態
    空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

    3、適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
    空き家を3年間放置すると罰則金100万円!?

    4、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
    他には、立木が道路にはみ出て歩行者の通行を妨げている場合やシロアリが発生している場合、不特定の多数の者が容易に侵入できる状態で放置されている、などが挙げられます。

    3、助言・指導

    特定空き家に認定されると自治体は所有者へ対して助言・指導を行います。

    4、勧告

    指導後改善が見られなかった場合、自治体は改善するよう勧告を出します。
    勧告されてしまうと、これまでのように土地の固定資産税と都市計画税が優遇されなくなり、従来の何倍もの税金を支払う必要があります。
    具体的には固定資産税が6倍、都市計画税が3倍になります。

    • 土地の固定資産税:6倍
    • 土地の都市計画税:3倍

    5、命令

    勧告しても改善されない場合は管理するよう「命令」されます。
    これまでの「助言・指導」「勧告」とは異なり、命令に背くと50万円以下の罰金が科されます。

    6、行政代執行

    さらに命令を受けても改善が見られない場合は行政代執行により、空き家が解体されます。
    この時にかかった解体・撤去費用は空き家の所有者へと請求されます。
    あくまで目安ですが、30坪の木造住宅だと90〜150万円ほどの解体費用がかかります。

    まとめ|空き家を放置するとどうなる?

    まとめ|空き家を放置するとどうなる?
    空き家を放置し続けて特定空き家へ認定されると、固定資産税が6倍になり、改善するよう自治体より助言・指導、勧告、命令されます。
    命令に背くと50万円以下の罰則金を支払わなければならず、それでも改善が見られない場合は行政代執行により空き家が解体されてしまいます。
    特定空き家に認定されないとしても不法投棄や空き巣、放火など犯罪の温床にもなりますし、倒壊の危険性もあります。

    特定空き家に認定されたとしてもきちんと改善すれば最悪のケースは免れます。

    • 空き家問題を抱えて困っている
    • 長年放置していてどう手をつけたら良いかわからない

    どんな状態でもお引き受けいたしますので、まずは1度、空き家バンク京都へご相談ください。

    お問い合わせ 

    やりたいことはあるけど資金がない……。
    そんなあなたには、クラウドファンディングをオススメいたします。

    クラウドファンディングを利用すれば、自己資金が足りなくてもやりたいことを実現できるかも知れません。

    空き家バンク京都は国内最大のクラウドファンディングサイト『CAMPFIRE』とパートナー契約を結んでいます。プロジェクトの起案から記事の作成、魅力的なリターン品の選び方なども全部まとめてサポートできます。

    それだけではなりません。店舗などに関するお見積もり、設計、改装工事まで弊社が一貫して行えます。

    弊社と一緒に、クラウドファンディングであなたの夢を実現してみませんか?

     

    クラウドファンディングとは?

    クラウドファンディング(crowdfunding)とは、

    群衆(crowd)+資金調達(funding)

    からなる造語です。インターネットを通して自分の夢や活動、実現したい事業案を発信し、その想いや商品/サービスの魅力に共感・賛同してくださった人が、支援金という形でプロジェクトを応援する仕組みとなっています。

    初期投資に必要な資金や、銀行から融資を受けることが難しい場合でも、共感してもらうことで資金を調達することができるという点が新しい資金調達の手段です。

    現在では途上国支援や商品開発、自伝本の制作など幅広いプロジェクトにて利用されています。

     
    クラウドファンディングとは?

    出典:CAMPFIRE

     

    クラウドファンディングをするメリット

    クラウドファンディングのメリット クラウドファンディングをするには3つのメリットがあります。
    1. 1.まとまった資金の獲得
    2. 2.ファンの獲得
    3. 3.メディアへの露出、認知度アップ
     

    1.まとまった資金の調達

    支援者一人あたりの支援金は小さくても、数百人、数千人、うまくいけば数万人の支援者を募ることができるので、集まる金額としてはとても大きくなります。

    銀行で融資できる金額と比べると圧倒的に高額です。

    2.メディアへの露出・認知度アップ

    クラウドファンディングサイトへのアクセス数が多いので、プロジェクトを公開するだけで多くの人に知ってもらうことができます。

    プロジェクトの公開後はSNSで拡散されるのでそこからさらに拡散されます。場合によってはメディアに取り上げてもらえる可能性もあります。

    3.ファンの獲得

    メディアへの露出と同時にファンを集めることもできます。クラウドファンディングはその商品やサービスへの想いや背景が重視されるのでファンも集めやすいです。ファンの獲得やブランディングは一般的にはコストや時間がかかるものですが、クラウドファンディングを活用することで、コストや時間を大幅に削減することができます。

    クラウドファンディングをするデメリット

    クラウドファンディングをするデメリット

    一方でクラウドファンディングを利用するデメリットもあります。

    1. 1.達成できない可能性
    2. 2.時間と手間がかかる
     

    1.資金調達ができない可能性も

    全てのプロジェクトが達成できるわけではありません。商品やサービスに対する想いや返礼品の魅力が上手く伝わらなければ達成できない可能性もあります。

    2.時間と手間がかかる

    クラウドファンディングを利用するためには、プロジェクトの起案や必要経費の見積もり、プロジェクトページの作成や申請、返礼品の設定や発送など多くの時間と手間がかかります。

    空き家バンク京都は「CAMPFIRE」認定パートナー

    空き家バンク京都は「CAMPFIRE」認定パートナー

    空き家バンク京都は国内最大のクラウドファンディングCAMPFIREとパートナー契約を結んでいます。

    これまでクラウドファンディングのサポートをさせていただいた経験があるので、プロジェクトの起案、必要経費の見積もり、プロジェクトの作成〜達成まで一貫してサポートすることができます。

    特にプロジェクトを作成する上で商品やサービスの紹介文はとても重要です。弊社のプロのライターにより、あなたの想いや魅力をわかりやすく誤解なく伝えることができます。

    クラウドファンディングの流れ

    クラウドファンディングの流れ

    ここで「CAMPFIRE」を利用したクラウドファンディングの流れについて解説します。

    1. 1. 打ち合わせ
    2. 2. インタビュー・撮影
    3. 3. プロジェクトページの作成
    4. 4. プロジェクトページの申請、審査
    5. 5. プロジェクトの公開
    6. 6. プロジェクトの終了
    7. 7. 支援金の受け取り・返礼品の発送

    打ち合わせ〜支援金の受け取りまで早くても4.5ヶ月ほどかかります。

    クラウドファンディングの流れはこちらになります。

    クラウドファンディングの流れ  

    実際にクラウドファンディングを活用した例

    実際にクラウドファンディングを活用した例

    例えば今回はカフェを開きたいという例を元に解説していきます。

    プロジェクト内容、物件の大きさ、立地、コンセプトなど、ご相談内容により必要な費用や期間は大きく異なります。あくまでもご参考程度にとどめてください。

    実際にクラウドファンディングを活用すると以下のような流れになります。

    1. 1.いつ開きたいか、どんなお店にしたいか(コンセプトや席数など)
    2. 2. 内見、図面作成、改装費用の見積もりを出す
    3. 3. 開業に必要な資金を算出
    4. 4. クラウファンディングを始める
    5. 5. プロジェクトの達成
    6. 6. 工事着工
    7. 7. 竣工
    8. 8. 飲食店営業許可取得(サポートします)
    9. 9. オープン

    それでは詳しく見ていきます。

    1、相談(0.5ヶ月)1/1~

    まずはお会いしてご用件とご要望を伺います。

    • 何をしたいか
    • いつくらいにオープンしたい?
    • どんなお店にする?などなど

    物件が決まっていない方、物件は決まってはいるけど契約前のお客様に関しましては、物件探しから契約締結までの注意点やアドバイス、仲介業者様との交渉も併せて行います。

    相談

    相談

    2、改装費用の見積もり(1ヶ月)1/15~

    物件の内見、図面作成、プランニング、改装費用の見積もりを出します。

    物件の内見

    物件の内見

    図面作成、プランニング

    図面作成、プランニング

    改装費用の見積もり

    改装費用の見積もり

    3、開業に必要な資金を算出(0.5ヶ月)2/15~

    開業するために必要な資金を算出します。

    カフェの開業資金

    カフェの開業資金

    4、希望金額の設定、プロジェクト作成(1ヶ月)3/1~

    自己資金や補助金の活用、銀行からの融資を受けるかによって希望金額を設定します。

    例えば自己資金50万円、補助金100万円、融資100万円とした場合、クラウドファンディングで集める金額は1080万円となります。

    補助金には事業再構築補助金などがあります。

    5、クラファン開始〜終了4/1~6/1

    弊社HPやTwitterでも事前に告知します。

    6、支援金を受け取る7/31

    プロジェクト終了月の翌月末に入金

    7、工事着工〜竣工8/1~9/15

    8、準備9/15~

    9、オープン、返礼品の発送10/1

    今回は最初にご相談に来られた日が1月1日、オープン日が10月1日という想定でした。

    相談からオープンまで10ヶ月ほどかかりましたが、自己資金の状況によってはクラウドファンディング実施中に着工することもありますので、今回の想定よりも早くオープンできる場合もあります。

    お気軽にご相談ください

    • やりたいことはあるけど資金がない。
    • なかなか良い物件に巡り会えない。
    • 一人では達成できそうにない。

    などなど、プラン自体が明確に定まっていない状態でも構いませんので、ぜひ一度弊社へご相談ください。

    お問い合わせはこちら

    「たまゆらん」から「TAMAYURAN」へ ― 「看板猫のいるカフェ」として2012年のオープン以来たくさんの人たちに愛されてきた「おうちごはんcafe たまゆらん」。約1年の休業をはさんで、まもなく移転再オープンする。場所は平安神宮からほど近い、東山三条。新たな店舗は防空壕の残る築130年の京町家だ。

    たまゆらんさんについては、昨年10月にもインタビューさせていただいた。前回の記事では、左京区浄土寺で営業していた前店舗のことや、お店を閉めることになってしまった経緯、そして、そこから移転・再オープンに至るまでのストーリーを詳しく伺っている。

    この記事の公開後にスタートした、新店オープンを目指したクラウドファンディングはSNSで大きな反響を呼び、まいどなニュースYahoo!ニュースにも取り上げられた。最終的に、支援者の数はなんと1,000人を上回り、支援金額の合計は約1,027万円と最終目標金額を達成することができた。店主・大村さんは新店舗の改装やクラウドファンディングのリターン品準備に奔走している。

    そんな、たくさんの人たちの想いを引き継いで、猫たちとともに新たなるスタートを切ろうとしている「おうちごはんcafe たまゆらん」改め「サヴォンズ ベイク ファクトリー TAMAYURAN」の店主・大村さんに、クラウドファンディングを終えた感想や新店舗のことなどを伺った。

    ◎ プロフィール

    ■ 大村 明江(おおむら あきえ)
    京都生まれ大阪育ち。10代のアルバイトの頃から数々の飲食業に従事し、炭火焼肉牛角ではエリアを受け持つスーパーバイザーを担当。それらの経験を経たのち、2012年7月には『おうちごはんcafe たまゆらん』をオープン。そして2021年10月、たまゆらんの移転に伴うクラウドファンディングを行い、1,000人以上の方からの支援を受けて目標金額であった1,000万円を達成した。(→ Twitter / Instagram

    取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina

    「トータルしてうちらしいクラウドファンディングができた」― およそ2ヶ月間にも渡る大村さんの挑戦

    「トータルしてうちらしいクラウドファンディングができたのではないかな」 ― 今回の挑戦を、大村さんはそう振り返る。クラウドファンディングは10月29日から12月22日までのおよそ2ヶ月間と、一般的なプロジェクトよりかなり長めの期間をとった挑戦であった。前回のインタビューのときから大村さんの挑戦を応援していたぼくにとって、2ヶ月間もの長いクラウドファンディング期間中、ほぼ毎日CAMPFIREの活動報告やTwitterを更新し続け、リターン品の追加も複数回行うなど、精力的に活動をしていた大村さんの姿がとても印象に残っている。

    そして、それ以上に印象的だったのが、“大村さんがこれまでに積み上げてきた信頼の大きさ” だ。寝る間を惜しんで活動し続ける大村さんの熱意に応えるように、常連のお客さまや保護猫活動を通じて出会った方たち、さらには今回のクラウドファンディングを通してたまゆらんのことを初めて知った人たちまでもがSNSを通じて大村さんにたくさんの応援の声を届けていた。SNSは連日賑わいを見せ、そのおかげもありこれだけの長期間のプロジェクトでも新規支援者ゼロの日は1日もなかったという。

    ▲ クラウドファンディング期間中、大村さんの元には数え切れないほど多くの応援メッセージが寄せられていた。

    特にクラウドファンディング終了間近になると、その熱量はさらに高まった。12月15日時点では550万円ほどだった支援金額も急激な伸びを見せ、最終日の終了時間目前に1,000万円の最終目標金額を達成した。大村さんも、「最後の1週間になると、私以上にお客さまたちが『絶対達成させる!!』って頑張ってくださって……。みなさまが支えてくださって、最後の数日間のことは本当に忘れられません」と語っている。最後の数日間の伸び方には、CAMPFIREの担当者さえも「奇跡的だ」とびっくりしていたそうだ。

    そんなクラウドファンディングの様子を見させていただいている中で、ぼくが感じた「大村さんが積み上げてきたものの大きさ」。そのことを今回のインタビューのなかで伝えてみると、「全部猫たちが私に授けてくれたんですよ。猫すごい。ほんとその一言です」と、多くは語らなかった大村さん。

    しかし、直接は口にしなくても、支援してくださった方たちにはCAMPFIREの活動報告を通してその心の内をこう書き残してくれている。

    “よく、人生を変える出会いがある、と言われます。

    私にとっての人生を変える出会い。

    それはサヴォンをはじめとした猫たちとの出会い、そして里親様たちとの出会い、お店を理解し支えてくださる皆様との出会いです。”

    CAMPFIRE 活動報告「ご縁の糸、支援くださる方の数」より

    また、大村さんは次のようにも記している。

    “今回の挑戦で改めてわかったこと。

    2012年にオープンしたお店で猫たちと一緒に1匹、また1匹、ときには兄妹猫で、と繋いできたご縁。

    そのご縁は猫たちがずっとのおうちに行ったことで終わったのではなく、そのままお店にもつながっており…

    小さな子達だった猫さんたちはずっとそのご縁の糸を紡ぎ続けてくれて、赤く細かった糸を強く太くちょっとやそっとじゃ切れないしめ縄のように素晴らしいものに紡いでいてくれた事。

    お店のオープン前から何もわからないまま里親様に繋いでいた猫たちとのご縁。

    それはそれはたくさんの子達を送り出しました。

    個人でよくこれだけの頭数を繋いでいたものだと今となってはびっくりします。

    お店を開いてからはとくに年間100匹以上の年もあり、どうやってこんな数になったんだ?!とびっくりするばかりです。

    それもこれも、看板猫として頑張ってくれていたうちの子たちの存在があり、縁あってうちに来てくれた子達がずっとのおうちとのご縁を見つけ、家族として迎え入れてくれた里親様たちがいらっしゃった。

    そして、お店に猫たちがいる事、猫たちを優先するお店の営業スタイルを受け入れ理解し支えてくださる皆様がいらしたからこそ…

    メモ程度のものしか残っていない状態から、ざっくり換算しただけでも800匹以上…

    その数字がいま、クラウドファンディング支援者様の数字に表れている気がしてなりません。”

    CAMPFIRE 活動報告「ご縁の糸、支援くださる方の数」より

    今回のクラウドファンディングは、大村さんが8年間の年月をかけて少しずつ積み上げてきたものが形になったもの。そんなことを実感するとともに、みんなで目標達成を本音で祝福できて、自分ごとのように喜べる。そんな、クラウドファンディングが本来あるべき姿を体現したような挑戦だったように思う。

    「お客さまたちに “やわらかい柵” を与えて貰えた」― クラウドファンディングを終えて

    クラウドファンディングを終えてみての感想を聞いてみると、「やることはたくさんあるけど、いまは少しほっとした」と大村さん。当時のプレッシャーについて、こう振り返る。

    「やっぱり、プレッシャーはすごかったですね。始める前は『大丈夫かな。もしひとりも支援してくれないとかだったらどうしよう』という不安がありました。本当はみんなに何とも思われてないってことが可視化されちゃうんじゃないかって……。でも実際にクラウドファンディングが始まっていろんな方々が応援、ご協力してくださり、支援金額がどんどん増えていくのをみていたら、今度は『この重みに応えられる器が自分にあるのか』って、また違うプレッシャーがすごかったです。」

    でも、“プレッシャー” は必ずしも悪いものではない。大村さんはこう続ける。

    「でも今回のクラウドファンディングを通して、お客さまたちに “柔らかい柵” を作って貰えたような感じがするんです。もともと、今回の移転・再オープンはお客さまたちの『リニューアルして欲しい』という声に応える形で決意したんです。それからはあれやこれやと忙しい日々を送ってきたわけなんですが、今回のクラウドファンディングを終えて少しほっとしたいま改めて考えてみると、心のどこか奥の方には『別にやらなくてもいいんじゃないかな。サヴォンちゃんももういないし……。いざとなれば、どこか働きに出たっていいじゃん。』という気持ちも、どっかにまだ残ってたと思うんです。

    でも『そうじゃないよね』って、『あなたのいるべき場所はここだよね』って、リピーターさんたちはもちろん、今回のクラウドファンディングでうちのことを初めて知ってくれた方も含めて、支援してくださった方たちみんなで “柵” を作ってくれたんだなって思うんです。それは『ここから出るな』というものじゃなくて、ぶつかっても痛くないような、『ここにいたらあなたは良くなるよ』というような、そういうベビーゲートみたいな暖かい柵を作って貰えたという安心感がいまあるんです。」

    そんな大村さんの気持ちは、クラウドファンディング終了翌日の活動報告のなかでも現れている。

    “1000人を超える方からの1000万を超えるご支援。私にとってもお店にとってもとてもとても大きな意味のある素晴らしいことです。1000万という表記金額ではなく、もっと大きく果てしなく温かい消えることのない1000万円。

    それは金額というだけではなく、皆様の気持ちとしてずっとずっとお店に残る大切なもの。

    新しく始まるTAMAYURANは大きな大きな温かい皆様の気持ちと共にオープンへと向かいます。

    プレッシャーは希望に変わり明日からのやるべき指標を照らします。

    皆様のご期待に応えられるよう、今後もこちらの活動報告でご報告させていただきながら、時には迷い、悩み、笑い、歌い、猫たちと共に邁進してまいります。(中略)

    皆様、本当に沢山のご支援、ありがとうございました。”

    CAMPFIRE 活動報告「最終ゴール達成!皆様、本当に沢山のご支援ありがとうございました!」より

    そんな、大村さんの大きな挑戦は昨年の12月22日で幕を閉じた。しかし、大村さん自身が「クラウドファンディングはゴールであってスタート」と語っている通り、本当の挑戦はむしろここからだ。

    「たくさんの人たちから、たくさんのものを引き継がせて貰ってできたお店なんです」― 改装工事と新しい店舗について

    改装工事は、新型コロナウイルスによる品薄や材料代の高騰などの影響を受けて予定より遅れはしたものの、1月中に完成することができた。取材当日も細かいDIYや防空壕のインテリアなど、まだ残っている部分を進めている最中ではあったものの、完成形にほぼ近づいている。

    ▲ 改装前の様子。改装前は柱は腐食し、倒壊のおそれもあるような状態だった。

    ▲ 改装後の様子。京町家らしさを残し、ダークブラウンとグレーを基調とするアンティークモダンな店舗に仕上がった。

    「一番大変だったのは、工事も終盤になっての防空壕の水漏れでしたね。もう掃除もやって、機材や食器も入れて、食材も入れていこうかって段階でしたから、あれはショックでしたね。その前にも水漏れ対策はしていただいてたんですが……。わかってはいましたけど、やっぱり京町家の改修は蓋を開けてみないとわからないことだらけなんです。

    最終的な改修代も、最初の概算見積もりより2倍近く、約700万円になりました。クラウドファンディングでは改修代を550万円としていましたが、結局のところご支援いただいたお金はリターン品の準備と改装代でほとんど全部といった具合になってしまいました。

    でも、700万円はかかってしまいましたけど、それだけのことしていただいてるんですよ。たとえば、収納が足りなかったぶん棚を追加して貰ったりもしましたし、細かい無理難題をかなり聞いていただけました。予算の問題もありますし、空き家バンク京都さんじゃなかったら私の要望に応えて貰えなかったと思うんです。トラブルがあったときも色々フォローしてくださいましたしね。」

    前回のインタビュー記事でも掲載した通り、新しい店舗となるのは築130年の京町家。大家さんが工務店に改修の見積もりに出した際は「諦めた方がいい」とまで言われた物件だ。そして、そんな歴史の重みを感じるこの店舗で引き継ぎ残していくのは、防空壕や京町家だけじゃない。

    「この時計と電気とテーブルの足は、西陣で町家猫カフェをやられていた京都西新キャットアパートメントコーヒーさんがお店を閉めることになってしまい、引き継がせていただいたものです。それにこの水屋箪笥は、お客様のCHOKOさんから『私は東京に出て残してきちゃったから、この子を使ってあげて』と譲り受けたものです。」

    繋がりのある方たちから譲り受けた時計、電気、水屋箪笥

    「うちは、いくつもの出会いや偶然が重なって、この歴史ある京町家を引き継がせていただいています。クラウドファンディングでみなさんがご支援してくださったおかげでお店の外見ができて、中身も中身で繋がりのある人たちからさまざまなものを引き継がせて貰ってできているんです。

    そんな新しいTAMAYURANを、これまで通り『猫達のご縁をつなぐ場所』として、そしてこれからは『人をつなぐ場所』や『歴史や人の想いを引き継ぎ守っていく場所』としても、いつまでも続けていきたいです。」

    ▲ 旧たまゆらん公式Twitter(現大村さん個人アカウント)、2022年1月17日の投稿。

    「続けていくこと、先に繋いでいくことが一番大事なことだと思う」― 大村さんの想いと今後の展望

    そんな、「繋げていくこと」や今後の展望に関して、大村さんは次のように語っている。

    「お客さまたちやクラウドファンディングでご支援くださった方たちのためにも、このお店をちゃんと続けていくことが一番大事なことだと思うんですよ。いまって、オープンしてもいつ来れるのかわからない世の中じゃないですか。『あれから5年経って、やっと京都まで行けるようになったけど、もうお店なくなっちゃってたよ』とかじゃなくて、10年後でも20年後でも、安心して来て頂けるような体制づくりをしていきます。

    以前のお店では、私が体調悪くなって手術してっていうこともありましたけど、これからはきちんと定期検診にも行くし身体もケアしながら長くお店続けるようにしようって思いますし、もっと長く続けられるように、後継者育てにも早いうちから取り組んでいくつもりです。

    それにお店のことだけじゃなくて、焼き菓子の通販ももっとお客さまのご要望に応えられるように人を増やして仕組みづくりもしていきたいですし、猫たちの保護や愛護の観点からもずっと携わっていけるようなお店であれるようにソフト面もハード面も、整えていく必要があると思うんです。

    通販で言えば、このお店は広くないですし、いずれは焼き菓子工房を別で用意したいと思ってるんです。従業員の雇用も生めますし、通販で受注できる数も増やせますし、1年後、2年後、3年後になるかはわからないですけど、それはぜひやりたいですね。

    猫のことも、自分たちがやるだけじゃなくて、ここをきっかけに『保護を始めたんだよ』とか『関心持ったんだよ』って人がひとりでも増えて、先に繋がって欲しいなと思いますし、そうできるようしていきたいなって思っています。

    ほかにも、このお店とは別に『保護猫のスペース』みたいなものがあってもいいと思うんです。『たまゆらんの毎日譲渡会』じゃないですけど、そこに来れば毎日譲渡会が行われているような場所があったらいいですよね。

    すぐに大きなことはできなくても、コツコツやっていけばできることはあると思いますし、自分のできることをやっていきたいです。」

    また、クラウドファンディングのなかで「実現したいこと」と挙げていた子ども食堂も、コロナの様子を見ながら始めていくつもりだと大村さんは話す。

    お腹いっぱい食べれたら、人は笑っていられると思うんです。そこだけでもなんとかしたいなと思っていて、お弁当をお渡しできるようにと考えてます。子どものお弁当ってどんなのがええんやろって思いながら、タコさんウインナーと、だし巻き卵とって笑

    それに、子どもたちにいろんなもの食べて欲しいなって思うんです。いまの若い子の中には、ほとんどユニクロしか着たことがなくて『ユニクロが好き』って言ってるような人も多いと思うんです。それって、ハイブランドも着たうえで『ユニクロはいいよ』って言うのとはぜんぜん違うじゃないですか。だから、せめて食べ物くらいはいろんなもの食べて欲しいし、そういうきっかけを持って欲しいと思うから……。

    『菜の花食べたことない!なにこれ苦い!』とかって、そんなお喋りができるような場所にしたいと思うんですよ。」

    「クラウドファンディングはゴールであってスタート」―TAMAYURANの第2章、まもなくスタート!!

    まもなく新たなスタートを迎える「おうちごはんcafe たまゆらん」改め「サヴォンズ ベイク ファクトリー TAMAYURAN」。メニューや営業時間も前の店舗とは変更され、新たな挑戦となる。

    わっぱ弁当。前店舗で人気だったハンバーグ、フライドチキン、芋ネギのほか、サラダ、選べる惣菜2種、キンパ(韓国のり巻き)が入る。スープ付き。

    前店舗でも人気だったカレープレート。サラダ、選べる惣菜2種付き

    一度は2022年1月22日に静かにオープンしたものの、新型コロナウイルスによるまん延防止措置が発令されたため、府の要請に協力する形で27日から臨時休業となった。気持ちよくお客様をお迎えできるのはもう少し足踏みの状態となっている。

    クラウドファンディングのゴールって、ゴールであってスタートじゃないですか。それでいまスタート地点に立たせて貰えたんだけど、情勢的にスタートし切れないといういまの現状は歯痒いですよね。ほんとに、お待たせしちゃって申し訳ないです。そしてまだお待たせしてしまうことが心苦しいです。

    でも、安心してずっとお付き合いできるお店でいたいなって思うんです。このコロナ禍はまだまだ長く続くだろうし、インフルエンザのリレンザやタミフルみたいな治療薬が出てくるまで油断できない状況のままかも知れません。

    私としては、猫の日・2月22日までにはまん延防止措置が解除されて、気持ちよくお客さまをお店で迎えていたいんですけど、無理して日付を優先するってしたら、お店にとってもよくないことになっちゃうと思うんです。もしまん延防止措置のなかオープンさせて、全国から支援してくださった方がうちに来るために京都に集まり、コロナで倒れてしまったりすることがあったりしたら、私はお店を続けられないと思うんです。いまはまだお互いに頑張れることを頑張っておいて、もう少し安心できるような状況になったときに笑って会えるほうが尊いことなのかなって思うんです。

    だから、いまの時点では3月7日から再オープン予定としていますが、状況によってはさらにずれるかも知れません。長くお待たせしてしまって本当に心苦しいのですが、必ずスタートさせます。もう少しだけ待っていてください。そのぶん私も、開店前にもっと良いお店にするまでの期間をいただいたと思ってできることをやったり、リターン品の塩バタークッキーの缶を既製品にシールではなくてオリジナル缶にバージョンアップしたり、待たせてしまったぶんできることをしていきます。」

    もうまん延防止措置明けの再オープン準備はできているが、実際にぼくたちがお店に行って大村さんや看板猫たちに会えるのはコロナの感染状況次第。あともう少しだけ辛抱することになりそうだ。具体的なことはTAMAYURANの新Twitterアカウントにてアナウンスされるので、そちらをチェックして欲しい。

    明治の時代から大正、昭和、平成、令和へと130年の時を超えて受け継がれてきた京町家を舞台に、猫たちとともに歩むTAMAYURANの第2章スタートが楽しみだ。

    取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina

    この記事書いた人

    充紀

    職業フリーライター
    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

    事業再構築補助金とは?

    コロナによって売り上げが減少した中小企業や個人事業主で、新しい分野の展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編などに取り組む方々を支援する補助金です。

    事業再構築補助金の概要

    空き家バンク京都では事業再構築補助金申請のサポートもしております。

    事業再構築補助金の申請は必要書類がとても多く、個人で全ての書類を揃えることは非常に大変です。

    当補助金は新たな事業を展開する方を援助するという主旨であるため、今後新たに始める事業における事業計画書なども必要となってきます。

    事業内容によっては建物の建築や改修、設計など専門的な知識が必要となる場合もあります。

    これまで空き家バンク京都では、空き家の活用を通してお宿、シェアハウス、飲食店、レンタルスペース、BBQテラス、リフォーム業、クラウドファンディングなど、さまざまな事業の展開、プロデュースを行ってきました。

    これまで培ってきた弊社のつながりを生かして、事業再構築補助金申請のサポートをさせていただきます。

    明確に事業内容が定まっていないとしても、弊社が全力でサポート致します。

    また、弊社のホームページやtwitterなどのSNSを通じてPR活動することも可能でございます。

    事業再構築補助金の詳細については、こちらをご覧ください。

    伏見稲荷大社から徒歩5分ほど。京都らしい細い路地の奥に佇む「ABOUT US COFFEE(アバウトアスコーヒー)」は、スペシャリティコーヒーの専門店です。コーヒーが好きな方はもちろん、インスタ映えする内装やスイーツも話題となっていて、若者に注目を集めています。

    そんなアバウトアスコーヒーさんを実際に訪れて、魅力を探りました。

    伏見稲荷から徒歩5分でアクセス。京都らしい裏路地にモダンな外観が映えるアバウトアスコーヒー

    アバウトアスコーヒーは伏見稲荷大社から徒歩5分。大鳥居をくぐり抜けて京阪伏見稲荷駅の踏切を越え、突き当たりの師団街道で左折。しばらく道なりに歩くと、アバウトアスコーヒーがある石畳の細い路地が見えてきます。

    JR稲荷駅

    大鳥居から見たJR稲荷駅。駅を正面に右折し、京阪伏見稲荷駅に向かって進む。

    京阪伏見稲荷駅の入り口

    京阪伏見稲荷駅の踏切から見える師団街道。突き当たりの信号を左折。

    aboutuscoffeeの外観

    しばらく師団街道を進むと、左手に石畳の細い路地が見えてきます。

    路地に足を伸ばすと目の前には「ABOUT US COFFEE」の文字が刻まれたモダンな建物が。外観もとっても素敵ですよね♪

    aboutuscoffeeの外観_2

    アバウトアスコーヒーは世界各地の豆を楽しめるスペシャルティコーヒーの専門店!

    aboutuscoffeeのスペシャルティーコーヒー

    「ABOUT US COFFEE」は、スペシャリティコーヒーの専門店。店員さんは、国際的なコーヒー豆鑑定士の資格「Qグレーダー」を持っていて、こだわり抜いたコーヒー生豆を取り扱っています。ハンドドリップのひき立て、淹れたてのコーヒーを楽しむことができるんですよ♪

    aboutuscoffeeのコーヒー

    コーヒーは、しっかりコクのある深煎りのものや、イチゴのようにフルーティーなものなど、豊富なバリエーションから選ぶことができます。季節によって豆の種類が変わり、取り扱っている豆の種類はなんと20種類以上もあるそうです。

    豆の知識がなくても、店員さんが豆の特徴などを詳しく教えてくれるので安心です。また、オーダーメイドの焙煎もされているので、自分に合った好みの味を見つけることができますね。店頭でのテイスティングも可能です(※ 現在は、新型コロナウイルスの影響で実施していません)。

    店頭に並ぶ20種類以上のコーヒー豆

    引用元URL:https://goo.gl/maps/7Vn2oopfWbjB8VQ69

    スタイリッシュな内装はインスタ映え間違いなし! フードメニューもおしゃれで美味しい

    アバウトアスコーヒーは、コーヒー豆へのこだわりだけじゃなく、インスタ映えする内装でも話題なんです! 白を基調としたインテリアや小物が並び、なんと言っても壁一面の白い胡蝶蘭が印象的。

    aboutuscoffeeの内観

    お洒落で洗練された空間は、「ここは本当にコーヒー屋さん?」と言いたくなるような、コーヒーを待つ時間さえもワクワクさせてくれるような……。「映える」の一言では言い表せないこだわりポイントが詰まっていて、いろんな角度からシャッターを切りたくなります。

    aboutuscoffeeの内観_2

    また、「ABOUT US COFFEE」さんでは、コーヒーはもちろんのこと、スイーツやフードメニューもお洒落で美味しいと話題です。フードメニューは「スパイスカレー」や「トースト」などがあり、600円~900円で楽しめます。

    また、スイーツメニューも豊富です。一番人気のカヌレが2個で250円、他にもレアチーズケーキやオレオブラウニー、プリン、マフィン、ジェラートなど幅広いスイーツが250円~1,000円で揃っています。その日の気分やコーヒーに合わせて選んでみると、美味しさも映え度も増しますね。

    引用元URL:https://g.page/About-us-coffee?share

    こだわり抜いた豆のオンライン通販も人気!自宅でもアバウトアスコーヒーを楽しもう!

    そんなアバウトアスコーヒーさんですが、コーヒー豆のオンライン通販でも注目を集めているんです。コーヒー豆は24種類。浅煎りから深煎りまで、店頭に並んでいない商品も購入することができます。

    専用サイトではそれぞれのコーヒー豆の特徴が詳しく説明されていますので、安心して選べます。また、コーヒー器具もたくさん取り扱っていて、アバウトアスコーヒーの店頭で実際に使用されている、プロ仕様のアイテムを購入することもできます。コーヒー器具へのこだわりや思いも伝わってくるラインナップですね。

    ちなみにこの通販サイトは、店主さんたちの「こだわりの豆を家庭でも楽しんでもらいたい」との想いでオープンしたもの。大型の焙煎機や焙煎所を用意するためにクラウドファウンディングを行って、290万円もの支援に成功してできたものなんです!

    クラウドファンディングのページでは、アバウトアスコーヒーの歴史や魅力、今後の展望など、お店のことを知れる情報が盛りだくさん。店主さんが仕事にかける想いも知ることができます。

    (参考)アバウトアスコーヒーのクラウドファウンディング詳細ページ ▶︎ 【ABOUT US COFFEE】関西から世界基準のコーヒーをより沢山のひとへ! | CAMPFIRE

    伏見稲荷観光のあとは、アバウトアスコーヒーで美味しいコーヒーを楽しもう♪

    aboutuscoffeeのスペシャルティーコーヒー

    ここまで、アバウトアスコーヒーさんの魅力をお伝えしてきましたが、知れば知るほど本当に魅力的なお店です。

    インスタ映えする佇まいや内装が、訪れる人を惹きつける “オシャレなカフェ” としての魅力、コーヒーの専門家がこだわり抜いたコーヒー豆を、焙煎したてで味わうことができるスペシャルティコーヒー専門店としての魅力。未来に夢と展望を持ち、時代のニーズを汲みながら “より良く” を追求し挑戦し続ける店長さんたちの想い。

    現在、この伏見稲荷周辺エリアに住む私ですが、「美味しいコーヒー屋さんと言えば?」と聞かれたら1番に頭に浮かぶのはこのお店です。 伏見稲荷大社の観光帰りには、アバウトアスコーヒーの美味しいコーヒーで一息ついてみてはいかがですか?

    【お店の情報】

    • 名称:ABOUT US COFFEE
    • 住所:〒612-0014 京都市伏見区深草稲荷鳥居前町22-15
    • 連絡先:075-644-6680
    • 定休日:火曜日
    • 営業時間:平日11:00ー18:00、土日10:00ー18:00
    • 公式サイト: https://aboutuscoffee.jp/about/

    (取材・文・写真 : 瀧澤 紗知子

    京都は東山。銀閣寺や京都大学から徒歩圏内の浄土寺西田町にお店を構える「おうちごはんcafe たまゆらん」。2012年の7月にオープンして以来、学生や猫好きの方をはじめ、多くの人たちに愛され続けてきた。

    大村 明江(おおむら あきえ)さんが切り盛りするこのカフェ「たまゆらん」。おいしくてボリュームたっぷり、それなのにリーズナブルなご飯メニューと売り切れ必至の手作りスイーツ、そして店内で気ままに過ごす看板猫たちで多くのファンに支えられてきた。

    (上)「おうちごはんcafe たまゆらん」の外装と看板猫サヴォン(下)人気のパフェとカレープレート

    また、大村さんとたまゆらんは猫の保護活動でもよく知られている。

    「たまゆらんは猫カフェじゃないですし、“保護猫の受け入れ活動をしているお店”として経営しているわけじゃないんですよ」

    大村さん自身はそう語っているが、実際のところは、里親が決まるまでの保護猫たちが何十、何百もたまゆらんのお店を仮のおうちとして過ごし、大村さんやお客さまたちに可愛がられてきた。また、たまゆらん主催で保護猫の譲渡会を開催することも多い。そんな様子から、自然と「たまゆらん保猫園」と呼ばれるようになったほどだ。

    大村さんと、保護していた子猫たち

    インタビュー時、大村さんが自宅で保護していた子猫たちと大村さん

    しかし、そんな「おうちごはんcafe たまゆらん」にいま、実店舗はない。コロナ禍による売り上げ激減により、無期限の休業状態に追い込まれた。さらには土地開発の話が持ち上がり、テナント立ち退きを余儀なくされてしまったのだ。現在は、急ごしらえで準備したウェブショップにて焼き菓子の販売をするのみとなっている。

    大村さんはいま、常連のお客さまたちにとっての憩いの場であり、保護猫たちのご縁を繋ぐ場所にもなっていた「おうちごはんcafe たまゆらん」の店舗を取り戻すため、準備に奔走している。

    そんな大村さんに、「おうちごはんcafe たまゆらん」のことや保護猫活動、そしていま準備を進めている新店舗のことなど、たまゆらんと大村さんが歩んできたストーリーを伺った。

    大村さん

    ◎ プロフィール

    ■ 大村 明江(おおむら あきえ)
    京都生まれ大阪育ち。10代のアルバイトからHard Rock Cafeやカプリチョーザ、にんにくやなどで飲食業に従事し、炭火焼肉牛角のエリアを受け持つスーパーバイザーを担当。大阪、静岡、新潟、長野、山梨、広島、岡山、福岡などへの移動を経て京都に戻る。そして2012年7月、『おうちごはんcafe たまゆらん』をオープンした。(→ Twitter / Instagram

    取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina (※ 一部写真は大村さんによる提供です)

    おいしい食事をお腹いっぱい食べられるカフェ「たまゆらん」

    「おうちごはんcafe たまゆらん」の外装

    「おうちごはんcafe たまゆらん」は名前の通り、おいしく健康的な食事を実家のようにお腹いっぱい食べられるカフェだ。ご飯メニューだけじゃなく、フルーツをたっぷりと使用した贅沢なパフェや、こだわりの焼き菓子をはじめとするデザートメニューも有名だ。

    「おうちごはんcafe たまゆらん」人気の食事メニュー

    「おうちごはんcafe たまゆらん」人気の食事メニュー

    「おうちごはんcafe たまゆらん」人気のスイーツメニュー

    「おうちごはんcafe たまゆらん」人気のスイーツメニュー。いちごを丸ごと1パック使用するなど、フルーツたっぷり。

    「私としては、お客さんに“お腹いっぱい食べてもらいたい”という想いがあって、このお店をはじめたんです。女の子って、実はけっこう食べる子だって多いじゃないですか。でも、女の子がひとりで入りやすいようなお店はランチでも1,400円、1,500円とかするのに、あんまりボリュームのないお店が当時多かったんですよ。

    私自身、お昼時に出かけていて『定食っぽいもの食べたいな』って思ったときに、ひとりで入りたいお店が全然見つからなかったんです。それをきっかけに『だったらお店でもやるかな!』とたまゆらんをオープンしました。」

     
    「おうちごはんcafe たまゆらん」人気メニューのひとつ「一枚肉のフライドチキンのごはんプレート」

    「おうちごはんcafe たまゆらん」人気メニューのひとつ「一枚肉のフライドチキンのごはんプレート」

    猫カフェではなく“看板猫たちに会えるカフェ”

    「おうちごはんcafe たまゆらん」の店内で気ままにくつろぐ大村さんの愛猫たち

    「おうちごはんcafe たまゆらん」の店内で気ままにくつろぐ大村さんの愛猫たち

    そして、たまゆらんを語るには欠かせない要素がもうひとつ。気まぐれにお店に姿をあらわし、お客さまに接客する「店員猫」たちの存在だ。茶トラの大きな看板猫SAVON(サヴォン)くんをはじめ、歴代で11匹もの店員猫たちがお客さまを楽しませてきた。

    「おうちごはんcafe たまゆらん」のオーナー猫・SAVON(サヴォン)くん

    「おうちごはんcafe たまゆらん」のオーナー猫・SAVON(サヴォン)くん

    そんな「猫に会えるお店」として有名なたまゆらんだが、「たまゆらんは猫カフェではない」と大村さんは語る。

    「よく『猫カフェなんですか?』って聞かれるんですけど、わたしとしては、猫カフェじゃなくて “猫がいるカフェ” のつもりなんです。

    看板犬、看板猫がいるうどん屋さんとか定食屋さんとかってあると思うんですけど、そういうお店はお食事の料金だけで、犬や猫と触れ合うための料金って取ってないじゃないですか。うちも猫たちの料金は取ってないので、それと一緒ですよね。

    とはいっても、お客さまがうちを猫カフェだと思って楽しんでくださるのは大歓迎ですけどね(笑)」

     
    お客さんの膝の上に自ら飛び乗るサヴォンくん

    お客さんの膝の上に自ら飛び乗るサヴォンくん

    いまでは「猫のいるカフェ」として有名なたまゆらんだが、大村さんはオープン当初、猫たちをお店に出しておくつもりはなかったという。

    「お店の2階が住居になってまして、階段前の扉には鍵をかけてお店とは分けていたんです。でもある日、なぜかお店の真ん中に猫が座ってるんですよ。そのときは『あれ〜おかしいな〜。ぎんちゃんなんでおんの? 鍵かけ忘れちゃったのかな〜?』と思っておうちに戻したんですけど、次の日もまたぎんちゃんがお店にいまして。どうも、鍵をくわえて回す技を覚えてしまったみたいなんですよね(笑)

    それで次の日もまた出てきちゃったんですが、そのときにいたお客さまが『猫ちゃんおるんやったら、お店に出しとった方がいいやん!』って言ってくださったので、それをきっかけに “看板猫のいるカフェ” になった感じですね。」

     

    ▲ たまゆらん公式Twitter、2014年7月10日の投稿。たまゆらんオープン当初から在籍した「店員猫」のぎんちゃん。たまゆらんが “看板猫のいるカフェ” になるきっかけを作ったぎんちゃんは、お店で出会った里親さまに引き取られ、2012年9月末に店員猫を卒業した。

       

    京都は丸太町。烏丸通りを挟んで正面に御所を望んだ駅徒歩3分の好立地に、新たなサロンがオープンする。歴26年のベテラン美容師でありエステティシャンでもある、圓谷静香(えんたに しずか)さんのプライベートサロン『Hair and Esthetic STELLA…』(ヘア アンド エステティック ステラ)だ。

    『Hair and Esthetic STELLA…』の店内(写真提供 : 圓谷さん)

    圓谷さんは、2019年までドイツの地で美容院『Hair Make Chika』を経営しており、欧州リーグで活躍する日本人サッカープレイヤーたちから指名を頂いていたキャリアを持つ。

    圓谷さんがドイツで経営されていた美容院に来店してくださっていた日本代表のサッカー選手たち

    (左)内田篤人選手(中)吉田麻也選手と圓谷さん(右)香川真司選手(写真提供 : 圓谷さん)

    そんな圓谷さんは、なぜ京都の地で新たなスタートをすることにしたのか。ドイツではどんなキャリアを歩んできたのか。どうして「ヘアー×エステティック」なのか。そして、圓谷さんは『Hair and Esthetic STELLA…』をどんなお店にしていきたいと考えているのか。

    圓谷さんにお話を伺うとともに、実際に来店してヘアカットとヘッドスパの体験をさせていただいた。

    (取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina

    ◎ プロフィール

    ■ 圓谷 静香(えんたに しずか)
    1975年生まれ。兵庫県神戸市出身。歴26年のキャリアを持つ美容師であり、2019年まではドイツの地で『Hair Male Chika』を経営。エステティシャンの資格も併せ持つ。また、ドイツでは欧州リーグで活躍するサッカー日本代表選手たちのヘアメイクを手がけていた。2020年に日本へ帰国後、京都の地でプライベートサロン『Hair and Estetic STELLA…』を立ち上げる。 (→ Twitter / note / Instagram

     

    プライベートサロン『Hair and Esthetic STELLA…』とは?

    『Hair and Esthetic STELLA…』は、セット面1面、シャンプー台1面、エステ施術用の個室1部屋のみの予約制プライベートサロンだ。カットやカラー、パーマといった通常の美容院のメニューに加えて、「2Bバイオトリートメント」という100%ナチュラルのハーブピーリングを使った本格的なエステを受けることもできる。

    ヘッドスパやエステメニューの際に使用する施術用ベッド

    エステティックやヘッドスパの施術のために、リラックスできる専用の個室が用意されている(撮影 : 芝山

    ヘッドスパメニューも、通常の美容院より力を入れている。セット面ではなくベッドで横になって施術を受けることができ、30分間ゆっくりと頭皮マッサージを堪能できる。リラックスできるだけではなく、天然スクワランオイルによって頭皮の汚れを優しく落としてくれる。

    ヘッドスパ体験の様子

    ヘッドスパ体験の様子

    体験させていただいたヘッドスパメニューの様子。
    力強いながらもまったく痛くない絶妙な力加減が気持ち良く、ついついウトウトしてしまった。

    なぜヘアー×エステティック? 圓谷さんが美容師だけでなくエステティシャンにもなった理由

    ヘッドスパ体験の様子

    美容師として26年ものキャリアを持つ圓谷さん。日本ではどうして普通の美容院ではなく「ヘアー × エステティック」のサロンをやろうと思ったのか。理由を聞いてみると、「自分の不満足からはじまったんです」と圓谷さん。

    圓谷さん「私自身エステやマッサージに行くのは好きで、ドイツではよく通っていたんです。ドイツは日本よりエステが普及していて、もっとリーズナブルなんですよ。でも、エステやマッサージでせっかく綺麗になっても、髪がぐちゃぐちゃになっちゃうのがいつも残念で……。

    特にショートヘアだと襟足は跳ね上がっちゃうし、後頭部はぺっちゃんこ。前髪なんてもう修正不能ですよね。『エステの後にシャンプー&ブローがついてたら最高やわ』って、ずっと感じていたんです。

    美容師とエステティシャンの融合。絶対良いメニューが出来るな。そんな想いをずっと温めていました。」

    そんな長年の想いを実現させるため、日本で新しいお店をやろうと決めた圓谷さん。帰国してからはエステティックの勉強を本格的に始め、ようやく叶ったのが今回のお店というわけだ。

    「メスのいらない美容整形」― そんな異名を持つ2Bバイオトリートメントとは?

    ステラのエステティックメニューは、ベルギーで人気のハーブピーリング「2Bバイオトリートメント」を使用している。自分自身が効果を実感して、「エステを習うんだったら、これ習いたい!」と思ったのがきっかけだという。

    圓谷さん「ハーブピーリングって色々あるんですけど、2Bバイオトリートメントは原料の産地とか製造している工場とか、出どころが全部はっきりしてるのがいいんですよね。

    本社があるベルギーの工場ですべて管理されていて、情報がオープンになっているんです。お肌につけるものですし、どこで採れたかわからないようなものをつけるのはイヤじゃないですか。」

    2Bバイオトリートメントはまだ日本ではそれほどの知名度はないが、ヨーロッパではとても有名なブランドのひとつ。20年以上もの間、ピーリングのトップとして君臨している。

    圓谷さん「ヨーロッパって、すごいエステサロンが多いんです。向こうでは1ヶ月とか長い休みも多いので、その中の1週間を使って週4回の集中エステを受けるなど、優雅なトリートメントの仕方をされているんですよね。

    それにドイツの場合、ナチス時代にやけどを負った方が多かったので、肌を綺麗にしたい、再生したいという強い需要がありました。そんな経緯もあってハーブピーリングが流行した歴史があるので、エステに関してヨーロッパはすごく進んでいますよね。」

    ▶︎(参考 : 2B BIO BEAUTY 公式サイト

    欧州リーグで活躍する日本代表サッカープレイヤーからの指名も!― ドイツでの圓谷さんの美容師キャリア

    圓谷さんがドイツで経営されていた『Hair Salon Chika』の店内写真

    (写真提供)圓谷さん

    ドイツでサロン経営されていたときから温めていた構想を、京都の地で実現された圓谷さん。ところで、圓谷さんはなぜドイツへ渡り、どのような経験をされてきたのだろうか。話を聞いてみると、もともとドイツへ渡ったのは「チャンスを感じて、稼ぎに行くため」だったという。

    圓谷さん「ドイツのデュッセルドルフという街でサロンを経営していたんですけど、そこを選んだのは2つ理由があるんです。まず1つが、デュッセルドルフに旅行へ行ったときに、『これはチャンスだ!』って思ったこと。

    日本人美容師の技術力の高さって、ヨーロッパでもだんだん認知されてきていまして、フランスとかではもう日本人サロンが流行ってるんです。

    でも、ドイツならまだライバルが少ないですし、それにデュッセルドルフは割と治安がよくて日本人も多く住んでます。しかも日本人美容師を募集してるサロンもあったので、『今ドイツに行けば、絶対稼げる!』って感じて、この旅行のときにはほぼドイツ行きを決めました。」

     

    そしてもう1つの大きな理由は、白血病で先立ってしまったお姉さんだという。

    圓谷さん「英語が得意で海外に興味があった姉は、アメリカにホームステイに行ったり、突然会社をやめて親友とイギリスに語学留学したり……とにかく自分のためにお金を使いまくる自由な人でした。

    姉はドイツ語専攻で、ドイツ人のデザイナーのJIL SANDER(ジル・サンダー)が大好きで、ドイツの硬くて酸っぱいパンが大好きで……。あんなにドイツに興味があったのに、一度もドイツに訪れてなかったんです。だから、そんな姉をドイツへ連れて行こうと思って、姉の名前 “Chika” でお店を開いたんです。」

     
    圓谷さんがドイツで経営されていた『Hair Salon Chika』の外観

    (写真提供)圓谷さん

    2008年にドイツに渡った圓谷さんは、2012年までは日本人も多く在籍するサロンで勤め、その後2014年に『Hair Salon Chika』をオープンした。Chikaのお店には、シャルケの内田篤人選手やドルトムントの香川真司選手、さらには吉田麻也選手、槙野智章選手といった、欧州リーグで活躍する日本代表チームのサッカープレイヤーたちが訪れてくれたという。

    圓谷さん「もともと私がいたお店のオーナーさんが中田英寿さんや本田圭佑さんを担当していまして、その流れで私も指名をいただけたんです。ありがたいことに内田さんはしょっちゅう来てくださいましたし、香川さん、吉田さん、槙野さんもよく来てくれていました。

    内田さんや香川さんはCM撮影あるときなどにも呼んでくださって、ヘアメイクとして同行させてもらうこともありました。みなさんほんと優しくって、ほんとにありがたい限りです。」

     
    圓谷さんがドイツで経営されていた美容院に来店してくださっていた日本代表のサッカー選手たち

    (左上)内田篤人選手(右上)槙野智章選手(左下、右下)香川真司選手(写真提供 : 圓谷さん)

    どうして新天地・京都へ? ― 新しいチャレンジの理由と圓谷さんの想い

    ドイツでのサロン経営は順調で、繁盛していたという圓谷さん。そんな『Hair Salon Chika』を閉めて帰国することに決めたのはどうしてだろうか。

    圓谷さん「自分の中でやり切った感があったんです。もともとドイツには『稼ぐために』行ったので、それはちゃんとできたのかな、と思います。それで少し疲れちゃったのもありまして、『日本がいい。日本語で喋りたいな』と思ったんです。

    そう思ったとき、日本でまたイチからお店をはじめるなら、年齢的にももう帰って準備はじめないとしんどいだろうなと思って、帰国を決めました。」

     

    京都を選んだきっかけは、エステの先生が京都に住んでいたからだという。

    圓谷さん「どこで出しても、日本では顧客ゼロからのスタートになるのは同じなので、自分の好きなところで出そうっていう気持ちでした。」

    京都の地にゆかりを持つわけではない圓谷さんだったが、いろいろな人たちとの出会いに導かれるようにして新店舗のオープンに辿り着いたという。そんな新店舗ステラのコンセプトは「つながる空間」だ

    圓谷さん「来てもらったら絶対に満足して帰ってもらうというのは当たり前のことだと思うんですけど、付加価値として、ここに来たら何か情報があるとか、何か人との繋がりができたらいいな、と思うんです。

    実際、ドイツでやっていたお店がそうだったんですよね。『あそこのお医者さんおすすめだよ』とか『良い通訳の人知ってるよ』とか、何か困ったことがあれば『良い弁護士さん紹介するよ』とか。デュッセルドルフには日本人も多く住んでいたので、頼ってもらえることも多かったんです。

    京都ではイチからのスタートだと思ってたんですけど、ドイツの友達がめっちゃ宣伝してくれて、ドイツ繋がりのお客さんがもう予約してくれているんです。繋がりってすごく大切だなぁって、感じますよね。

    このステラでも、ドイツでやってたお店と同じような雰囲気を作りたいです。」

     

    圓谷さん「いろんな人に応援されてきたし、今もしてもらっているし、だからそのぶん自分も素敵な人たちを応援していきたいですよね。このお店を前向きな人、素敵な人が集まる空間にできたらいいな、と思っています。

    お店自体はシンプルに作っていただいたので、ここではお客さんが主役で、ここに来てくれる人が輝ける場所にしていきたいですね。」

     

    2021年10月1日。京都丸太町にて『Hair and Esthetic STELLA…』オープン!

    『Hair and Esthetic STELLA...』の最寄駅である地下鉄烏丸線 丸太町駅

    地下鉄烏丸線 丸太町駅。ステラに向かうには7番出口が一番近い(撮影 : 充紀)

    そんな圓谷さんの新店舗『Hair and Esthetic STELLA….』は2021年の10月1日にオープンする。場所は御所を正面に望む烏丸通り沿い。丸太町駅徒歩2分の、赤いレンガが目印のビル「MACHI WORK御所西」2階だ。

    『Hair and Esthetic STELLA...』の店舗がある「MACHI WORK御所西」の外観

    ステラの店舗がある「MACHI WORK御所西」の外観(撮影 : 充紀)

    まだオープン前だが、ひと足先に圓谷さんのヘアカットとヘッドスパを体験させていただいた。

    圓谷さんのシャンプーの様子

    圓谷さんのシャンプーの様子

    圓谷さんのヘッドスパの様子

    圓谷さんのバリカンワークの様子

    圓谷さんのヘアカットの様子

    圓谷さんのヘアカットの様子

    圓谷さんのスタイリングの様子

    「もちろん色んなスタイルを切りたいんですけど、一番得意なのはショートやボブヘアですね。潔いスタイルが好きです」と語る圓谷さん。技術の高さは、仕上がりを見ての通りだ。

    圓谷さんのヘアカットの仕上がり

    圓谷さんのカットモデル

    カットモデルも務めさせて頂いた。ちなみに、カット料金は5,000円だ。

    「このお店はまだまだこれから。進化の途中です。どんな風になるかわからへんけど(笑)」

    そう微笑む圓谷さん。話していると、ご自身の好きなヘアスタイルと同じように潔くて真っ直ぐな性格をしていることや、とても明るくて気さくな人柄が伝わってくる。

    そんな圓谷さんの新店舗、ステラ。圓谷さんの想いの通り、前向きでキラキラした人たちが集まる素敵な空間になって欲しいと願う。来月のヘアカットも楽しみだ。

    (取材・文 : 充紀 / 写真 : yukina

    ◎ 店舗基本情報
    ■ Hair and Esthetic STELLA….(ヘア アンド エステティック ステラ)
    – 住所 : 京都市上京区堀松町419 machiwork御所西2F-D(→ Google Map
    – 営業時間 : 10:00〜20:00
    – 定休日 : 不定休
    – URL : ホットペッパービューティー

    ◎ 圓谷静香さんのSNS
    Twitter / note / Instagram

    この記事書いた人

    充紀

    職業フリーライター
    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

    京都市は北区、上賀茂葵田町。京都産業大学の目の前に、学生と社会人とが交流できる新たなスペースが誕生する。2021年9月28日オープンの『Co-working&community サキドリ』だ。

    「Co-working&Communityサキドリ」のカフェスペース

    『Co-working&community サキドリ』は、「出会い」や「交流」をコンセプトとするコミュニティスペースであり、コワーキングスペース。「学生たちをはじめ、大学講師や社会人、地域の人たちなど色々な人たちが集まり、交流が生まれる場所にしたい」という想いから、非常にリーズナブルな価格設定となっている。

    そんなサキドリを運営するのは、キャリアコンサルタントであり行政書士でもある植村さんと、以前植村さんと同じ職場で学生支援のお仕事をされていた田中さんのお二人だ。今回はお二人に、サキドリの魅力や特徴、プロジェクトのきっかけや経緯、そしてサキドリをどんな場所にしていきたいかなど、お二人の “想い” をインタビューした。

    (取材・文 : 充紀

    植村 健志さんと田中 利栄子さんの写真

    (左)植村 健志さん /(右)田中 利栄子さん

    ◎ プロフィール

    ■ 植村 健志(うえむら けんし)
    植村行政書士事務所、Career Support Office B-dream代表。今回のプロジェクトの発起人。20代では外資系企業の営業マン、塾講師、放送作家など、さまざまな職業を経験。30歳を過ぎてから行政書士・キャリアコンサルタントとして独立。「学生時代の多様な経験」の重要性を学生たちに伝え続けている。ももいろクローバーZのLIVEに情熱を傾ける日々。

    ■ 田中 利栄子(たなか りえこ)
    たまたま受講した職業訓練でWEBデザインのスキルを習得したことをきっかけに、京都府の公式ホームページ管理など、行政の業務に従事。2017年からは学生支援業務にも携わり、その中で植村さんと出会う。縫い物・編み物・ゲーム好きで、最近はDIYがお気に入り。今回のプロジェクトでは植村さんとともに企画・運営を行うとともに、ホームページ作成なども担当。また、趣味を活かして内装のDIYなども行った。

     

    『Co-working&community サキドリ』とは?

    サキドリは、学生・社会人・先生・地域の人など、誰でも作業や仕事、勉強、趣味などに利用できる自由な空間だ。一人で集中して作業や勉強に取り組めるコワーキングスペースのほか、利用者どうしで気軽に交流できるコミュニティスペースも備えている。

    植村さん「一人で仕事や勉強などをしたい人のためのコワーキングスペースが一つ独立してあって、くつろぎたい、おしゃべりしたいって人のための場所も別に用意しています。まさに今インタビューしているこのカフェスペースがそれですね」

     

    一人での作業・勉強に最適な「コワーキングルーム」

    一人での作業・勉強に最適な「コワーキングルーム」

    くつろいだりグループで会話したりするのに適した「カフェスペース」

    くつろいだりグループで会話したりするのに適した「カフェスペース」

    植村さん「また、ワークショップやグループワークなども含めて、交流をしたい人のための多目的なスペースが真ん中の部屋です。その他、応接間などとしてクローズドにも使える個室も備えています。」

     

    多目的に使える「あやふや交流スペース」

    多目的に使える「あやふや交流スペース」

    クローズドな個室としても使える「応接・面談ルーム」

    クローズドな個室としても使える「応接・面談ルーム」

    それぞれの部屋は、「ここをこういう風に活用してくれたらいいな」という想いを考えてレイアウトしたと植村さんは話す。でもその一方で、「それに縛られないで、色々な活用方法を見つけてもらえたら」とも語っている。

    植村さん「それぞれの部屋には、こちらで考えた利用方法やストーリーがあるのですが、コワーキングスペース以外の部屋はその他にも色々な活用ができるかと思います。

    学生さんや利用者の方から『この場所をこんな風に使いたい』とか『この部屋でこんなイベントをしたらいいのでは?』などといった、思い付いたことを提案をしてもらえたら嬉しいですね。ぼくたちはそれを実現できるようにお手伝いしていく。という感じで運営していきたいです。」

    「サキドリ」という名前の由来と、その中に込められた想い

    「サキドリ」のロゴ

    この場所の名前が決まるまではかなり難航したようで、この「サキドリ」という名前に決まったのはオープン直前だったという。この名前は、植村さんが100個もの案を考えた中のひとつをもとにして、田中さんが考えたものだ。この「サキドリ」には、2つの意味が込められていると話す。

    田中さん「このサキドリという名前は、漢字に直すと“お花が咲く”の『咲』と、“鳥が飛ぶ”の『鳥』で『咲鳥』なんです。英語にしたらblooming bird、花咲く鳥みたいな感じで、『いつか花咲く、鳥になって羽ばたく』という意味を込めています。

    それともう一つ。サキドリには『色々な情報をここで“先取り”する場所にしていきたい』という意味もあります。『色々な情報をここで先取りしていった後にお花が咲いて、鳥のように飛び立っていく』という2つの意味を込めて、サキドリってつけたんです」

    「もともと、拠点をつくって出会える場所を作りたいなと思っていた」― サキドリ誕生のきっかけとオープンまでの経緯

    植村健志さん

    このサキドリを作ろうと思ったきっかけは、植村さんがキャリアコンサルタントとして仕事をする中で漠然と感じていた、「学生さんたちが大人と交流できて、色々な知見を得られる拠点を作りたい」という想いだった話す。

    そんな植村さんに、今回この場所を作るきっかけを与えたのが、一緒に運営することになった田中さんだ。

    田中さん「ここはもともと不動産屋さんでして、ここの社長さんと仲良しで、しょっちゅう遊びにきていたんです。その頃わたしは植村さんと同じ学生就職センターで仕事をしてたこともあり、お店を閉めようとしていた社長さんから『京都産業大学の学生さんたちのためになる何かをやりたいって人、探してくれへん?』って言われてたんです。」

    植村さん「その話をもらってすぐに、ってわけではないんですけど、今年の2月ごろからちょうど僕の仕事が落ち着いてきたのもありまして、『じゃあ、思い切ってやるか!』と具体的に動き出しました。」

     

    インタビューの風景

    いざ動き出してみると、「こういうことをやりたい」という植村さんの想いから「それなら、こんな人がいるよ!」という、紹介が紹介を呼び、どんどんプロジェクトが進んでいったという。

    植村さん「産業大学繋がりだったり、仕事の繋がりだったりから人脈が広がっていって、いろんな人と出会う中でプロジェクトが具体的なものになっていきました。まさに、このサキドリのコンセプトである“出会い”や“ご縁”ですよね。鈴木さんと出会って改装工事を『空き家バンク京都』さんにお願いすることになったのも、まさにご縁ですしね。鈴木さんが京産大出身というのも、なにかご縁を感じますよね(笑)」

    改装工事はもともと、ここで不動産をされていた物件オーナーさんのご紹介でお願いするつもりでいたという。でも、進めていく中で「ちょっとでも学生さんに近い人に頼む方がいいかもな」と思ったのがきっかけとなり、話を聞いてみることにしたそうだ。

    田中さん「お話聞いたらすごく安心して、『もう鈴木さんに頼むしかない!』ってそのとき思ったんです(笑)ボロボロだった事務所がキレイになるところを想像させてくれるところが、とても頼もしくて。」

     

    改装工事中の写真

    改装工事中の写真

    改装工事の見学にきて下さった京都産業大学の学生や大学教授のみなさん

    「学生のうちに色んな大人と話して、色んな経験をしてほしい」― 代表・植村さんの想い

    植村さん

    色々な人たちとの出会いの中で誕生したこの『Co-working&community サキドリ』。この場所をどんなものにしていきたいのか、その想いを発起人の植村さんは、次のように語っている。

    植村さん「お話した通り、もともと学生と色々な社会の大人が繋がれる環境を作りたかったんです。僕自身、大学生のときは世間が狭かったなぁということに、後から気づきまして。

    『あー、あのときにもっといろんな大人と喋れてたらよかったなぁ。色々な経験をできてたらよかったなぁ……。クラブやサークルだけじゃなくて、もっといろんなコミュニティに顔だして、いろんな人たちと話ができていたら、もしかしたらもっと面白い大人の人生が歩めたんちゃうかな』って。

    そんなことを今になって感じるんですよね。だから、僕はキャリアコンサルタントとして活動する中で、学生たちに対して『もっともっといろんな社会を見てほしい、世間をみて欲しい』というのをずっと伝えてきました。

    それを、ただ授業や講義の中で伝えるだけじゃなくて、拠点をつくって、もっとリアルに実現できる場があればいいなって、ずっと思っていました。それを実現できたのが、このサキドリなんです」

    「リアルなワールドカフェを実現したい」― 植村さんがこの場所でやってみたいこと

    田中さんと植村さん

    植村さんと田中さんに、このサキドリを今後どのように発展させていきたいのか、あるいはどんなことをやってみたいのかと尋ねてみると、植村さんは「ボクは、ここでリアルなワールドカフェをやりたいんです」と語った。

    ワールドカフェとは、4〜5人ずつのグループに分かれて、1つのテーマについて「会議室ではなくカフェで話すように」それぞれ議論を行うものである。研修の手法やワークショップとして用いられることも多い。

    会社の会議のように堅苦しいものではなく、結論を求めるためのものでもなく、参加者どうしで意見を言い合い、新たな知見を得たり認識を深めたり、それを通して参加者の交流間を深めることなどを目的とする。

    植村さん「元々ワールドカフェは海外で生まれたもので、カフェに色々な人たちが集まって、社会問題などについて議論を行っていたのがが始まりです。カフェですので年が若い人もいれば年配の方もいる。色々なキャラクター、さまざまなパーソナリティを持った人たちが集まって、何かについて論じている。

    そんなところから始まったのがワールドカフェなんですけど、このサキドリでリアルにワールドカフェを実現できたらなと思っています。学生、先生、社会人、地域の人たち。いろんなバックグラウンドを持った人たちが、ひとつのテーマで話ができたらすごく面白いですよね。究極的には、それが自然発生する場を目指したいです。

    学生たちがいろんな大人たちと喋って、自分の知識・見聞・スキルをつけてくれたら、それが僕の本望なんです。ここで出会う経験が自分の将来、未来を先取りするための糧になる。それがこのサキドリの目的ですね。

    未来を情報を先取りして、飛び立つための出会いを得る場所 サキドリ、2021年9月28日オープン!

    オープン日の告知ポスター

    そんな『Co-working&Community サキドリ』は、2021年9月28日にオープンだ。通常のコワーキングスペースと同じように、月額払いで使い放題のコワーキングスペース型の営業スタイルだ(なお、ドロップインもあるので一回のみの利用も可能だ)。

    サキドリの月額料金は、学生なら100円、大学関係者は500円、一般の社会人会員でも6,600円〜と、非常にリーズナブル。初回のみ登録料が別にかかるが、とはいえそれもかなり安く価格設定されている。

    (▶︎ Co-working&Communityサキドリ 料金表

    この良心的な値段設定からも、学生をはじめとする多くの人たちに来てもらって、色々な出会いが生まれて欲しいという植村さん、田中さんの想いが読み取れる。

    日本は海外と比較して、知らない人どうしで交流したり、ましてや議論したりということが起こりにくい文化があると思う。でも、もともと都のあった京都という土地には、海外の文化を取り入れて時代をリードしていた“新しいもの好き”な歴史と気風がある。

    このサキドリが日本の中で世界の文化を先取りして、京都に新しい風を起こしてくれるといいな、なんてことを、植村さん、田中さんのインタビューの中で思わされた。サキドリのオープンと今後の発展が楽しみだ。

    (取材・文 : 充紀

    【基本情報】

    ■ Co-working&community サキドリ
    – 住所 : 京都市北区上賀茂葵田町1-8
    – 営業時間 : 09:00〜22:00(緊急事態宣言中等は要確認)
    – 定休日 : 年末年始・不定休(月3日程度)
    – 公式サイト : https://b-dream.sakura.ne.jp/home/
    – Twitter : https://twitter.com/b_dream_career
    – Facebook : https://www.facebook.com/coworkingSAKIDORI/

    この記事書いた人

    充紀

    職業フリーライター
    『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
    シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
    趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
    Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

    あじわいぽすと

    (画像提供)tastEAT

    フードロス削減活動を行っている学生団体『tastEAT』さんとフードロスの窓口『あじわいぽすと』を設置することになりました。

    「あじわいぽすと」とは、全国で余ってしまった食材を譲り受け、それを必要とするところへ届ける取り組みです。

    この名前には、食べ物を気軽に持ち寄って集まれるような場所をつくり、その食べ物を必要とする人へと結び、味わってもらいたいという気持ちがこめられています。

    あじわいぽすとの仕組みは、以下のようになります。

    1.生産地、お店、家庭などで余ってしまった食材をあじわいぽすとへ送ります。

    2.寄付していただいた「食」を、子ども食堂や福祉施設、学生を支援するNPO団体などに、あじわいぽすとが責任をもって届けます。

    あじわいぽすとの仕組み

    (画像提供)tastEAT

    私たち空き家バンク京都は、ロス食材の宛先となる場所を提供し、「空間」という面からサポートさせていただきます。

    これまで空き家バンク京都が運営するBBQテラスでは、第5回イベント「たべらぶる#じゃが」 、第7回イベント「おやさいじゅーす」が開催されました。

    第5回イベント「たべらぶる#じゃが」

    第7回イベント「おやさいじゅーす」

    「たべらぶる#じゃが」開催レポートはこちら

    私たち空き家バンク京都は人の“想い”を大切にしています。

    ただ空き家を活用するだけではなく、空き家の所有者、大家さんの想いを繋ぎ止め、次世代に残していきたいと思っています。

    空き家の活用、フードロスの削減、形は違えど想いを届けるという同じ考え方をもつtastEATさん。

    これからも全力でサポートしていきます。

    tastEATさんと空き家バンク京都代表鈴木

    あじわいぽすとに関するtastEATさんの記事はこちらからご覧いただけます。

    あじわいぽすとさんのTwitterはこちらです。

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      〒601-8407
      京都市南区西九条寺ノ前町3番地
      空き家バンク京都 お客様相談窓口 文通係宛

      2021年6月27日、空き家バンク京都のBBQテラスにて、フードロスの削減を目指す学生団体「tastEAT(テイスティート)」の第5回オフラインイベント「たべらぶる#じゃが」 が開催されました!

      (画像提供)tastEAT

      イベントの目的は、「形や大きさが悪い」「少し傷がある」といった理由で市場に出すことができず、廃棄されてしまっている「規格外野菜」のことを知ってもらうこと。

      今回のイベントで使用したのは、規格外で廃棄予定だったジャガイモ。ただ規格外というだけで、味はとっても美味しい収穫したばかりの旬じゃがです。スウェーデンの国民料理「ハッセルバックポテト」にして、美味しくいただきました。

      ハッセルバックポテトはジャガイモを丸々一つ使用する料理です。そのため、規格外とされてしまったジャガイモの形がよく分かります。規格外でも味わいは市販されているものと何ら変わらないということを、美味しく、楽しみながら感じられます。

      BBQテラスにはtastEATメンバーの学友や農業に関心を寄せる若者、お子さんを連れて来てくれたご家族など、さまざまな人たちが集まりました。 同じテーブルを囲んで美味しいジャガイモを食べていると、自然に参加者どうしの交流が生まれます。

      tastEATメンバーの方が活動内容や規格外野菜の現状について話してくれたり、来場してくれた方がITを導入した農業について語ってくれたり、その場にいるだけで農業やフードロスについての理解が深まる時間になったと感じます。

      学生団体「tastEAT」とは?

      (画像提供)tastEAT

      今回イベントを主催してくれた「tastEAT(テイスティート)」さんは、【おいしく楽しくフードロスを削減】をモットーに活動する学生団体。代表の安藤千菜美さん(同志社大学4年)がSNSで想いを発信したことをキッカケに、有志の大学生7人が集まり結成されました(※ 現在は8人で活動されています)

      所属メンバーは大学も住んでいる地域も様々。唯一の共通点は、『食』や『フードロス』に対する”想い”のみ。結成は昨年の9月とまだ日は浅いのですが、この短い期間に全国各地で5回のオフラインイベントを開催し、オンラインでもトークイベントやラジオ番組などを精力的に行なっています。

      第3回オフラインイベント「おやさいまふぃん@東京」にて
      (画像提供)tastEAT

      そんなtastEATさんは、その考えや数々の取り組みが評価され、環境省とフードシェアリングアプリ「TABETE」が合同で行うプロジェクト「 “No-Foodloss!” Youth Action Project」の選定事業にも選ばれているんです!

      それぞれの経験がフードロス問題を考えるキッカケに

      (画像提供)tastEAT

      フードロスに関心を持つようになったキッカケについて、代表の安藤さんは、次のように語っています。

      「私は以前、テーマパークや居酒屋さんで飲食のアルバイトをしていたことがあります。仕事の中で『お客さんが残した食べ物をゴミ箱に捨てる』という行為にすごく抵抗感があり、なんとかならないかな、と考えていました。

      そんな中、上海への中国語留学をして、日本と中国での文化の違いに驚きました。中国のレストランでは、残った料理を『お持ち帰り』できるのが当たり前の文化になっていたんです。日本でもこんなシステムが普及すればいいなと思ったのがキッカケとなり、この団体の立ち上げに繋がりました。」

       

      tastEAT代表 安藤千菜美 さん

      また、tastEATのメンバーのひとり一柳 翠さん (いちやなぎ みどり / 大阪府立大学3年)は、学生でありながらSDGs推進事業を行う「株式会社ネクストエージ」の代表取締役社長を務めています。そんな一柳さんは、代表の安藤さんとはまた違ったキッカケでフードロスに関心を持つようになったと話します。

      「私はアメリカに農業研修で留学へ行く予定だったのですが、このコロナの影響でなくなってしまって。それで、日本の農家さんにお願いして農業研修させていただくことにしたんです。

      農業研修を通して、思いを込めて丁寧に野菜づくりをする農家の方々の姿を見て、その大変さも実感して……。

      そんな中で、ただ見た目の問題だけで捨てられてしまっている規格外野菜がこんなにもたくさんあるんだってことを目の当たりにして、なんとかしたいと思うようになりました。

      また、一柳さんも農業研修後に飲食店でのアルバイトをしてみて、安藤さんと同様、その現状にショックを受けたと語ります。

      「私が働いていたお店では、お客さんが入る前に大量に作り置きしておいて、注文が入らなければ捨てるというのが当たり前に行われていました。農家さんや酪農家さん、漁師さんなど、さまざまな人たちが手間暇かけてくれたおかげで食べることができている私たちの食材が、捨てることを前提に使われてしまっているという現状にショックを受けました。

       

      tastEATメンバー 一柳翆さん

      このように、メンバーそれぞれが強い想いを持って自発的に集まり行動している。そして、【走りながら考える】という方針のもと、実際に行動してトライ&エラーを繰り返しながら学び続けている――。そんなスピード感と行動力を武器に、tastEATさんは「世の中にフードロス問題への関心を向けてくれる人が少しでも増えるように」と、日々活動を続けています。

      tastEATの今後の活動

      (画像提供)tastEAT

      そんなtastEATさんは、月1回のオフラインイベント開催を目標にしており、7月には東京で、8月は再び京都でオフラインイベントの開催を予定しています。

      7月の東京イベントでは、前回好評だった【おやさいまふぃん】がさらにパワーアップして戻ってきます! こちらももちろん、規格外野菜を使用したものです。食品衛生基準やネット販売のルールも満たしていて、今後は通販購入できるようにと準備を進めているそうです。

      【おやさいまふぃん】5月開催時の告知より
      (画像提供)tastEAT

      また、8月には再び空き家バンク京都のBBQスペースにて【おやさいじゅーす】のイベントを開催予定です! さらにその後も、空き家バンク京都と共同で「子ども食堂」イベントなどを計画しています

      さらにオンラインでも、tastEATメンバーと一緒にフードロス問題を考えるトークイベント『食べトーーク』や、フードロスの専門家をゲストに招いてのZOOMラジオ放送『食べラヂオ』などを今後も開催していく予定です。

      『食べトーーク! vol.1「お店」と「ロス」』(2021年5月8日)
      (画像提供)tastEAT

      フードロスの問題やSDGsに関心のある方、自発的に活動する若い世代を応援したい方、あるいは同じ学生としてtastEATさんのお話聞いてみたいという大学生の方、などなど、ご興味を持たれた方はぜひ、7月、8月のイベントやオンラインの「食べトーーク」「食べラヂオ」に参加してみてはいかがですか?

      ― 取材・文・写真 : 充紀(フリーライター/空き家バンク京都アンバサダー)

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      この記事書いた人

      充紀

      職業フリーライター
      『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
      シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
      趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
      Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

      空き家バンク京都(YADOKARI)は、やりたいことを仕事にしたい、現状を変えたい、フリーランスになりたい、自分の店舗を持ちたい、などなど、何かに挑戦したいという想いを持った方々を応援しています。

      「フリーランスとして、場所や時間に縛られず自由に働きたい」
      「好きなイラストを仕事にしたい」
      「古民家カフェを経営したい」
      「独立起業へ向けて、生活コストを抑えて資金を貯めたい」

      このような想いを持っているなら、ぜひ僕たちと一緒に夢へ向けて一歩踏み出してみませんか?

      空き家バンク京都ができること

      空き家バンク京都は、空き家の補修・活用やシェアハウス事業「YADOKARI」の運営など、さまざまな活動をしています。そんな空き家バンク京都では、

      • シェアハウスや賃貸物件を低予算からご紹介
      • 実店舗のご紹介、低予算からの改修・改装、店舗運営のサポート
      • 家賃に関するご相談や、給付金などの申請サポート

      などの「住」に関することを中心としたサポートが可能です。

      また、それだけではありません。僕たち「空き家バンク京都」を、 あなたの今後の活動に向けたステップアップのための場所にして頂けたらと考えています!

      空き家バンク京都が提供できる具体的なメリット

      もっと具体的な話をしてきます。空き家バンク京都は、具体的に次のようなメリットをご提供できます。

      ① シェアハウスなら初期費用と毎月の固定費用が抑えられる! だから挑戦の幅も広がる!

      シェアハウス石田森東

      空き家バンク京都(YAODOKARI)のシェアハウスは、全物件初期費用無料・家具家電付きですので、お金に余裕がなくてもすぐに住み始めることができます。

      しかも家賃と管理費の中に水道・電気・ガス・インターネットの代金や、洗剤・トイレットペーパーなどの消耗品代も含まれていますので、賃貸物件での一人暮らしと比較したら毎月の固定費をかなり節約できるはずです!

      固定費を下げることで、今までよりアクティブな挑戦が可能となるはずです。もちろん、コツコツと貯金して独立資金を貯めるのにもうってつけです。

      ② スキル交換による家賃免除。未経験でもローコスト・ローリスクで実践経験と実績を積める!

      シェアハウス京都駅ビルの入居者と一緒に現場作業

      シェアハウス入居者さまのご希望があれば、お持ちのスキルを活かして家賃の減額・免除が可能です。

      ライティング、イラスト、Webデザイン、動画編集などなど、Web系スキルを活かして弊社Webサイトのコンテンツ作成をしていだいたり、クロスの張り替えや塗装などの現場系作業をお手伝いしていただいたり、何かお持ちのスキルが活かせるのならぜひご相談ください!

      現在学習中で、実践経験がなくても意欲さえあれば大丈夫です。空き家バンク京都を学んだ知識の実践の場、経験を積む場にしてください!

      納品していただいたコンテンツは弊社で利用させていただくだけでなく、ご自身の製作実績・納品実績として、営業や転職活動の自己PRにご活用いただけます。

      ③ 現役フリーランスや大手企業の正社員エンジニアも在籍。交流から学べる!

      シェアハウスに入居を希望される方の中には、合理的でミニマルな暮らし方を求めている方が多くいらっしゃいます。

      弊社のシェアハウスにも、フリーライターとして場所と時間を選ばないノマド的な働き方をしている方や、転職や独立を見越して着々と資金を貯めている大手企業社員の方など、色々な方が入居されています。

      シェアハウスという新しいコミュニティの中で刺激を受け合うこともあるかも知れませんし、他物件でもお仕事上で面白い関係が築けそうな方同士を僕たちの方でお繋ぎできることもあります。

      ちなみに、ここ最近ちょうどそのような問い合わせ・実例が増えてきており、今後さらにそのような機会を増やしたいと考えております!

      ④ 実店舗を持つことも! 費用面の相談や運営のサポートもOK♪

      京都駅近くのレンタルスペース「BBQ TERRACE KYOTO」

      弊社は京都市を中心にたくさんの空き家を管理しており、店舗として使用できる物件もあります。空き家バンク京都はこれまでにたくさんの空き家改修・改装の実績があり、家賃・初期費用をかなり抑えて実店舗をスタートすることも可能です!

      「カフェやショップのお店を持ちたい」「シェアハウスやゲストハウスを運営したい」などなど、空き家を活用したビジネスをしたいとお考えの方もぜひご相談ください!

      ⑤ 面倒な「住居確保給付金」の申請を完全サポート。実質家賃ゼロも可能!

      昨今の新型コロナウイルスやその他の事情によって職を失ってしまったり、収入が大きく減少してしまったりといった方が急増しています。

      京都市では、そんな方々を対象に「住居確保給付金」の支給を行なっています。「住居確保給付金」を利用すれば、原則3ヶ月(最大9ヶ月)の間、家賃相当額(最大40,000円)が自治体から支給され、家主さんに直接支払われます。

      先行きが見えない現状で大変ありがたい制度ですが、手続きには決められた書類を揃える必要があり、申請が少々煩雑で面倒なことも事実です。

      空き家バンク京都では給付金申請書類の作成・申請の完全サポートを行っていますので、煩雑な手続きもスムーズに、ノンストレスに行うことができます。

      給付金を利用できれば毎月の固定費は管理費分程度(1万2千円前後)に抑えられますので、転職や開業の準備も安心して進めることができますね!

      想いが重なることなら、なんでも一緒に挑戦しましょう!

      そもそも、僕たち「空き家バンク京都」自身、まだまだ規模も小さい"チャレンジャー"の立場です。そんなチャレンジャーの立場として、これから間違いなく社会に必要とされていく「空き家活用」の分野で、ぼくたちは活動の幅を広げて成長していきたいと考えています。

      そんな発展途上の僕たちだからこそ、是非ともお力を貸していただき、相乗効果で一緒に成長していけたらと考えています!

      年代・国籍や職業などは問いません。僕たちとどこか想いが重なり、またご自身の夢に向けたステップとしても僕たちをご活用していただけるのであれば、是非僕たちと「互いにメリットのあるWin-Winな関係」として、一緒に活動してみませんか?

      この記事書いた人

      充紀

      職業フリーライター
      『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
      シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
      趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
      Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

      「空き家問題」という言葉を聞くようになって久しい。少子高齢社会を背景に、空き家問題は全国的に深刻化し続けている。

      現在、空き家の数は全国で850万戸にものぼると報告され、これは全戸数の13.6%にあたる。つまりは、"7戸に1戸以上が空き家"というわけだ(※ データは総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」より)。

      空き家問題はこの通り全国的な問題だ。しかし「その中でも京都市は"特異な立場"であり、だからこそ全国に先駆けて空き家問題に取り組むべきだ」と語るのが、空き家バンク京都の代表・鈴木一輝だ。

      空き家バンク京都代表

      鈴木 一輝

      1988年生まれ。京都産業大学卒。宅地建物取引士。1級空き家管理士。空き家ビル、空きテナントを滞在型施設に活用する新規事業に支配人を務めた経験を経て、2016年に空き家バンク京都の前身として「百代家」を立ち上げる。その後、「空き家バンク京都」に改名し、空き家の改修・再生、シェアハウスや宿の運営・管理、テナント業などを行う。

      そんな京都市の空き家問題について、詳しく話を伺った。

      (取材・文 : 「空き家バンク京都」アンバサダー・充紀)

      ⦅京都独自の背景から解決が難しい京都市の空き家事情⦆

      データで見てみると、京都市内の空き家数は約11万戸。割合にすると、全国平均をやや上回る程度の14%。数値を見る分にはそれほど特異な状況とは思えず、全国にはもっと深刻な地域があるように思える。しかし、「実情はそうでない」と鈴木は語る。

      鈴木 : 実は、京都市内にはデータに載っていない"隠れ空き家"がかなりの数存在するのです。京都市に昔から長く住んでいらっしゃる方たちの中には、誰も住んでいない家でも「空き家ではない」と主張する方が多いのです。というより、本人は「倉庫として利用している」とか「将来直して住む予定がある」といった考えを持っていて、「だからその家は空き家ではない」と心から思っている方が多い印象です。

      また、京都人の文化的な背景もありそうです。京都市に昔から住む方たちは、ご近所の付き合いを大切にされています。でもそのぶん、ご近所の目を気にしやすいところがあるのです。だから、「テナント募集」や「売出し中」という看板をつけることを嫌う大家さんがすごく多いと感じます。これも京都に"隠れ空き家"が増え、活用されにくくなっているひとつの理由かと思います。

      データには現れない"隠れ空き家"。京都市の本当の空き家率は20%以上とも、25%以上とも言われているそうだ。さらに、もっと深刻な問題がある。京都市には「どうすることもできず、ただ放置されている」空き家の割合が多いのだ。

      鈴木 : 京都の空き家の中には、京都市が「京町屋」として歴史的価値を認めている家屋が多いです。大家さん自身もその価値は感じていて、だから潰すことはできない。でも、老朽化してしまった京町屋を活用できる状態まで再生するにはかなりのお金がかかります。一般的に、京町屋の改修を工務店に依頼すると、費用は1,000万〜1,500万円ほどかかると言われています。

      同様に、活用したい人に貸したり売却したりする場合も賃貸料・購入費用が高くなりますし、その上多額の改修費用がかかります。そのため、好立地でもない限り借り手・買い手がなかなか見つからないのです。

      京町屋を潰したくはない。ここには、単に「歴史的な建物を保存したい」という気持ちだけではなく、「京都の地で代々受け継いできたものを守りたい」「思い出が残るあの家を潰したくない」といった想いも加わる。

      京町屋を潰さずに守っていく。そうであれば、自分で住むにしても、貸し家やテナントにするにしても、空き家問題を解決するには「高額な改修費用」をなんとかしないといけないのだ。

      ⦅「まずは安く直し、実際に動かし始める」ことが第一歩⦆

      現実的に、1,000万円以上の費用をかけてまで「どうしても京町屋にこだわりたい」という人は少ないし、かけたくてもかけられない人だって多い。だからこそ、はじめから完璧を目指さず、「まずは安く直し、実際に動かし始める」ことが大切だと鈴木は語る。

      鈴木 : 京町屋の改修・再生には、先ほどもお話しした通り1,000万〜1,500万円くらいかかるのが一般的な相場です。しかしやり方さえ知っていれば、工夫の次第で200〜300万円ほどの費用でも、実際に活用可能な形まで再生することができるんです。

      もちろん、京町屋の冷えやすい構造への対策として床暖房を張るとか、現代風の使いやすい構造に内装を作り替えるとか、そこまでの大幅改装は難しいです。でも、必要な補修を施し、床や壁を張り替え、普通に生活できる物件にしたり、お宿やシェアハウス、飲食店など、事業に活用できるだけの物件に仕上げることは十分できます

      空き家バンク京都では、手に余らせている空き家をお預かりし、実際に再生してさまざまな形で活用させています。例えば、伏見稲荷大社からほど近くの囲炉裏茶屋『ななころびやおき』さん。

      『囲炉裏団子屋 ななころびやおき』さん 改修後

      鈴木 : こちらはボロボロの倉庫だった長屋を改修し、和風モダンな店舗に再生しました。こちらの改修にかかった費用は300万円ほどです。

      ななころびやおきさんビフォー

      『囲炉裏団子屋 ななころびやおき』さん 改修前の倉庫の様子

      空き家バンク京都が手掛けた物件は、そのほとんどが300万円以下の費用で改修されており、実際にいまカフェやシェアハウス、お宿などとして利用されている。

      空き家バンク京都が運営するシェアハウス『シェアハウス上横縄町

      少ない予算の中で工夫して再生することで、その空き家が持ち合わせていた"京町屋らしさ"が残され、それがむしろ物件の魅力ともなっている。そして、そんな京町屋を活用したいという人が、本当はたくさんいるのだと鈴木は語る。

      ⦅京町屋を活用したい人は確かにいる。適切に"想い"を繋ぐ⦆

      京町屋の雰囲気を活かしたギャラリーを作りたい。京都の空き家を使って古民家カフェをやりたい。あるいは、ボロボロの古民家を自分で直して、自分好みにDIYして住んでみたい……。そんな想いを持った方が年々増えてきている。

      鈴木 : この10年、20年の間で、日本の社会も、人々の価値観も大きく変わっています。特に昨今のコロナが、人々に大きな価値観の変化を与えていると強く感じます。そんな中で、便利になった今の時代だからこそ昔ながらのものに魅力を感じ、その良さを残していきたいと思う方、伝えていきたいと思う方が増えているんです。でも、費用の問題でその夢に、想いに動き出せない方たちが……。

      だから、そんな京都が好きで、京町屋が好きで、きっとその物件を大事にしてくれるだろう方たちに、手に余らせてしまっている空き家を繋いでいきたい。そして、そんな方たちの想いが叶い、それがその先も長く続いていくように、サポートしていきたい。ぼくたち空き家バンク京都はそう願っています。

      鈴木は、以前のインタビューでも次のように語っている。

      僕たちは、人の “想い” を大事にしています。空き家となってしまった物件には、家族の想いが残されています。「家族との思い出が詰まった家だから」とか「おばあちゃんの仏壇があの家には残っているから」といった理由で動かせないままになっている物件も多いんです。そんな大家さんの想いを繋ぎ止め、次世代に残していく仕事が僕はしたい。

      (中略)

      だから僕たちは空き家を改修・再生するとき、必ずどこかしら元の家の要素を残します。やはり直せば、全体の姿かたちは変わってしまうかもしれない。でも、どこかに必ずその家の呼吸が生きていて、その家が紡いできた歴史が、思い出が、次の世代へと引き継がれる。そんな想いを持って、僕たちは空き家の再生にあたっています。

      「負の遺産」と言われる空き家を再生・活用。京町屋に残された “想い” を次世代に繋ぐ「空き家バンク京都」より

      改修をしてしまえば、確かにその家の形は変わってしまう。でも、直すべきところを直して、誰かが使ってあげることで、次の世代に残していけるものがある。

      鈴木 : 実際、ぼくたちが物件をお預かりして改修し、シェアハウスとして運営している物件に、以前その家に住んでいた方が「昔の我が家をひと目見てみたい」と訪れてくださったことがありました。内装自体は大きく変わりましたが、かつてのままである間取りの様子、あえてそのまま残した玄関や床の間を見て、かつての自宅の面影を懐かしんでくださいました。

      家は、使ってあげてこそ輝きます。使ってあげるからこそ残すことができ、その家に残されたものも想いも、次の時代へと繋がっていくのでしょう。

      ⦅京都から全国へ、空き家活用のモデルケースを⦆

      空き家バンク京都が運営するお宿『Takasegawa suites

      少子高齢社会が進み続け、しかも住宅の供給過多となっている日本では、これからも空き家が増えていくのは必然だろう。

      でもそれと同時に、「地方の良さ」や「昔ながらのものの良さ」も見直され始めている。また、リモートワークや多拠点生活など新しい働き方が生まれ、シェアハウスやコワーキングスペースなどといった「空間をシェアして利用する」新しい文化も一般的なものとなりつつある。これらは空き家の有効活用の方法としても非常にマッチするものだろう。

      鈴木 : これから何か新しく事業を始めたち方にとって、空き家は魅力的な選択肢なんです。朽ちてしまった京町屋を再生して活用する場合、固定資産税などがかなり安く済みますし、行政の補助金も受けられます。大きな初期投資さえ避けられれば、基礎体力のある事業が作れるんです!

      ぼくたち空き家バンク京都は自分たちで実際に改修・再生を手がけ、シェアハウスやお宿など事業を運営してきました。低予算で改修するノウハウも持っています。

      だから、「空き家で何かをやってみたい」という方には改修から運営まで一通りのサポートをすることができるんです。もちろん、費用面もできる限りの協力をさせていただきます

      そうして想いを持った方が空き家を再生し、やりたかったことを実現する。空き家を活用することで、歴史ある京町屋が息を吹き返し、次の時代へと繋がっていく。

      空き家バンク京都の活動はまだまだ小さなものでしかありませんが、ぼくたちの活動が空き家の再生利用のモデルケースとなり、京都中、日本中に広がっていくようになれたらな、と思っています

      (取材・文 : 「空き家バンク京都」アンバサダー・充紀)

      この記事書いた人

      充紀

      職業フリーライター
      『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
      シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
      趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
      Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

      コロナ禍が続く2021年現在。リモートワーク、在宅ワークなどが一気に普及し、働き方・暮らし方の多様化が進んでいます。そんな背景の中、若者を中心に「田舎暮らし」への関心が以前よりも高まっているようです。内閣官房が実施した都内在住者へのアンケート調査では、約5割もの人が地方圏での暮らしに関心ありと回答しています。

      京都市のとなり、四方を囲む山々や保津川などの豊かな自然に囲まれた京都府亀岡市もいま、田舎暮らしを希望する人たちからの注目が高まっている地域のひとつ。

       

      「移住に関する問い合わせは年々増えていて、近年では年間300件ほど電話やメールをいただいています。また、『実際に亀岡市を見てみたい』という方への市内案内もご希望が多く、毎週のように実施しています。」

       

      そう語るのは、亀岡市ふるさと創生課の係長・荒美大作(あらみ だいさく)さんです。

       

      空き家バンク京都では、亀岡市内で現在唯一のシェアハウスである「シェアハウス亀岡」を運営しています。入居者のひとりが荒美さんに市内案内をしてもらったというご縁からこの度、荒美さんにお話を伺う機会を得ました。

      市の職員として精力的に亀岡市のPRをされている荒美さんに、亀岡市のことや移住の状況、田舎暮らしについてなどを語っていただきました。

      ― 取材 : 空き家バンク京都 代表 鈴木一輝、ライター 充紀
      ― 文 : ライター 充紀

       

      移住希望者のほぼ100%が家庭菜園を希望。自然豊かな亀岡市

      かつて、「本能寺の変」で有名な明智光秀の拠点「丹波亀山城」があった亀岡市。大自然に恵まれ、京都・嵐山からの「トロッコ電車」や、年間約30万人の観光客が訪れるという「保津峡下り」などが有名です。

       

      四方を山に囲まれている亀岡盆地では、冬場は「丹波霧」と呼ばれる深い霧が頻繁に発生することから「霧の都」とも呼ばれています。

       

      上の写真の撮影場所、丹波霧の雲海を見渡すに最適な「かめおか霧のテラス」から晴れた日の市内を見渡すと、市街地以上に広大な田畑が一望できます。

      「かめおか霧のテラス」から見下ろす市内の風景

       

      そんな自然豊かな亀岡市。年間300件ほどあるという移住希望者の問い合わせは、「家庭菜園がしたい」という方がほぼ100%近いといいます。

       

      「家庭菜園で自分で食べるものを自分で作ってみたいなど、いわゆる”丁寧な暮らし”を求めて移住を検討される方が多いのかなと感じます。都会の喧騒を離れ、自然豊かなこの地で、これまでとは違った新しいライフスタイルを求めている方がほとんどです。」

       

      移住希望の問い合わせには、大きく2つの層がある。そう荒美さんは語ります。

       

      「まず1つは30代半ば~40歳くらいで、お子さんが小学校にあがる前の方たちです。自然の中でのびのびと子育てをされたいという思いを持った方も多いですね。

      もう1つの層は、定年退職を終えた60歳以上の方たちですね。老後は田舎暮らしを楽しみたいという想いで亀岡の地を見にくる方が多いです。

      また、ここ最近の特徴として、20代の方からの問い合わせも少しずつ増えていると感じますね。」

       

      大自然溢れる亀岡市ですが、実は京都市内へは電車でたった20分ほど。京都市や大阪への通勤にも便利な立地で、実際、亀岡市居住者の就業人口の約4分の1は京都市内で働いているといいます。

      大自然での田舎暮らしと都市部への容易なアクセス。両方とも手に入ることも亀岡市の魅力のひとつなのです。

       

       

      家庭菜園をしながら古民家暮らし。そんな生活に憧れる方が多いが……

      そんな亀岡市への移住。希望者の方の中には「古民家」を求める方が多いという。

       

      「やはり、古民家は人気ありますね。家庭菜園付きの古民家で暮らしたいという方はとても多いです。」

       

      しかし……。荒美さんは続けます。

       

      「しかし、古民家はなかなか難しいというのが実際です。まず、古民家がなかなか出てこないんです。それに出てきてもそのままでは生活しづらく、改修費用も大きくかかってしまうということもあります。」

       

       

      古民家がどうして出てこないのか。荒美さんの話す内容は、まさに空き家バンク京都が京都市でぶつかってきた状況と同じでした。

       

      「1つは、仏壇が置きっぱなしになっていて動かせない。1つは、荷物が置きっぱなし。そして、親族やご近所さんへの”体裁”というのも大きいですね…..。昔から所有している物件を手放すとなると、ご近所の方への ”世間体が悪い” という意見が亀岡でも大きいです。

      物件をただ売ったり貸したりするのではなく、『若い世代の呼び込みのため』や『農家を継ぎたい人のため』など、何かしらの“社会的意義”を付加できると大家さんも気兼ねなく手放しやすいのですが……。」

       

      また、大家さんと移住者との間で希望のミスマッチもあるといいます。

       

      「空き家の大家さんたちとしては、“売りたい”、”手放してしまいたい”と思っている方がとても多いです。それに対して、住みたい方は“借りたい”と考えている方が多く、そのミスマッチも大きなネックとなっていますね……」

       

      “移住希望者の想いにマッチするものを提供したい” ― 亀岡市の取り組みと「空き家バンク京都」の今後の展望

      とはいえ、市の数々の取り組みも功を奏し、亀岡市に移住される方は着々と増加しています。亀岡市が平成28年から運用している「空き家・空き地バンク制度」を通じてのマッチングも数多く成立しているといいます。

       

      「運用開始から5年間で100軒弱の空き家が登録され、そのうちの80軒ほどは既にマッチングが成立しました。空き家を見たいという方は多くて空き家が足りていないくらいなので、もっと空き家を手に余らせてしまっている方に対して『空き家バンク』の認知と利用促進を強化していきたいですね。」

       

       

      また、空き家バンク制度だけでなく、亀岡市では移住促進のための助成金を数多く設けています。例えば、亀岡市への移住するために取得した空き家の改修費用などを最大180万円も補助してくれる「移住促進住宅整備事業」や、空き家所有者が売却や賃貸をするために家財等の撤去をする際にかかる費用を最大10万円補助する「空家流動化促進事業」などがあります。

      (参考 : 移住促進特別区域内の空き家活用などへの支援について | 亀岡市公式サイト

       

      それだけではありません。移住を前向きに検討されている方には、市のふるさと創生課の職員自らが丁寧に無料亀岡案内を実施していますし、定期的なオンラインイベントの開催などもしています。

      コロナ前なら、1泊2日の「移住体験ツアー」の実施などもしており、ツアー参加者が実際に移住されるなど、しっかり成果をあげています。

       

      「やはり、”田舎暮らしをしてみたい” とは思っていても、いきなりだと踏み切れない方も多いですからね。このツアーでは、実際にお宿を泊まりながら空き家バンクの登録物件を見てみたり、その近所に住む方と交流したり、先輩移住者さんからお話を聞ける時間を設けたりもしています。

      このように、泊まりがけで時間をかけつつ、実際に田舎の暮らしを ”体験してみる” ことはとても効果的なのかな、と感じています。参加者さんたちの反響もとてもよかったのですが、第2回の計画中にこのコロナの状況になってしまったので、また時期をみて実施したいですね。」

      (参考 : 京都・亀岡の暮らしを訪ねる移住体験ツアーレポート | 京都移住計画)  

       

      「そういう意味では、空き家バンク京都さんのシェアハウスができてくれたことはすごくありがたいと感じています。シェアハウスは気軽に入居しやすいですし、亀岡での暮らしを”お試し” する場所としても効果的なのかな、と思っています。」

       

      そんな荒美さんの話を受け、空き家バンク京都の代表・鈴木はこう語ります。

       

      「今日の荒美さんのお話を伺い、自分の目で市内各地を回ってみて、自分たちがいま提供しているシェアハウスは”希望者さんたちが求めるもの”とはちょっとマッチングできてなかったな、と感じています。西洋風な物件ですし、家庭菜園ができるようなスペースもありませんし……。

      でもお話を聞いて、ぼくたちがお力に慣れることも大いにあるとも感じます。ぼくたちならこれまで京都市を中心に培ってきた経験を活かして古民家の取得や低予算での改修をすることができるはずです。

      家庭菜園付きの物件や昔ながらの古民家を掘り起こして、移住希望の方にお貸ししたり、新たなシェアハウスを作ったりといった活動を今後考えていきたいですね。」

       

      空き家バンク京都が運営する「シェアハウス亀岡」にて語る代表・鈴木

       

      今回、亀岡市役所の荒美さんとお会いできたのも大きな縁です。今回はお伝え仕切れなかった面白いお話もたくさんお伺いすることができて、空き家バンク京都の亀岡市での活動も具体性が高まりました。

      空き家を余らせていてお困りの方、あるいは亀岡の地で新たな生活をしてみたいとお考えの方たちのお力になれるように、活動の幅を広げていきたい。そんな想いが高まる取材となりました。

      ― 文 : ライター 充紀

      この記事書いた人

      充紀

      職業フリーライター
      『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
      シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
      趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
      Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

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      「ぼくがヨーロッパで見たのは、そこにいる誰もが “思い想いの豊かさ” を享受している風景でした。それが実現できるような、”開かれた場所” をこの長屋で実現したいんです」。

      そう語るのは、国立 京都工芸繊維大学の大学院生・柳沢大地さんだ。柳沢さんはいま、京都・三条の腐朽した長屋の改修・活用に名乗りを挙げ、クラウドファウンディングを企画している。その場所に作ろうとしているのは「地域に開かれた工作室」だ。

      「地域に開かれた工作室」とはどんな場所なのか。また、このプロジェクトはどんなきっかけで生まれ、どんな経緯を歩んでいるのか。そして、どんな想いが柳沢さんを動かしているのか。その内に秘めたものを伺った。

      柳沢大地

      長野県松本市出身。1997年生まれ。千葉大学工学部建築学科を卒業。大学では「歴史的建造物の調査・修復・保存」などを研究。現在は京都工芸繊維大学の大学院1年生。

      また、商品化を前提にしたプロダクト等を募集する「第13回 シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション(SNDC)」に同期の石川草太と応募。約1,300点もの応募作品のグランプリを受賞している(→ SNDCインタビュー)。

      腐朽した長屋の再生・活用。スタートは個人的な小さな計画だった

      京都市中京区・三条大橋

      京都市のランドマークのひとつ「三条大橋」から徒歩5分ほど。知らなければ見過ごしてしまうような細路地の奥。まるで隠れ家のような空間で柳沢さんたちのプロジェクトは進行している。推定築100年、老朽化した長屋を基礎から改修し、新しい地域交流の場をつくろうとしているのだ。

      左右2軒ずつ、4軒の長屋が佇む路地奥

      かつて庶民の生活の中心であった長屋は、どこか素朴で親しみやすい雰囲気をいまに残している。そんな長屋特有のよさを壊さないように改修し、未来に建物を残していきたい。そう柳沢さんは語る。

      「改修には、既存の構造をできる限り大切に残しながら改修を行う、伝統的な構法を使っています。たとえば、腐ってしまった柱の補強には、木と木を直列につなぐ『腰掛け鎌継ぎ』という構法を用いています。このような技術は専門家の方々にご協力のもと、学ばせていただきながらプロジェクトを進めています。」

       

      「腰掛け鎌継ぎ」により補修した柱。釘やビスなどは一切使用していない

      しかし実のところ、最初はいま計画しているような大掛かりな改修工事は予定していなかったという。

      「もともとは、内装を自分好みにDIYするだけのつもりでした。自分の居住スペースにギャラリー併設するくらいの予定だったのです。大学時代、古い建物の保存活動に参加していたこともあり、『自分で古民家を好きなように改修して住んでみたい』という想いがありました。」

      しかし、いざ空き家探しをはじめてみると、計画は出鼻から挫かれた。

      「そもそも、自由に改修できる物件が見つからなかったんです。大きな検索サイトに載っている空き家はどこも『原状回復義務』があり、DIYは制限されています。そんな中で偶然見つけたのが『空き家バンク京都』さんです。投稿を見て、『ここならもしかして……』と思い、代表の鈴木さんに電話しました。」

      挫折の連続からのスタート。助けられたのは想いを持った人たちとの出会い

      鈴木とは想いが重なるのを感じ、すぐに意気投合したと、柳沢さんは話す。

      「鈴木さんは『京都の風情ある古民家をちゃんと再生利用してあげたい』という想いを持って活動されている方でした。さらには、『空き家で何か新しくチャレンジしたいと思っている人を応援するような仕事がしたい』とも語っていました。

      話は盛り上がり、内見したその場でこの長屋を借りることに決めました。鈴木さんが『自分が思う通りに、好きなように改修してほしい。家賃も改修が終わって活用しはじめてからで大丈夫だよ』と言ってくださったのも、大変ありがたかったです。」

         

      柳沢さんが借りた長屋。改修工事を始める前の様子

      しかし物件が決まったあとも、思うように事は進まなかった。いざ壁や畳を剥がしてみると、柱が何本も腐っていたのだ。建物の状態を見ていただいた京都建物安全管理協会の見解は、「すぐにでも改修しないと、倒壊の恐れもある」とのことだった。

      「正直、ここまで状態が悪いとは思っていなかったです。いくら建築を学んできたとはいえさすがにどうしようもなく、当初は途方に暮れるしかなかったです……。」

       

      腐っていた部分を取り除いた柱の様子。地面に到達していないことがわかる

      状況を変えるきっかけとなったのは、同じ路地奥で別の長屋改修を進めている人たちだった。この路地裏では現在、柳沢さんも含めて4軒の長屋改修が同時期に進んでいる。

      「お隣の長屋では、二条で町屋カフェ『まつは』を経営されている西村さんが、母校である京都建築専門学校の校長・佐野先生や専門学生さんたちとともにシェキッチンへと改修工事を行っていました。

      路地をはさんだ向かい側も、1軒はカフェに、もう1軒は京都芸術大学の学生さんがアートギャラリーに改修しています。

      西村さんや佐野先生、改修にあたっていた学生の皆さん、さらに久保工務店の棟梁・久保亮太さんなど、路地奥のスペースに交流の輪が広がっていきました。」

       

      三条の路地奥に広がるコミュニティ

      多くの人たちとの出会いの中で生まれた思考の変化。周りを巻き込んで大きなプロジェクトへ

      同じ場所で、同じ時期に、自分と同じように長屋改修に取り組む人たちとの交流。それぞれ目指すものは違っていても、そこに集まった人たちはみな同じように「京都の歴史ある長屋・町屋を再生したい」という想いを持って動いている。そのような環境の中で、柳沢さんは「自分の考えにも変化が生まれた」と話す。

      「はじめはひとりで始めたこの改修も、いまやぼくひとりの力では実現し得ないものになっています。佐野先生や久保棟梁のご協力のおかげで改修の方針が立ち、さらには学生のみなさんが作業を手伝ってくださるようになりました。みなさんのおかげで、ぼくのプロジェクトはいま前進できています。」

       

      協力して下さっている学生たちとの一枚

      「だから、この路地奥で生まれたこのコミュニティ、この場所の雰囲気を改修後も残していきたいと思ったんです。そのために最適な場所へ、この長屋を活用したい。」

      そんな考えの変化から生まれたのが、「誰でも自由な使い方ができる、地域に開かれたシェア工作室」というアイデアだ。

      完成予想図

      シェア工作室は柳沢さんの創作スペースになると同時に、地域交流の場でもあり、ふと訪れた誰かのための場所でもあるという。柳沢さんは次のように語っている。

      「例えるなら『原っぱ』のような場所です。原っぱには絵を描いてる人もいるし、昼寝してる人もいるし、サッカーして遊ぶ子供たちもいる。そんな、自由な使い方ができる寛容な場所を作りたいと思ったんです。」

      柳沢さんの心に残る原風景。ヨーロッパ一人旅で感じたもの

      原っぱのような場所。その言葉の奥にあるものを、柳沢さんは次のように語る。

      「ぼくは19歳のとき、1ヶ月のヨーロッパ一人旅をしました。バックパックひとつ背負って格安宿を回ったり、ときには野宿したりするような貧乏旅行でした。でも、その旅はぼくにとってかけがえのない原風景となっています。

      この旅の中で、ぼくはパリやジュネーブ、バルセロナ、ミラノなどさまざま場所を周りました。そこでぼくが目にしたのは、のびのびとしていて、自由に暮らす人たちの姿です。

      路上で好き勝手にギターを弾いている人がいれば、それに合わせて踊り出す人がいる。川縁で昼寝をする人もいるし、いろんな人たちが自由に出入りする教会。言うならば、“人々が街に住んでいる”ような風景です。そして、それらがすべて“いたって普通なこと”として受け入れられていたんです。これは、日本で生まれ育ったぼくにとって、衝撃的なことでした。」

       

      フランス・パリの公園で撮った一枚

      日本の都市は便利だし、経済的にはとても豊かだ。それなのに、どこか息苦しさを感じることはないだろうか。「日本の公共の場は、どこにいても常に誰かの目があって、“誰かに決められた見えないルール” に縛られている」ような感覚があると、柳沢さんは語る。

      「ぼくがヨーロッパで目にしたのは、もっと自由で寛容で、人々が “思い想いの豊かさを享受した風景” だったんです。そんな場所を、そんな環境を、日本の中につくっていきたいんです。」

       

      フランス・リオンの街で描いたスケッチ

      豊かさを育むのは「主体性」と「ゆるやかな繋がり」。工作室に込めた想い。

      どんな人も自由に使える、寛容な空間。しかしなぜ「工作室」にしたのだろうか。

      「”自由な場所”って、実は誰にでも優しいわけではないと思うんです。学校や会社といった組織の中で生活し、娯楽にもまったく不自由しない日本の都市で育った大人たちにとって、いきなり『さあここでは何をしてもいいですよ。自由に好きなことをしてください!』と言われても困ってしまう方が多いのではないでしょうか。常にやるべきことが与えられ、どこかに行けばサービスを受けることが当たり前となり、主体性が失われてしまっているように感じるんです。

      “ぼくはこれを作りたい”、“私は本を読みたい”、“俺はいま昼寝がしたいんだ”、“ぼくはいま手がけている仕事をどんどん進めたい!”

      本当は、誰しも胸の中にこのような気持ちを持っているはずです。だって、子供の頃は誰しも普通に表現できていたはずですから。いま自分が何をしたいのかちゃんと感じとって、それを実行する「主体性」が、自由を楽しむためには必要なんだと思います。」

      しかし……。柳沢さんは続けます。

      「でも、それだけだと楽しみを長続きさせるのは難しいかもしれません。それだけだと、やっぱり孤独なんです。

      ぼくは、『ものづくりを介した間接的なコミュニケーション』に救われました。自分の描いた絵を見知らぬ誰かがほめてくれたり、会ったこともない人が作った音楽に深く感動したり。あるいは、誰かと一緒にひとつの作品を作り上げる経験とか。

      ものづくりって、『循環』を生み出す行為なんです。自分が作ったものが、誰かに届いて何らかの価値を与える。その中で人と人のゆるやかな繋がり、コミュニケーションが発生する。そんな体験を通して、社会全体の循環構造が学べ、主体性も育ちます。

      そんな、人と人とのゆるやかな繋がり、小さな循環が生まれる場所に、このシェア工作室を育てていきたいと思っています。」

       

      柳沢さんがその先に見るもの

      「この工作室は、ふだんぼくが家具を作ったり、絵を描いたりする場所になりますし、近隣の人が壊れてしまったものを直しにきたり、子供たちが工作で遊びにきたりする場所になります。それと同時に、作家や学生が作品制作をしにくる場所でもあるし、誰かがちょっと立ち寄って読書や勉強をする場所であってもいいと思うんです。」

       

      完成後のイメージ

      「そうやって、多様なバックグラウンド、さまざまな考えをもった人たちが同じ空間を共有しつつ、それぞれに主体性を持って行動する。その中で自然にコミュニケーションが生まれる。そんな状態が、ぼくがこの場所で作りたい理想の風景です。そうなれば、この工作室は芸術・創作の場であると同時に、生活の場にもなります。生活と芸術の境目があいまいになるんです。

      ぼくは、なんとなく美術や芸術が世間の中で特別視されすぎているなと思うことがあります。芸術って本来はすごく身近で、誰にでもひらかれた行為だとぼくは思っています。誰しもが創作者だし、アーティストなんです。もっともっと芸術を身近なものに感じて、社会の中に、衣食住の中に溶け込んでくれたらと思っていますし、自分自身もそんな社会に少しでも近づけられるようなことをしていきたいです。」

      このように語る柳沢さんはいま、地元・長野県松本市でも同時進行で別のプロジェクトを進めている。空き地や駐車場など、どこでも「その空間が舞台」となって、演者と観客が近い距離で触れ合えるような「移動式劇場」という、実験的な試みだ。演劇ユニットmizhenと共同でプロジェクトが進行している。

      考案中の移動式劇場のスケッチ

      「この移動式劇場も今回のシェア工作室も、ひとつのきっかけに過ぎません。まずは自分のできる範囲から、芸術やものづくりと人々の生活を近づける活動をしていきたい。そして“人々が持つ思い想いの豊かさが広がる場所”をつくる活動を続け、広めていきたいと思います。

      生活と芸術の距離を近づける。ひとりひとりが主体的に、それぞれの豊かさを持って過ごせる空間づくり、社会づくり。柳沢さんのビジョンはとてつもなく大きい。だからこそ「ひとつひとつ、いま自分ができることをやっていきたい。そして、自分ひとりでできることなんて限られているから、その輪を少しずつ広げていきたい」と、柳沢さんは語る。

      「今回の改修も、ぼくひとりの力では諦めるしかありませんでした。しかし、想いが重なる人たちがいてくれたおかげでいま、プロジェクトは進められています。

      今回クラウドファウンディングをすることにしたのも、ぼくたちの想いに共感してくださる方と繋がりを持ち、一緒にこの長屋改修を進めるメンバーになっていただきたいと感じたことが大きな理由です。何かぼくたちと想いが重なる部分があれば、ご協力いただけるとたいへん嬉しいです!」

       

      このプロジェクトをはじめ、4軒の改修が計画通りに進めば、シェア工作室・アートギャラリー・シェアキッチン・カフェが同じ空間に集まることになる。アートに携わる人はもちろん、京都を訪れる人にとっても三条の隠れ家スポットとして面白い場所になるだろう。

      歴史ある長屋が次世代を担う若者たちの手で蘇り、活用され、古きよさを残しながら未来へと発展していく。このプロジェクトが空き家活用のモデルケースとなり、あとに続く若者たちを勇気づける成功例になってくれたら。そう願わずにいられない。

      ― 取材・文 : 充紀(ライター/空き家バンク京都アンバサダー)

      この記事書いた人

      充紀

      職業フリーライター
      『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
      シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
      趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
      Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

      “京都で空き家を利用したい人”と“京都の空き家を貸したい人”とを繋ぐ「空き家バンク京都」。空き家バンク京都はどんな考えのもと、どんなことをしているのか。代表の鈴木一輝に話を伺った。

      空き家バンク京都代表

      鈴木 一輝

      1988年生まれ。京都産業大学卒。宅地建物取引士。1級空き家管理士。空き家ビル、空きテナントを滞在型施設に活用する新規事業に支配人を務めた経験を経て、2016年に空き家バンク京都の前身として「百代家」を立ち上げる。その後、「空き家バンク京都」に改名し、空き家の改修・再生、シェアハウスや宿の運営・管理、テナント業などを行う。

       

      空き家バンク京都はどんなことをしているの?

      ― まず、空き家バンク京都はどんなお仕事をしているのか聞かせてください。

      鈴木 : 誰かが手に余らせてしまっている空き家を買うか借りるかして、それを改修・再生し、実際に活用するところまで動かす。これが空き家バンク京都の仕事です。活用とは人が住む、または事業に使う、ということですね。ただ「買って売るだけ」とか「改修するだけ」ではなくて、再生した空き家の「そののち」までしっかり面倒をみることを大切にしています。

      また、僕たちが主体的に活用していく場合だけでなく、僕たちがサポートに回ることもあるんです。例えば、「京町屋を事業に活用したい」という想いを持った方のご相談を受けることがあります。そんなときは利用者さんの主体性を大事にして、その想いが実現できるように僕たちがサポートをしていきます。

      具体的には、最近だと「自分で直すところからDIYして、自分の思い通りの家や古民家カフェを作ってみたい」なんて方が増えています。でも、水回りや電気配線まで全部自分でやるのは難しいですし、改修は普通にやるとかなりお金がかかってしまいますよね。

      そこでうちなら、費用を抑えて改修するスキルやノウハウを提供できますし、信頼できる業者さんと繋ぐこともできます。また、その後の店舗経営の相談・サポートもできるわけです。

      とはいえ、ゴールはいつも同じで空き家がきちんと再生され、実際に活用されるところまで持っていくことです。大家さんや利用者さんのそれぞれが持っている “想い” を大事にして、柔軟な対応を心掛けています。

       

      ― なるほど。では、具体的にはどんな事業をされているのでしょうか?

      鈴木 : まずは空き家の改修・再生ですね。これだけを請け負うこともあります。シェアハウスやお宿、ゲストハウスの運営・管理。そのほか、一戸建てやテナント物件の賃貸も行っています。あと、「宿撮(やどさつ)」というサービスもありますね!

       

      「宿撮」とは?

      鈴木 : 雰囲気ある京町屋のお宿を利用して、宿泊はもちろん撮影スタジオとしても好きに使っていただけるサービスです。また、お寺さんとの提携もしているので、境内をお借りした撮影もできます。

      ― おお、これはすごい!

      鈴木 : 本格的なスタジオ撮影だとそれなりの費用がかかってしまいますが、「宿撮」ならリーズナブルにご利用いただけます。特にコスプレイヤーさんたちのニーズにマッチしていて、とてもご好評いただいているんです!ちなみに、まだ未着工の空き家を利用して廃屋撮影することもできますよ。

         

      「負の遺産」と言われる空き家に価値を生み出す

      鈴木 : 空き家って、社会的には「負の遺産」と言われているんです。空き家の改修・再生には通常1,500万円くらいかかってしまうので、活用したくてもなかなか難しいのが現実です。

      でも、DIYをしたい方や宿撮の利用者さんたちからすれば、”廃屋となってしまった空き家” そのものに価値があるんです。それをうまくマッチングしてあげることによって、本来「負の遺産」である空き家に価値を生み出すことができる。だから、ご家族の想いやお金の問題などで改修できない場合でも、このようにうまく活用することができるんです。

      空き家問題の現状と解決の難しさ

      ― 『負の遺産』である空き家に価値を生み出す。これは社会的にも大きな役割ですよね。

      鈴木 : その通りです。空き家問題はいま全国で大きな課題となっています。特に京都の場合、「歴史ある京町屋を壊してしまうのは忍びない」といった想いなど、京都独自の文化的背景があるため余計に空き家問題が解決しにくいんです。京都市内には「京都市北区の全戸数」に相当する約11万戸もの空き家があると言われています。何もできないまま、歴史ある京町屋が日に日に腐朽し続けています。僕は、そんな京町屋が取り壊されてしまう前に、一軒でも多く改修し、未来に残していきたいんです。

      それを実現するためには、“ただの空き家バンク” じゃだめなんです。全国には国土交通省や大手企業などが行なっている「空き家バンク」がたくさんありますが、「利用者が求めるサービスをきちんと運用できている空き家バンク」はほとんどないのが現状です。

      利用者が空き家バンクに求めているのは「たくさんの空き家物件がみれて、安く手に入り、それを活用できる」ということだと思います。でも、現状はあまり多くの物件を保有できていない空き家バンクが多く、保有しているのも「改修済みで高額」または「ぼろぼろで改修にお金がかかりすぎる」物件ばかりなんです。

      鈴木 : 先ほど話した通り、空き家の改修・再生には通常1,500万円ほどかかります。それを出せる人も、それだけのお金を出してまで空き家にこだわりたい人もなかなかいない。だから空き家問題の解決は難しいんです。

      また、空き家は状態や立地次第では数十万円で購入することもできますが、「買ったはいいけど、結局どうにもできない」なんてことも多いです。現状の空き家バンクは「ただ売るだけ、貸すだけ」のところが多く、実際に改修するまでにどれだけお金がかかるのか、またどこで何をすればいいのかまで教えてくれません。

      実際、僕たちが三条に保有している物件のひとつは、東京の方が「安かったから買ってみた」はいいものの何も手がつけられず、結局そのままの状態で僕たちの手に渡ったものです。

      三条大菊町の町家

      空き家バンク京都の強みと課題。そしてこれから

      鈴木 : このような問題を解決したい。そのために僕たちは現在、「空き家バンク京都」という名前とは違った事業ばかりを先行させています。でもこれは必要なステップなんです。

      自分たちで工務店のようなことからやってみて、その中で信頼できる大工さんや設計士さん、水道屋さん、電気屋さんなどと繋がりを持つ。さらに自分たちで空き家をさまざまな形に活用して、実践例とノウハウを蓄積する。その中で、いかに費用を抑えて改修・再生するかにこだわる。

      だから僕たちは、通常よりもかなり安く空き家の改修・再生ができますし、そのノウハウを提供することもできます。さらには店舗など事業をやりたい人へのサポートまでできます。

      現状は「空き家バンク京都」の名前に相応しいサービスはあまりできていないのが事実ですが、これからが本当の意味で「空き家バンク京都」になっていくステップなのかな、と思っています。

      水道屋さんと大工さん

      水道屋さんと大工さん

      僕たちが大事にしている想い

      ― 鈴木さんが空き家・京町屋にかける想い、伝わってきます。そんな空き家バンク京都が大事にしていることはなんでしょうか?

      鈴木 : 僕たちは、人の “想い” を大事にしています。空き家となってしまった物件には、家族の想いが残されています。「家族との思い出が詰まった家だから」とか「おばあちゃんの仏壇があの家には残っているから」といった理由で動かせないままになっている物件も多いんです。そんな大家さんの想いを繋ぎ止め、次世代に残していく仕事が僕はしたい。

      ちょっと余談なんですが、先日家族で作っているグループLINEに母からメッセージがありまして、「一輝が昔使っていた勉強机があるんだけど、誰か使わないかい」って言うんです。僕からしたら「そんなのもう要らないでしょ」と思うような机なんですが、母からしたらやはり大事な思い出が詰まったものなんですよね。このように、どの家にもそこに住んだ人たちの思い出がたくさん詰まっているはずなんです。

      鈴木 : だから僕たちは空き家を改修・再生するとき、必ずどこかしら元の家の要素を残します。やはり家を直せば、全体の姿かたちは変わってしまうかも知れない。でも、どこかに必ずその家の呼吸が生きていて、その家が紡いできた歴史が、思い出が、次の世代へと引き継がれる。そんな想いを持って、僕たちは空き家の再生にあたっています。

      シェアハウス伏見稲荷に昔のまま残された床の間

      シェアハウス伏見稲荷に昔のまま残された床の間

      鈴木 : そして、そんな僕らの想い・考えと同じ方向性を持った人と関わっていきたいと思っています。例えば、僕らのシェアハウスに住んでくださっている方々もそうです。シェアハウスって、おそらく一生そこに住むつもりで入居される方は少ないと思います。だけど、一時的にでも関わる以上、この場所がその人にとってなにか価値のある場所、思い出の残る場所になってほしいし、ステップアップの場所になってくれたらな、と思っています。

      その中でもし「古民家でカフェをやってみたい」とか「居酒屋をオープンしたい」とか、「フリーランス専用のシェアハウスをやりたい」など僕たちと重なる想いを持った人がいたら、ぜひ一緒に仕事をしたいと思っています。実際、いまインタビューや記事を書いてくださっている充紀さんもそうですし、うちで作業スタッフとして働いてくれている入居者さんもいるんです。

      また、先ほど紹介した三条の物件は「DIYでギャラリーを作りたい」という想いを持った京都工芸繊維大学の学生さんが主体となって、一緒に再生を進めています。

       

      京都芸術大学の学生さんたち

      京都芸術大学の学生さんたち

      京都芸術大学の学生さんたち

      鈴木 : 人の “想い” を大事にして、直すべきものは直し、残すべきものは残して次世代へと繋ぎたい。空き家バンク京都はもともと、「百代家」という屋号でスタートしました。「百代」は昔の言葉で「一生」を意味しています。百代って途方もない期間ですが、まさに僕は自分たちが携わった京町屋、作ったお宿やお店たちが百代続くようにと願って日々仕事に取り組んでいます。

      だから僕たちがオープンした、サポートしたお宿やお店は意地でも潰したくない。そのために、徹底的に初期費用とランニングコストを抑える。京町屋ならそれができるし、僕たちならそれができる。

      京都の歴史と文化、そして住んできた方々の “想い” が詰まった京町屋を、一軒でも多く、より良い形で次世代に残していきたい。そう願っています。

      (取材・文 : 「空き家バンク京都」アンバサダー・ライター 充紀)

      この記事書いた人

      充紀

      職業フリーライター
      『空き家バンク京都』のシェアハウスに入居中
      シェアハウスに住むのは東京・神奈川に続きこれで三軒目
      趣味は散歩・筋トレ・神社巡り・美術館巡りなど。伏見稲荷大社によく出没
      Webライターとしては主にヘアケア・開業・シェアハウス関連の記事を執筆

       

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